MENU

【ネタバレ】辻村深月オーダーメイド殺人クラブの結末と犯人を考察|救いがないと言われる5つの理由

  • URLをコピーしました!

『オーダーメイド殺人クラブ』の核心は、単なる殺人事件の謎解きではありません。

この物語の本当の恐ろしさは、物理的な暴力ではなく、クラスメイトたちの心を殺す「精神的な殺人」計画にあります。

学校に居場所を見つけられない少女が、同級生に自分自身の殺害を依頼するという衝撃的な導入から、物語は始まります。

孤独な魂が惹かれ合い、歪んだ計画を企てる中で築かれる危険な関係性は、読者に強烈な印象を残します。

この救いのない読後感、みんなも同じなのかな?

その理由は、二人が選んだ歪んだ愛情表現と、あまりにも残酷で美しい結末にあります。

目次

『オーダーメイド殺人クラブ』の基本情報とあらすじ

この物語を理解するには、まず主人公たちが置かれた状況と、その根底にある「特別な存在」になりたいという痛切な願いを知ることが重要です。

思春期特有の息苦しさや孤独感が、二人を前代未聞の計画へと駆り立てていきます。

これからご紹介する基本情報を知ることで、物語の核心にスムーズに入り込めるでしょう。

物語の概要

『オーダーメイド殺人クラブ』は、学校や家庭に閉塞感を抱える中学2年生の少女・小林アンが、同級生の徳川勝利に自分自身の殺害を依頼するという、衝撃的な導入から始まる物語です。

友人関係の悩みからクラス内で孤立し始めたアンは、独自の美学と死生観を持つ徳川に共感し、二人だけの秘密の計画を企てます。

この計画は、歪んだ形ではありますが、彼らが互いの孤独を埋め、絆を深めていく過程を描いています。

このタイトル、どういう意味なんだろう?

少女が自分自身の殺人を依頼する、という衝撃的な計画そのものを指しています。

この異常な依頼の裏には、思春期の少年少女が抱える複雑な心理が隠されています。

物語を読み解く鍵は、この計画を企てた二人の登場人物にあります。

主要な登場人物とその関係性

物語の中心となるのは、主人公の小林アンと、彼女に殺人を依頼される徳川勝利です。

二人は単なるクラスメイトではなく、互いの心の深い部分で通じ合った、いわば共犯者としての関係性を築いていきます。

アンは「退廃的な美」に惹かれ、徳川が描く絵の世界観に自分の理想を見出します。

一方で徳川も、自分の内面を唯一理解してくれたアンに対して、特別な感情を抱くようになります。

この二人の歪んだ友情とも愛情ともつかない危険な関係性が、物語全体を貫く軸となっています。

彼らの行動や会話の一つひとつが、衝撃的な結末へと繋がる伏線です。

著者・辻村深月のプロフィール

著者の辻村深月さんは、思春期の少年少女が抱える心の機微や痛みを、繊細かつ鋭い筆致で描き出すことに定評のある作家です。

その卓越した心理描写は、多くの読者から共感と高い評価を得ています。

2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞してデビューして以来、数々の話題作を世に送り出してきました。

辻村深月さんの作品は、本作以外にも人間の心の奥底を描いたものが多く、読後に深い余韻を残します。

物語に影響を与えたカルチャー作品一覧

登場人物たちの人格や価値観を深く理解するためには、彼らが影響を受けたカルチャー作品を知ることが一つの手がかりになります。

アンが心酔する退廃的な世界観や、徳川の哲学的な思索は、彼らが愛好する小説、音楽、映画などに色濃く反映されています。

作者自身も影響を受けた作品があるんだ。

はい、作者の辻村さんが影響を受けた作品も公開されていて、創作のルーツが垣間見えます。

これらの作品リストを参考にすることで、登場人物たちがどのような世界に憧れ、何を考えていたのかをより立体的に想像できます。

物語をさらに深く味わうためのヒントになるでしょう。

【ネタバレ】事件の真相と犯人、衝撃的な結末

ここからは、物語の核心に触れるネタバレを含みます。

この物語の最も衝撃的な点は、計画された「殺人」が物理的なものではなく、クラスメイトたちの心を殺す「精神的な殺人」であったという事実です。

一見すると救いのない結末に思えますが、そこには孤独な二人の魂だけが理解しあえる、歪んでいながらも純粋な絆が存在します。

本当の犯人の正体と隠された目的

この物語における「犯人」は、アンの依頼を受けた同級生の徳川勝利です。

しかし、彼の本当の目的はアンを殺害することではありませんでした。

彼の狙いは、アンへのいじめを助長させ、最終的にアンが「死んだ」と見せかけることで、いじめに加担、あるいは傍観していたクラスメイト全員に強烈な罪悪感を植え付け、彼らの心を社会的に「殺す」ことだったのです。

徳川は、自分とアンという特別な存在を理解できない周囲の世界に対する復讐を企てました。

その計画の根底には、アンの美意識や孤独を唯一理解できるのは自分だけだという、強い独占欲が隠されています。

二人の「殺人クラブ」は、世界から孤立し、互いを唯一の共犯者とするための、危険な儀式でした。

結局、誰も死なないってこと?じゃあなんで『殺人クラブ』なの?

はい、物理的な殺人ではなく、心を殺す「精神的殺人」を計画したからなんです。

この計画は、アンと徳川が退屈な日常を破壊し、二人だけの特別な物語を創り上げるための共同作業だったと言えます。

徳川勝利の歪んだ動機と愛情

徳川勝利の動機は、単純な殺意や復讐心だけでは説明できません。

彼の行動の根源にあるのは、アンという唯一の理解者に対する、あまりにも歪んだ愛情表現です。

彼は自分と同じように世界に息苦しさを感じ、独自の美意識を持つアンに強く惹かれていました。

徳川が愛読する太宰治の『人間失格』や、好んで観るデヴィット・リンチ監督の『エレファント・マン』からも、彼の抱える疎外感や歪んだ自己認識がうかがえます。

彼はアンをいじめから救い出すのではなく、いじめの状況そのものを利用して「君を理解できるのは僕だけだ」というメッセージを伝えようとしました。

この異常な計画こそが、彼がアンに捧げることのできる最大の愛情だったのです。

好きな子をわざといじめの標的にするなんて、理解できない…。

常識では測れない、孤独な魂同士の究極のコミュニケーションだったのかもしれませんね。

彼の行動は、アンという特別な存在を自分のものにしたいという独占欲と、彼女の願いを叶えたいという純粋な気持ちが混ざり合った、極めて屈折した愛情の形なのです。

アンへのいじめを利用した「精神的殺人」計画

徳川が立案した「精神的殺人」計画は、アンをいじめの悲劇のヒロインに仕立て上げ、その罪をクラスメイト全員に負わせるという、恐ろしく冷徹なものでした。

計画の成功は、アンがいじめによって精神的に追い詰められ、孤立すればするほど確実になるという残酷な構造を持っています。

計画の最終段階では、アンが本当に死んでしまったかのように偽装し、クラスメイトたちが「自分たちのせいでアンは死んだ」と思い込む状況を作り出す手筈でした。

この罪悪感こそが、彼らの心を殺す「凶器」となるのです。

アン自身も、この計画に加担することで、平凡な日常や自分を理解しない人々から解放され、「特別な存在」になれると信じていました。

いじめられてるアンも辛いのに、ひどい計画じゃない?

アン自身も、平凡な日常から抜け出すための刺激的な儀式として受け入れていたんです。

この計画は、アンと徳川がクラスメイトという「愚かな大衆」に対して優位に立ち、二人だけの特別な関係性を築き上げるための、歪んだ儀式だったと言えます。

結末に繋がる物語の重要伏線

この物語の衝撃的な結末は、決して突飛なものではなく、随所に散りばめられた伏線によって論理的に導かれています。

特に、アンと徳川の愛するカルチャー作品が、二人の価値観や計画の行く末を暗示している点は見逃せません。

読者はこれらの伏線によって、知らず知らずのうちに物語の深層へと誘われます。

例えば、アンが愛聴するアーバンギャルドの楽曲『少女は二度死ぬ』は、まさに彼女が望む「社会的な死」と「物語としての死」を象徴しています。

これらの伏線は、物語の表面的な流れとは別に、登場人物の心理や隠された真実を読者に伝え、最後のどんでん返しをより鮮やかなものにしています。

これらの手がかりに気づくことで、単なるミステリーとしてだけでなく、登場人物の心の軌跡を追う物語として、より深く味わうことができます。

計画の顛末と二人が迎えるラストシーン

練り上げられた二人の「精神的殺人」計画は、しかし、クラスメイトの一人による予想外の行動によって未遂に終わります

物理的な殺人はもちろん、クラスメイトたちの心を殺すという目的も達成されることはありませんでした。

計画が失敗したことで、二人の間には気まずい空気が流れます。

しかし、この失敗こそが、二人の関係を決定的なものにしました。

計画が世間に露見することなく、二人だけの秘密として完結したのです。

ラストシーンでアンは、徳川の計画の本当の目的が、自分への歪んだ愛情表現であったことに気づきます。

そして、その全てを受け入れるのです。

計画が失敗したら、二人の関係も終わっちゃうの?

いいえ、むしろここからが本当の始まりでした。二人は唯一無二の共犯者として、固い絆で結ばれるんです。

世界から切り離された教室で、互いだけを唯一の理解者として見つめ合うアンと徳川。

この結末は、誰にも理解されない孤独な魂が、ようやくお互いを見つけた瞬間であり、ある種の救いと奇妙な幸福感に満ちた、忘れがたいラストシーンとなっています。

救いがない、胸糞悪いと言われる5つの理由

『オーダーメイド殺人クラブ』がなぜ「救いがない」「胸糞悪い」と評されるのか。

その核心は、物理的な暴力よりも残酷な、精神的な加害の描写にあります。

読者の心を深くえぐり、読後も重たい感情を残す理由を、5つの側面から解き明かしていきます。

これらの要素が複雑に絡み合い、単純な善悪では割り切れない物語を形成しているのです。

それこそが、多くの読者の心を掴んで離さない魅力であり、同時に強烈な読後感の源泉となります。

理由1 痛々しくリアルな思春期の心理描写

本作が読者の心に突き刺さるのは、思春期特有の万能感と劣等感が入り混じった「自意識の痛み」が、あまりにも生々しく描かれているからです。

例えば、友人関係の序列や親の無理解、「特別な存在」になりたいという焦燥感など、10代の頃に誰もが一度は抱える感情が、主人公アンの視点を通して容赦なく突きつけられます。

このリアルさが、読者に自分の過去を思い出させ、物語の世界に深く引き込むのです。

登場人物の気持ちが、自分のことみたいに感じて苦しくなる……

その共感こそ、辻村作品の持つ大きな力なんです

読者はアンの孤独や苛立ちに共感するからこそ、彼女が下す危険な決断から目を離せなくなります。

理由2 孤独な魂が惹かれ合う歪んだ友情

主人公のアンと徳川の関係は、一般的な友情とはかけ離れた「共犯者としての歪んだ絆」で結ばれています。

互いの孤独を理解し、世界の誰にも共有できない「殺人計画」という秘密を分かち合うことで、2人は唯一無二の存在となるのです。

この関係性は、純粋でありながらも、互いの心の闇を増幅させる危険な依存関係でもありました。

この普通ではない関係性が、物語に切なさと危うさをもたらし、読者に強烈な印象を残します。

理由3 読者の心を抉る精神的な暴力性

本作の「胸糞悪さ」の根源は、目に見える流血や暴力ではなく、じわじわと心を追い詰める精神的な加害にあります。

徳川が計画した本当の目的は、アンを物理的に殺すことではありませんでした。

それは、アンをいじめの標的に仕立て上げることで、彼女を無視し、傷つけたクラスメイトたちに生涯消えない罪悪感を植え付ける「精神的殺人」だったのです。

犯人の本当の狙いを知った時、物理的な暴力より怖いと思った

人の心を支配しようとする行為の恐ろしさが描かれていますよね

直接的なグロい描写がないにもかかわらず、読者が恐怖を感じるのは、この陰湿で残酷な計画の全貌が明らかになるからです。

理由4 いじめや無理解という社会の闇の投影

この物語は、閉鎖的な教室で起こる「いじめ」や「スクールカースト」といった問題を、見過ごすことのできないテーマとして描いています。

主人公アンが友人から無視されるきっかけは、ささいなことでした。

しかし、その小さな亀裂がクラス全体の同調圧力となり、彼女を孤立させていきます。

このような状況は、現代の学校や社会が抱えるコミュニケーションの断絶や無関心という闇を色濃く反映しているのです。

自分は傍観者になっていないか、考えさせられたな……

この物語は、被害者と加害者だけでなく、周りの人間の罪も問いかけます

物語の中の出来事が、読者自身の日常と地続きであると感じられるからこそ、深い無力感や憤りを感じさせます。

理由5 わずかな光を残す複雑な読後感

物語の結末は決してハッピーエンドではありませんが、完全な絶望でもありません。

そこには、破滅の中で見出された「唯一の理解者」という、かすかな光が描かれています。

計画は失敗に終わるものの、アンは徳川の歪んだ愛情と、自分だけを想うその計画の真意を知るのです。

世界中から理解されなくても、たった一人、自分の心の闇を肯定してくれる存在がいたという事実は、彼女にとって皮肉な救いとなりました。

救いがないようで、でも2人にとっては救いだったのかも…?

その割り切れない気持ちこそ、この作品の醍醐味と言えます

この「救いがあるようでない、ないようである」という複雑な感情こそが、『オーダーメイド殺人クラブ』を単なるイヤミスで終わらせない、深い余韻を生み出しています。

書店員が語る作品の魅力と読後感

プロの読み手である書店員たちも、この作品に心を揺さぶられています。

彼らが口を揃えて語るのは、読者の心に深く突き刺さり、いつまでも抜けない棘のような読後感です。

喪失感や痛み、思春期のリアルな感情、そして見事な結末。

書店員たちの言葉から、この物語が持つ抗いがたい魅力が見えてきます。

胸に刺さる喪失感と痛み

本を閉じてもなお、アンと徳川の物語は心に重くのしかかります。

このヒリヒリとした喪失感こそが、『オーダーメイド殺人クラブ』が多くの読者の記憶に刻まれる理由の一つです。

日々の生活の中で忘れていたはずの痛みを、この物語は容赦なく思い出させます。

それはまるで、自分自身の過去の傷に触れられるような感覚に陥ります。

“余生”を生きることが思ったより忙しくて、こういうヒリヒリとした喪失感を長いこと忘れていました。ただ忘れていただけで、これを読んだら痛いほど思い出しました。すべてあきらめきったいい年の大人の心につきささって欲しいです。
文教堂書店 浜松町店 大浪由華子さん

https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/tsujimura/index.html

読み終えた後のこの重い気持ち、私だけじゃなかったんだ…

ええ、多くの人が同じような痛みを共有していますよ

彼らの孤独が、読者自身の心の奥底にある孤独と共鳴するため、忘れられない痛みとして残るのです。

思春期の屈折した感情への共感

「特別な存在」になりたいと願い、グロテスクなものに惹かれる。

思春期特有の危うく、歪んでいながらも純粋な感情の描写が、この物語の核心を突いています。

大人になる過程で誰もが一度は抱えるであろう、社会や周囲への不満や不安が丁寧に描かれており、登場人物たちに自分を重ねてしまいます。

思春期の、グロテスクなものに惹かれる感覚とか、学校や家での生活に対する不満や不安などがとてもよく描かれていました。そしてけっこう複雑な内容なのに、この読後感の良さ! 良い意味でやられた! って感じです。
ダイハン書房 本店 山ノ上純さん

https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/tsujimura/index.html

健気に、必死に生きている。思春期ならではの愛すべき屈折が、胸に迫ります。確かに辻村深月が放つ最高傑作かもしれません。
紀伊國屋書店 堺北花田店 山田久美さん

https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/tsujimura/index.html

彼らの気持ち、痛いほどわかるのがつらい…

その共感こそが、この物語を深く味わう鍵になります

痛々しいのにどこか愛おしい。

その「愛すべき屈折」への共感が、読者を物語の世界に強く引き込むのです。

良い意味で裏切られる結末

物語は重く、暗いテーマを扱っていますが、読後感は決して「胸糞悪い」だけではありません。

巧妙に仕掛けられた結末によって、爽快感すら覚えるという声も少なくないのです。

複雑に張り巡らされた伏線が収束するラストは、物語の印象を180度変えてしまいます。

その見事な構成に、思わず「やられた」と膝を打つことでしょう。

思春期の、グロテスクなものに惹かれる感覚とか、学校や家での生活に対する不満や不安などがとてもよく描かれていました。そしてけっこう複雑な内容なのに、この読後感の良さ! 良い意味でやられた! って感じです。
ダイハン書房 本店 山ノ上純さん

https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/tsujimura/index.html

ただの救いのない話だと思ってたけど、違うのかも

ええ、この物語の読後感は、ひと言では言い表せない複雑さを持っています

この心地よい裏切りがあるからこそ、『オーダーメイド殺人クラブ』は単なるイヤミスを超えた作品として評価されています。

辻村作品の最高傑作との呼び声

多くの名作を生み出してきた辻村深月さんですが、書店員の間では本作こそが最高傑作であるとの声が上がっています。

デビュー当時の瑞々しい感性と、キャリアを重ねてきたからこそ描ける円熟した筆致が融合し、一つの到達点を示したと評価する書店員は4名にも上ります。

読み終えてから1ヶ月近くたつ今も、胸に突き刺さっている。辻村作品は新たな一作を読むたびに最高傑作!! って思うけど、こんなにも刺さって抜けない作品ははじめてかもしれない。
紀伊國屋書店 横浜店 川俣めぐみさん

https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/tsujimura/index.html

健気に、必死に生きている。思春期ならではの愛すべき屈折が、胸に迫ります。確かに辻村深月が放つ最高傑作かもしれません。
紀伊國屋書店 堺北花田店 山田久美さん

https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/tsujimura/index.html

メフィスト賞受賞作『冷たい校舎の時は止まる』の頃のみずみずしい感性が戻ってきた感じです。辻村作品の最高傑作といえましょう!
平坂書房 MORE’S店 疋田直己さん

https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/tsujimura/index.html

やっぱりこの作品、すごいんだ…

はい、多くのプロを唸らせるほどの傑作なんです

読者の心を掴んで離さない物語の力、そして作家・辻村深月の真骨頂が、この作品には詰まっています。

よくある質問(FAQ)

この物語はグロい描写や怖いシーンが多いですか?

直接的なグロい描写は少ないですが、登場人物の心の闇や歪んだ感情をえがく心理的な怖さがあります。

特に、いじめの場面や精神的に追い詰められていく様子は、読む人によっては非常に怖いと感じます。

物理的な痛みよりも、心の痛みを鮮烈に描いたミステリーです。

なぜ「胸糞悪い」「救いがない」という感想が多いのでしょうか?

主人公たちが選んだ解決策が、いじめを利用するという非倫理的なものだからです。

また、結末で彼らが社会的な罰を受けることなく、二人だけの世界で完結する点に、やりきれなさ(胸糞悪さ)を覚える読者が多いのです。

誰も救われないように見える読後感が、この物語を強烈なイヤミスにしています。

結局、犯人の本当の動機は何だったのですか?

犯人である徳川の動機は、主人公アンへの歪んだ愛情表現です。

彼は、自分だけがアンの孤独や美意識を理解できる特別な存在だと証明したかったのです。

そのために、アンからの殺人依頼を利用して、彼女をいじめる周囲を罰し、自分たちの絆を確固たるものにするという計画を立てました。

物語の結末には、どんでん返しがあると聞きました。

はい、物語の最後には大きな真相が明かされる、見事などんでん返しが待っています。

計画された「殺人」が物理的なものではなく、クラスメイトの心を殺す「精神的な殺人」であったことが判明します。

この真相によって、それまでの登場人物の言動や伏線の意味がすべて反転するのです。

高校生が読書感想文の題材にするのはおすすめできますか?

とてもおすすめです。

この物語は、いじめやスクールカースト、孤独、歪んだ友情といった、高校生にとっても身近で深刻なテーマを扱っています。

登場人物の心理描写を深く考察し、自分なりの考えをまとめることで、読み応えのある読書感想文が書けます。

あらすじを読んでも、登場人物の誰にも共感できないかもしれません。

この物語は、特定の登場人物に感情移入するよりも、彼らが置かれた状況や、思春期特有の孤独が生み出す心の歪みを客観的に観察するような読み方が向いています。

なぜ彼らが異常な事件の計画に至ったのか、その心理を考察していくことで、このミステリーの本当の面白さを味わえます。

まとめ

『オーダーメイド殺人クラブ』は、孤独な少女が同級生に自身の殺害を依頼するという衝撃的な物語です。

しかし、この物語の本当の恐ろしさは、物理的な暴力ではなく、いじめを利用してクラスメイトたちの心を殺す「精神的な殺人」計画にあります。

この記事では、事件の真相や登場人物の心理を深く考察しました。

この救いがないようで、どこかに光も感じる複雑な物語を、ぜひあなた自身でもう一度味わってみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次