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東野圭吾『殺人現場は雲の上』の感想とあらすじ|ネタバレなしで面白いか徹底レビュー

東野圭吾さんの作品といえば重厚なミステリーを想像しますが、『殺人現場は雲の上』は気軽に笑えて本格的な謎解きも楽しめる、一風変わった魅力を持つ作品です。

物語の主役は、才色兼備のエー子と食いしん坊のビー子という対照的な二人組の客室乗務員で、二人のコミカルな掛け合いを中心に物語が展開します

ミステリーは好きだけど、暗い話は気分が沈むから苦手なんだよね…

ご安心ください、本作は読後感が爽やかな笑えるミステリーです

目次

笑いと本格謎解きが融合したミステリー短編集

本作の最大の魅力は、軽快な笑いの中に、思わず唸るような本格的な謎解きが散りばめられている点です。

物語を彩るのは、対照的な二人の客室乗務員。

彼女たちのコミカルなやり取りが、事件の真相へと繋がっていきます。

仕事の疲れを忘れさせてくれるような楽しさと、知的好奇心を満たす満足感を両方味わえる、まさに一石二鳥の作品と言えます。

主役は対照的な客室乗務員の二人組

物語の中心となるのは、新日本航空に勤務する二人の客室乗務員です。

一人は、成績首席で入社した才色兼備の早瀬英子、通称「エー子」。

もう一人は、成績最下位で入社した食いしん坊の藤真美子、通称「ビー子」となります。

この二人は、経歴から性格、体型に至るまで全くの正反対。

エー子が冷静に状況を分析する一方で、ビー子は持ち前の食欲と엉뚱な発想で事態をかき回します。

そんな凸凹コンビが繰り広げるテンポの良い掛け合いこそが、本作の面白さの源泉なのです。

登場人物のキャラクターが立っている話が好きだな。

この二人組のやり取りを見ているだけで、自然と笑顔になりますよ。

シリアスなミステリーとは異なり、彼女たちの存在が物語全体を明るく、親しみやすいものにしています。

コミカルな会話に隠された巧妙なトリック

一見するとユーモラスな会話劇のようですが、その裏には東野圭吾さんならではの巧妙なトリックが仕掛けられています。

エー子とビー子の何気ないおしゃべりの中に、事件解決に繋がる重要なヒントが隠されているのです。

物語は、笑いの要素をふんだんに盛り込みながら展開します。

しかし、終盤になるとそれまでの伏線が一気につながり、鮮やかな謎解きが披露されます。

コメディとミステリーの絶妙なバランス感覚が、読者を飽きさせません。

油断していると、思わぬ形で真相にたどり着き、その構成力に驚かされることになります。

通勤時間にも最適な一話完結の構成

本作は、7つの独立した事件を収録した短編集です。

一話完結の形式をとっているため、どこから読んでも楽しめます。

1話あたりの分量も手頃で、合計259ページ(文庫版)を7話で割ると、1話あたり約37ページとなります。

そのため、毎日の通勤電車の中や、寝る前のわずかな時間でも気軽に読み進めることが可能です。

忙しくて、なかなか長編を読む時間がとれないんだ。

この本なら、自分のペースで少しずつ読み進められるので安心です。

物語が途中で途切れてしまうストレスなく、毎回の読書でスッキリとした読後感を得られるでしょう。

重厚な作品とは異なる東野圭吾の作風

東野圭吾さんといえば、『白夜行』や『容疑者Xの献身』に代表されるような、人間の心理を深く描いた重厚なミステリーを思い浮かべる人も多いです。

しかし、この『殺人現場は雲の上』は、そうした作品群とは全く異なる魅力を持っています。

社会の闇や人間の業といったテーマではなく、キャラクターの個性と軽快なストーリーテリングで読者を楽しませることに主眼が置かれています。

東野作品のシリアスな雰囲気が苦手だと感じていた人でも、この作品ならきっと楽しめるはずです。

この一冊は、東野圭吾さんという作家の持つ作風の幅広さを教えてくれます。

ファンに愛される「笑小説」シリーズの一作

「笑小説(しょうしょうせつ)」とは、東野圭吾さんが手掛ける、ユーモアを基調としたミステリー作品群の総称です。

本作はその記念すべき第一作目にあたります。

このシリーズには、他にも『怪笑小説』や『毒笑小説』といった作品が存在します。

いずれもブラックユーモアや皮肉が効いた、一筋縄ではいかない物語ばかりです。

1989年の刊行から30年以上経った今でも、多くのファンに愛され続けています。

もしエー子とビー子のコンビを気に入ったなら、同じテイストで描かれる他の「笑小説」シリーズを手に取ってみるのも良い選択です。

ネタバレなしで紹介する収録短編7つのあらすじ

この短編集の魅力は、個性豊かな7つの事件が収録されている点です。

舞台は空の上やステイ先のホテルなど、客室乗務員ならではの環境で、エー子とビー子のコンビが謎に挑みます。

どの物語も一話完結で、ミステリーの謎解きと二人のコミカルなやり取りが絶妙に絡み合っています。

それぞれのあらすじを詳しく見ていきましょう。

ステイの夜は殺人の夜

物語は、投資に熱中する大学助教授の夫人が殺害される事件から幕を開けます。

容疑者は2人いますが、どちらにも完璧なアリバイがあり、捜査は難航するのです。

現場に残されたわずかな手がかりから、客室乗務員のエー子が見事な推理を披露し、事件の真相に迫っていきます。

最初の話から本格的なミステリーなの?

はい、ユーモアの中にもしっかりとした謎解きが楽しめますよ

コミカルな雰囲気と本格的な謎解きのバランスが絶妙で、読者を一気に物語の世界へ引き込む最初の短編です。

忘れ物に御注意ください

飛行機の中に赤ちゃんが置き去りにされるという、前代未聞の珍事件が発生します。

誰が、なぜ赤ちゃんを置いていったのか、謎が深まるばかりです。

エー子とビー子のコンビは、乗客リストや残されたわずかな手掛かりを元に、赤ちゃんの親探しに奔走することになります。

なんだかハラハラする展開だね…

そうですね、心温まる結末が待っているので安心してください

親子の絆をテーマにした、ミステリーでありながらも少し切なく、温かい気持ちになれる物語となっています。

お見合いシートのシンデレラ

ひょんなことから、ビー子が資産家の男性に見初められます。

まさにシンデレラストーリーの始まりかと思いきや、物語は思わぬ方向へ進みます。

親戚へのお披露目会に同席したエー子は、一族の言動に不審な点を感じ取り、独自の調査を開始します。

ビー子に幸せになってほしいな

エー子の鋭い観察眼が、ビー子をピンチから救います

ビー子のキャラクターが存分に発揮される、ユーモアあふれる一編です。

華やかな世界の裏に隠された真実とは一体何なのでしょうか。

旅は道連れミステリアス

顔見知りの和菓子屋の主人が、旅先のホテルで遺体となって発見されます。

しかも、部屋には見知らぬ人物の死体もあり、事件は複雑な様相を呈するのです。

警察が自殺と他殺の両面で捜査を進める中、エー子は現場の状況から矛盾点を鋭く指摘します。

旅先での事件って、なんだかワクワクする

人間関係が複雑に絡み合う、読み応えのあるミステリーです

旅情あふれる舞台設定の中で、人間の愛憎が渦巻く本格的なミステリーが展開されます。

とても大事な落し物

エー子たちが乗務する飛行機のトイレから、署名のない遺書が見つかります。

このままでは、乗客の誰かが命を絶ってしまうかもしれません。

緊迫した状況の中、エー子とビー子は遺書の持ち主を特定するために機内を奔走します。

空の上でそんなことが起きたら怖い…

タイムリミットが迫る緊張感と、意外な結末が魅力です

限られた空間と時間の中で繰り広げられるサスペンスフルな展開に、思わず息をのむ物語です。

マボロシの乗客

エー子たちが勤務する新日本航空に、「幻の乗客を乗せなければ、飛行機を爆破する」という奇妙な脅迫電話がかかってきます。

警察も悪質ないたずらとして取り合わない中、エー子だけが脅迫電話に隠された犯人の真の目的に気づき、行動を起こします。

幻の乗客ってどういうことだろう?

その謎が解けた時、犯人の悲しい動機が明らかになります

航空会社を舞台にしたユニークな設定のミステリーで、エー子の推理力が光る一編となっています。

狙われたエー子

これまで数々の事件を解決してきたエー子自身が、何者かに命を狙われるという最大のピンチに陥ります。

しかし、エー子本人にはまったく心当たりがありません。

一体誰が、何のために彼女を狙うのでしょうか。

シリーズの最終話にふさわしい緊迫した展開が待っています。

主人公が狙われるなんて、どうなっちゃうの?

もちろん、相棒のビー子が意外な形で大活躍しますよ

エー子とビー子の絆の強さが試される物語です。

二人のコンビの魅力を最後まで存分に楽しめます。

『殺人現場は雲の上』の口コミと読者の評価

多くの人が本を選ぶ際に参考にするのが、先に読んだ人たちの感想や評価です。

特に東野圭吾さんのような人気作家の作品は、さまざまな意見が寄せられますが、『殺人現場は雲の上』は明るく面白いミステリーとして高く評価されている点が特徴といえます。

この作品に対する読者の主な評価ポイントをまとめました。

全体として、シリアスで重い展開を期待する読者には物足りないかもしれませんが、ユーモアあふれるミステリーを読みたい人からは絶大な支持を得ている作品です。

「気軽に笑えて面白い」という感想の数々

本作の口コミで最も多く見られるのが、ミステリーでありながら声を出して笑ってしまうほど面白いという点です。

殺人事件というシリアスな題材を扱いながらも、物語全体を包むのはあくまでコミカルで明るい雰囲気になります。

読者からは「とにかく笑えるミステリー」「キャラクターの掛け合いが漫才のようで面白い」といった感想が多数寄せられており、ページをめくる手が止まらなくなったという声も少なくありません。

本格的なトリックと軽妙なユーモアが両立しており、読者を飽きさせない構成となっています。

ミステリーなのに、そんなに笑えるの?

本格的な謎解きとユーモアが見事に両立しているから面白いのです。

この作品は、謎解きの知的満足感と、心から笑える楽しさの両方を味わいたい欲張りな読書家にぴったりの一冊です。

エー子とビー子の凸凹コンビへの高評価

物語の面白さを支えているのが、主人公である二人の客室乗務員、早瀬英子(エー子)と藤真美子(ビー子)の対照的なキャラクター性です。

才色兼備で頭脳明晰なエー子と、食いしん坊でおっちょこちょいなビー子という、まるで水と油のような二人組が人気の秘訣となっています。

エー子の冷静な推理とビー子の엉뚱な行動が化学反応を起こし、事件を思わぬ方向へ導いていきます。

この二人の軽妙なやり取りこそが本作最大の魅力であり、「このコンビが大好き」「二人の会話をもっと読みたい」という口コミが後を絶ちません。

登場人物に感情移入できないと、話に入り込めないんだよね…

この二人なら、きっとどちらかのキャラクターに共感したり、応援したくなりますよ。

二人が時に反発し、時に協力しながら事件に立ち向かう姿は、単なる推理小説の枠を超えたバディものとしての面白さを物語に与えています。

東野圭吾の初期作品ならではの軽快な読みやすさ

『殺人現場は雲の上』は1989年に刊行された、東野圭吾さんのキャリア初期の作品です。

そのため、『白夜行』や『容疑者Xの献身』といった後年の重厚な長編作品とは異なり、肩の力を抜いて楽しめる軽快な作風が特徴となっています。

本作は7つの事件を収録した短編集で、光文社文庫版では全体で259ページです。

1話あたり30〜40ページほどで完結するため、通勤時間や就寝前などの短い時間でも気軽に読み進められます。

複雑な人間関係や難解なトリックも少なく、エンターテイメント性が重視されています。

東野圭吾さんの作品って、難しくて長いイメージがあったな…

この作品は良い意味でそのイメージを裏切ってくれます。東野作品の入門書としても最適です。

東野作品のヘビーな読者にとっては少し物足りなく感じるかもしれませんが、初期作品ならではのフレッシュな魅力にあふれており、ファンはもちろん、普段あまり本を読まない人にもおすすめできます。

重いミステリーが苦手な人にこそおすすめ

「ミステリーは好きだけれど、読んだ後に気分が落ち込むような暗い話は苦手」と感じることはありませんか。

本作は、殺人事件を扱いながらも読後感が爽やかなため、まさにそういった人にこそ読んでほしい一冊です。

物語の根底に流れるユーモアが、事件の持つ陰惨さを和らげてくれます。

登場人物たちも悲壮感を漂わせることなく、困難な状況を明るく乗り越えていくため、安心して読み進めることが可能です。

日常の疲れを読書で癒やしたいと考えている人に、心からおすすめします。

疲れている時に読む本は、内容選びが本当に難しい…

その気持ち、よくわかります。この本なら、きっと心安らぐ読書時間になりますよ。

仕事や人間関係で疲れた心を軽くしてくれる、笑いに満ちたミステリー体験があなたを待っています。

作品の書籍情報

『殺人現場は雲の上』は時代と共に形を変え、複数の出版社から刊行されてきました。

そのため、どの書籍を選べばよいか迷うかもしれませんが、現在でも文庫本として簡単に入手できるのが嬉しい点です。

これから読むのであれば、表紙デザインが新しくなった光文社文庫の新装版がおすすめです。

1989年刊行のジョイ・ノベルス版

この作品が世に出た最初の形が、実業之日本社から刊行されたジョイ・ノベルス版です。

1989年8月に発行された新書判で、東野圭吾さんの初期の息吹を感じられる一冊といえます。

刊行から30年以上が経過しているため、現在では古書市場で探すことになります。

昔のバージョンも読んでみたいけど、見つけるのは大変そう…

コレクターズアイテムとして探してみるのも一興ですよ

初版ならではの装丁や雰囲気を味わいたい熱心なファンの方にとっては、探す価値のあるバージョンです。

手に取りやすい光文社文庫版と新装版

現在、最も広く流通しているのは光文社文庫版です。

1992年に初めて文庫化され、多くの読者に親しまれてきました。

さらに2020年8月20日には、新しいデザインのカバーで新装版が登場し、書店でも一層見つけやすくなりました。

本文の内容はどちらも同じなので、デザインの好みで選んで問題ありません。

ドラマ化の有無

東野圭吾さんの作品は数多く映像化されていますが、『殺人現場は雲の上』は2024年現在、ドラマ化や映画化はされていません

エー子とビー子の軽妙なやり取りや、航空機内という独特の舞台設定は映像映えするため、ファンの間では長年にわたり映像化を望む声が上がっています。

この二人組が動いているところを見てみたい!

もし映像化されたら、どんな俳優が演じるか想像するのも楽しいですね

映像化されていないからこそ、読者一人ひとりが自由に登場人物や情景を思い描きながら楽しめるのが、この作品の魅力の一つです。

よくある質問(FAQ)

ミステリー初心者ですが、この推理小説は楽しめますか?

はい、もちろんです。

難しいトリックよりも登場人物の軽快な会話を中心に物語が進むため、推理小説を読み慣れていない方でも非常に読みやすいですよ。

東野圭吾さんの初期作品ならではの、肩の力を抜いて楽しめる作風が魅力となっています。

主人公の二人組は他の作品にも登場しますか?

残念ながら、客室乗務員の早瀬英子(エー子)と藤真美子(ビー子)の二人組が登場するのは、この『殺人現場は雲の上』だけです。

しかし、本作は東野圭吾さんのユーモアミステリー「笑小説」シリーズの第一作なので、この作品が気に入れば同シリーズの他の小説も楽しめます。

殺人事件がテーマですが、読後感が重くなりませんか?

ご安心ください。

本作は殺人事件を扱いますが、物語の大部分は主人公二人のコミカルなやり取りで構成されています。

読後に気分が落ち込むような後味の悪い結末ではないため、重い話が苦手な方でも爽やかな気持ちで読み終えることができます。

今から読むなら、どの本を選べば良いですか?

これから初めて読むのであれば、2020年に発売された光文社文庫の新装版がおすすめです。

全国の書店で手に入りやすいです。

もし初版の雰囲気を味わいたい場合は、実業之日本社から刊行された古い文庫本を中古で探すという楽しみ方もあります。

ネタバレなしであらすじをもう少し詳しく知りたいです。

この短編集では、主人公の客室乗務員たちが、ステイ先のホテルや飛行機内といった勤務先ならではの場所で事件に遭遇します。

赤ちゃんの忘れ物騒動から、同僚が命を狙われる緊迫した事件まで、各話で異なる7つの謎が描かれます。

ネタバレを知らずに読むことで、結末の驚きを存分に味わえます。

この小説はドラマ化されていますか?

2024年現在、『殺人現場は雲の上』がドラマ化されたという情報はありません。

そのため、映像作品から犯人やトリックの情報をうっかり知ってしまう心配なく、安心して小説を読み進めることができます。

まとめ

東野圭吾さんの『殺人現場は雲の上』は、重厚なミステリーとはひと味違う、気軽に笑えて本格的な謎解きも楽しめる魅力的な短編集です。

日常の疲れを癒やす、笑いに満ちたミステリー体験を求めるなら、まずはこの一冊を手に取ってみることをおすすめします。

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