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【ネタバレ考察】東野圭吾の幻夜|美冬の正体は白夜行の雪穂か5つの根拠で解説

東野圭吾さんの小説『幻夜』。

この物語の面白さは、主人公・新海美冬の正体という謎に集約されます。

この記事では、彼女が『白夜行』の雪穂と同一人物であるという説を、5つの根拠をもとに徹底考察します。

物語のあらすじや登場人物、衝撃的な結末まで詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

美冬の正体は、やっぱり白夜行の雪穂なの?

二つの物語に隠された伏線を繋ぎ合わせることで、その答えが見えてきます

目次

東野圭吾『幻夜』の核心|新海美冬の正体は『白夜行』の雪穂という考察

東野圭吾さんの小説『幻夜』を読む上で最も重要となるのが、主人公・新海美冬の正体です。

彼女が一体何者なのかという謎こそが、この物語の最大の魅力であり、多くの読者を惹きつけてやまない核心部分になります。

そして、その謎を解き明かす鍵は、同じく東野圭吾さんの名作『白夜行』の中に隠されています。

この章では、『幻夜』がなぜこれほどまでに深く、そして怖い物語なのかを、新海美冬という人物像、『白夜行』との関係性、そして物語にリアリティを与える時代背景から解き明かしていきます。

底知れない悪女・新海美冬の謎

物語の主軸となる新海美冬は、自らの野望を叶えるためなら、どんな非情な手段も厭わない究極の悪女として描かれます。

彼女は絶世の美貌と巧みな話術を武器に、出会う人々を次々と魅了し、手駒として利用していきます。

特に、彼女を深く愛する水原雅也は、その純粋な心を逆手に取られ、美冬の成功のための道具として数々の犯罪に手を染めさせられます。

しかし、彼女自身の過去や内面は物語の最後まで一切語られることがありません

その謎めいた存在感が、読者に得体の知れない恐怖と強烈な印象を残すのです。

美冬はなぜ、あそこまで非情になれるの?

その答えのヒントが、前作『白夜行』に隠されています

彼女の行動原理が明かされないことこそが、この物語を何度も読み返したくなる魅力の源泉となっています。

物語を読み解く鍵となる『白夜行』との関連性

『幻夜』は単体の作品としても楽しめますが、その面白さを最大限に味わうには『白夜行』の存在が不可欠です。

この二つの物語には、作者が意図したとしか思えない数多くの共通点が散りばめられています。

『白夜行』の主人公である唐沢雪穂と『幻夜』の新海美冬は、男を手駒にする冷徹な手口、自身のブランドを持つという野望、そして決して決定的な証拠を残さない周到さなど、驚くほど多くの類似点が見受けられます。

これらは単なる偶然ではなく、二つの物語が地続きであり、美冬の正体が雪穂であることを強く示唆する伏線と言えます。

阪神・淡路大震災がもたらす物語のリアリティ

この物語に強烈な説得力と深みを与えているのが、物語の起点となる1995年1月17日の阪神・淡路大震災です。

実際に起きた未曾有の大災害を物語の冒頭に置くことで、フィクションでありながら生々しい現実味が生まれます。

震災の混乱の中で、水原雅也が叔父を殺害してしまい、その直後に新海美冬と出会うという設定は、二人の運命的な関係性の始まりを劇的に演出します。

さらに、この混乱に乗じて何者かが戸籍を乗っ取り別人になりすましたのではないか、という疑惑が生まれる余地を残しており、これが物語の核心に繋がる重要な装置として機能しているのです。

なぜ公式な続編ではなく姉妹作なのか

『幻夜』は『白夜行』の続編だと考察されることが多いですが、作者や出版社は公式に「続編」とは発表していません。

あくまで「姉妹作」という位置づけです。

これは、唐沢雪穂や桐原亮司といった名前が直接登場するわけではなく、物語が完全に独立しているためです。

「続編」としてしまうと、物語の解釈が一つに固定化されてしまいます。

そうではなく「姉妹作」とすることで、読者一人ひとりが自由に関係性を考察する余地が生まれ、物語の楽しみ方が広がります。

じゃあ、結局は別物として楽しむべき?

いえ、二つの物語を繋げて読むことで、東野圭吾さんの真意に近づけます

作者が明確な答えを示さないからこそ、『幻夜』は読者の想像力の中で完成する、より奥行きのある作品になっているのです。

読了後に心に残るもやもや感の正体

『幻夜』を読み終えた多くの読者が抱く、心にずっしりと残る「もやもや感」。

この感情の正体は、物語に一切の救いがなく、多くの謎が解明されないまま終わることに起因します。

美冬に全てを捧げた水原雅也は、用済みになった途端あっさりと切り捨てられ、悲劇的な最期を迎えます。

一方で、悪事の限りを尽くした美冬が罰を受けることはなく、さらなる野望に向かって進んでいくのです。

この勧善懲悪とは真逆の結末は、読者にカタルシスではなく、割り切れない感情を残します。

しかし、このもやもやこそが『幻夜』の真骨頂であり、美冬という悪女の存在を読者の心に深く刻みつけるのです。

物語の始まり|『幻夜』のあらすじと登場人物の相関図

東野圭吾さんの小説『幻夜』を読み解く上で、まず物語の土台となるあらすじと、複雑に絡み合う登場人物の関係性を把握することが欠かせません。

特に、主人公である新海美冬と水原雅也の歪んだ関係性が、この物語の全ての始まりであり、すべての事件の核となります。

彼らの出会いが、やがて多くの人々を巻き込む壮大な悲劇へと繋がっていきます。

ここを理解するだけで、物語への没入感が大きく変わるはずです。

【ネタバレなし】東野圭吾『幻夜』のあらすじ

物語は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の混乱から幕を開けます。

主人公の水原雅也は、震災のどさくさに紛れて借金の返済を迫る叔父を殺害してしまいました。

絶望の淵にいた彼の目の前に現れたのが、新海美冬と名乗る絶世の美女です。

「二人で東京へ行き、新しい人生を始めよう」という彼女の言葉を信じた雅也は、美冬の野望を叶えるための駒となり、次々と犯罪に手を染めていきます。

物語の時間は1995年から2000年までの5年間を描いており、現実の地下鉄サリン事件なども背景として登場します。

美冬の本当の目的は何なのか、そして彼女は一体何者なのか。

その謎を追う刑事・加藤亘の視点を交えながら、息もつかせぬ展開で物語は進んでいくのです。

まずは物語の骨格を掴みたい

ネタバレは一切ないので、安心して読み進めてください

このあらすじは、美冬という悪女の恐ろしさと、彼女に人生を狂わされていく雅也の悲劇的な運命の序章に過ぎません。

登場人物1-絶世の悪女・新海美冬

新海美冬は、この物語の絶対的な支配者です。

彼女は、誰もが目を奪われるほどの美貌と、卓越した頭脳やセンスを併せ持っています。

しかしその内面は、自らの野望を達成するためなら、他人を欺き、利用し、破滅させることも厭わない冷酷さに満ちあふれています。

彼女は周りの人間を巧みに魅了し、自分の手足として動かします。

特に雅也に対しては、彼の愛を利用し、完璧な道具として使いこなすのです。

彼女の過去や本当の目的は一切語られず、その謎めいた存在感が読者の心を強く惹きつけ、同時に底知れない恐怖を感じさせます。

彼女は一体何がしたいんだろう…

彼女の過去と目的こそが、この物語最大の謎です

新海美冬の正体を探ることこそが、『幻夜』という作品を読み解く鍵となります。

登場人物2-美冬に利用される男・水原雅也

水原雅也は、美冬への盲目的な愛ゆえに、彼女に人生の全てを捧げる悲劇の男です。

もともとは真面目な青年でしたが、震災の混乱の中で犯した殺人を美冬に知られたことが、彼の運命を大きく狂わせます。

彼は、父親が営んでいた町工場の影響で手先が器用であり、その技術が美冬の計画を遂行するための犯罪行為に利用されます。

美冬を愛し、彼女に認められることだけを生きがいに感じ、彼女の指示であればどんな非道な行いにも手を染めてしまうのです。

どうして彼は逃げなかったんだろう?

美冬のそばにいることだけが、彼の生きる意味になってしまったからです

雅也の純粋で一途な愛情が、結果的に彼の破滅を早め、物語の悲劇性をより一層深めています。

登場人物3-二人を追う刑事・加藤亘

加藤亘は、警視庁捜査一課に所属するベテラン刑事です。

彼は、美冬と雅也の周辺で起こる不可解な事件の数々を捜査する中で、二人の間に存在する異様な関係性に疑念を抱きます。

鋭い洞察力と執念深い捜査によって、一見すると無関係に見える事件の背後にある繋がりを見抜き、美冬と雅也の尻尾を掴もうとします。

彼の存在が、常に二人を追い詰め、物語全体に緊迫感をもたらす重要な役割を担っているのです。

この刑事が真実を暴いてくれるのかな?

彼の存在が、読者の視点を代弁し、物語に緊張感を与えます

読者は加藤刑事の視点を通して、美冬の恐ろしさと事件の真相に徐々に迫っていくことになります。

集英社文庫版の書籍情報とページ数

これから『幻夜』を読んでみようと考えている方のために、広く流通している集英社文庫版の情報をまとめました。

集英社文庫版は全792ページという大ボリュームで、読み応えは十分です。

解説は、同じく著名なミステリー作家である黒川博行氏が担当しています。

この分厚さがあるからこそ、美冬と雅也が駆け抜けた5年間の濃密な時間と、彼らの心の機微を丁寧に描き切ることができているのです。

【ネタバレ考察】美冬の正体が雪穂である5つの根拠

『幻夜』における最大の謎は、新海美冬の正体です。

作中ではっきりと語られることはありませんが、彼女が『白夜行』の唐沢雪穂と同一人物だと示唆する伏線が、物語の至る所に散りばめられています。

この謎を解き明かすことが、物語の核心に触れることにつながります。

これらの根拠を一つひとつ見ていくと、二人の女性像が驚くほど重なって見えてきます。

読者の想像力に委ねられた結末だからこそ、考察する楽しさが生まれるのです。

根拠1-震災を利用した戸籍の入れ替わり

物語の始まりである阪神・淡路大震災が、戸籍を入れ替える絶好の機会となったと考えられます。

『白夜行』のラストで唯一の共犯者であった亮司を失った雪穂にとって、過去を完全に捨て去る必要がありました。

1995年1月17日に発生した震災では、6,400人以上の方が犠牲となり、行政機能も混乱しました。

この未曾有の災害に乗じて、雪穂が「新海美冬」という別の女性になりすまし、新たな人生を始めた可能性は十分にあります。

美冬の過去が作中で全く語られないのは、彼女に「新海美冬」としての過去が存在しないからなのです。

でも、他人の戸籍を乗っ取るなんて本当にできるのでしょうか?

震災の混乱と、彼女の用意周到な計画があれば不可能ではありません。

震災は、唐沢雪穂という存在を社会的に抹殺し、新海美冬として生まれ変わるための、完璧な舞台装置だったと言えます。

根拠2-男を手駒にする手口の類似

美冬が水原雅也を意のままに操る手口は、雪穂が周囲の男性を利用してきた方法と不気味なほどよく似ています。

どちらの女性も、標的とした男性の持つ才能や純粋な心を見抜き、自身の野望を叶えるための道具として冷徹に使い捨てるのです。

『白夜行』で雪穂は、友人の恋人を奪い、さらには自分の養女の婚約者まで手に入れようとしました。

一方の美冬も、雅也の類まれな手先の器用さを利用し、宝飾品のデザインから殺人に至るまで、あらゆる犯罪行為を平然と指示します。

この姿は、まさに『白夜行』で亮司に罪を重ねさせた雪穂の姿そのものです。

雅也は、まるで『白夜行』の亮司のようですね。

はい。しかし亮司と雪穂が互いを必要とする共生関係だったのに対し、雅也は美冬に一方的に利用される存在でした。

自分を愛する人間を影で操り、その犠牲の上に自らの光を輝かせる。

この特異な支配関係は、雪穂と美冬が同一人物であると考える強力な根拠となります。

根拠3-共通の目標であるブティック経営

二人の女性を結びつける、もう一つの決定的な共通点があります。

それは、高級ブティックを経営し、ファッションの世界で成功を収めるという全く同じ夢です。

『白夜行』で雪穂は、自身のブティック「R&Y」をオープンさせました。

そして『幻夜』では、美冬が雅也のデザインを盗用する形で立ち上げたブランド「M」が大成功を収めます。

自身のイニシャルをブランド名に採用する点まで共通しており、これが単なる偶然と考えるには無理があります。

まるで一度成功したビジネスモデルを、別の場所で再び再現しているかのようです。

ブティック経営への強い執着は、彼女たちの歪んだ美意識の表れでしょうか。

美しいもので自身を飾り立てる行為が、忌まわしい過去を隠すための鎧なのかもしれません。

『白夜行』で一度は手にした夢を、新しい名前と新しいパートナーで再びなぞるかのように、美冬はブティック経営に執念を燃やします。

この目標の一致は、二人が同じ野望を抱く同一人物であることを強く物語っています。

根拠4-『白夜行』のラストと繋がる伏線

『幻夜』には、『白夜行』を読了した読者だけがその意味に気づく、巧みな伏線が仕掛けられています。

特に重要なのが、映画『風と共に去りぬ』への言及です。

『白夜行』の衝撃的なラストシーンで、亮司の死を目の前にした雪穂は、彼のことを見知らぬ人間だと言い放ち、一度も振り返ることなく去っていきます。

その姿は、全てを失っても「明日は明日の風が吹く」と前を向く主人公、スカーレット・オハラを彷彿とさせました。

『幻夜』で美冬が雅也にこの映画の話をする場面は、まさにあのラストシーンの続きを示唆しているのです。

ということは、『幻夜』は『白夜行』を読んでからの方が楽しめそうですね。

間違いありません。二つの物語に隠された伏線に気づくことで、物語の深みが何倍にも増します。

雪穂が亮司という「太陽」を失い、自らが光を放つ存在になろうと決意した瞬間が『白夜行』の終わりだとすれば、『幻夜』はその決意を実行に移した後の、彼女の壮絶な生き様を描いた物語と解釈できるでしょう。

根拠5-救いのない結末と二人の関係性

『幻夜』の結末は、多くの読者に言葉を失うほどの衝撃を与えました。

自身の目的をすべて達成した美冬は、最後まで献身的に尽くしてきた雅也を、用済みになった道具のようにあっさりと切り捨てます。

このあまりにも救いのない結末こそが、美冬の正体を解き明かす最後のピースとなります。

『白夜行』において、亮司は自ら命を絶つことで雪穂の秘密を永遠に守り抜きました。

その行動の裏には、歪んではいるものの確かな「愛」が存在しました。

しかし、『幻夜』の関係に美冬から雅也への愛情は一片も感じられません。

そこにあるのは、完全な支配と利用のみです。

なぜ美冬は、あれほど自分を愛してくれた雅yaを殺す必要があったのですか?

雅也は美冬の過去を知る唯一の証人であり、彼女が完璧な「新海美冬」として生きる上で最も邪魔な存在だったからです。

亮司という唯一の理解者を失ったことで、雪穂(=美冬)の中から人間らしい感情がすべて消え去ってしまったのだとしたら。

この非情すぎる結末は、『白夜行』の後の彼女の精神的な変貌を、残酷なまでに描き出しているのではないでしょうか。

『幻夜』と『白夜行』の決定的な違い-寄生と共生

『幻夜』と『白夜行』は姉妹作とされていますが、描かれる男女の関係性には決定的な違いがあります。

それは、二人の関係が『幻夜』では「寄生」、『白夜行』では「共生」であるという点です。

『白夜行』の雪穂と亮司は、お互いがいないと生きていけず、互いの存在を支え合う、いわば一心同体の存在でした。

片方が光であればもう片方は影となり、常に二人で一つの世界を形成していたのです。

しかし、『幻夜』の美冬と雅也の関係は、美冬が雅也の才能と愛情を一方的に吸い尽くすだけの、いびつな支配関係に過ぎません。

だから『幻夜』の方が、より一層怖くて救いがないと感じるのですね。

その通りです。そこには何の光もなく、ただただ人間の底知れない悪意と孤独だけが深く広がっています。

この「寄生」と「共生」という関係性の違いを理解することで、二つの物語が持つ本質が見えてきます。

『幻夜』で描かれる絶望感は、共生する相手さえ失った悪女の、底なしの孤独から生まれているのです。

読者の感想や評価から見える『幻夜』の怖い魅力

『幻夜』を読んだ多くの人々が、その「救いのなさ」と「心に残る後味の悪さ」を、この作品ならではの魅力として挙げています。

読書メーターなどのレビューサイトでは、「美冬の悪女っぷりが清々しいほどに突き抜けている」「雅也が哀れで読み進めるのが辛かった」「白夜行を読んだ後だと怖さが倍増する」といった声が数多く見られます。

集英社文庫版には3,600件を超える感想・レビューが寄せられており、その注目度の高さがうかがえます。

怖い、辛いと思いながらも、ページをめくる手が止まらなくなってしまいます。

人間の心の闇を覗いてみたい、という根源的な好奇心は誰にでもあるものです。

物語の結末を知ってもなお、なぜ美冬はそこまで冷酷になれたのか、雅也はなぜ彼女を盲目的に信じ続けたのか、と問い続けずにはいられません。

この読者の心にいつまでも残り続ける「もやもや」こそが、人々を虜にする『幻夜』の恐ろしくも魅力的な力と言えるでしょう。

ドラマ版『幻夜』のキャストと原作との違い

2010年にWOWOWで放送されたドラマ版『幻夜』は、原作の持つ重厚な世界観を映像で見事に表現しました。

特に、絶世の悪女・新海美冬を誰が演じるのかは、原作ファンにとって最大の関心事でした。

このパートでは、豪華キャスト陣の配役や、原作から変更された点、そしてドラマ版ならではの評価について詳しく解説します。

WOWOW制作ドラマの概要

『幻夜』は、WOWOWの「連続ドラマW」枠でテレビドラマ化されました。

2010年11月21日から2011年1月16日にかけて、全8回で放送されています。

実力派の俳優陣と、骨太なストーリーを得意とする制作陣によって、見ごたえのあるサスペンスドラマに仕上がりました。

原作の世界観を尊重しつつも、映像ならではの演出が光る作品です。

新海美冬役-深田恭子

本作の主人公であり、底知れない悪女・新海美冬を演じたのは、深田恭子さんです。

普段の可憐なイメージとは正反対の役柄だったため、放送前から大きな話題を呼びました。

彼女がこの役を演じることこそ、ドラマ版の最大の魅力と言えるでしょう。

深田さんが見せる、天使のような微笑みの裏に隠された冷酷な眼差しは、原作で描かれた美冬の恐ろしさを見事に体現しています。

見る者を翻弄する魔性の魅力を、その存在感で表現しました。

深田恭子の美冬って、原作のイメージと合うの?

可愛らしさの裏に隠された冷徹な表情は必見です

彼女の演技によって、新海美冬というキャラクターに新たな命が吹き込まれ、多くの視聴者を震撼させました。

水原雅也役-塚本高史

美冬に利用され、破滅の道を突き進む悲劇の男・水原雅也を演じたのは、塚本高史さんです。

美冬への純粋な愛情と、犯した罪への罪悪感との間で揺れ動く繊細な心情表現が求められる、難しい役どころになります。

塚本さんは、純朴な青年が美冬と出会うことで徐々に人間性を失っていく様を、見事に演じ切りました。

その苦悩に満ちた表情は、視聴者の同情を強く誘います。

雅也の哀れさが伝わってくるかな?

彼の瞳から目が離せなくなります

美冬への盲目的な愛ゆえに、犯罪に手を染めていく雅也の悲哀と絶望をリアルに体現しました。

加藤亘役-柴田恭兵

美冬と雅也を執拗に追い詰める警視庁のベテラン刑事・加藤亘役は、柴田恭兵さんが務めました。

百戦錬磨のベテラン俳優である柴田さんの存在が、ドラマ全体に重厚感と緊迫感を与えています。

鋭い洞察力と執念で、二人の周囲で起こる事件の真相に迫っていく姿は、まさに原作の加藤刑事そのものです。

美冬との息詰まるような心理戦は、ドラマの大きな見どころの一つになっています。

柴田恭兵の刑事役、絶対かっこいいはず!

原作の加藤刑事のイメージそのものでした

物語の謎を解く鍵を握る重要な役どころを、その圧倒的な存在感で演じきっています。

原作の設定との違いとドラマ版の評価

ドラマ版『幻夜』は、原作の骨格を維持しながらも、いくつかの設定が変更されました。

最も大きな違いは、物語の始まりである震災が、阪神・淡路大震災から東海地方で発生した架空の地震に変更されている点です。

これらの変更点について、原作ファンからは賛否両論の声が上がりました。

しかし、一つの独立したサスペンスドラマとして、そのクオリティは高く評価されています。

特に、深田恭子さんが演じる美冬の悪女ぶりは、原作とは違った生々しい恐怖を感じさせると評判でした。

原作を読んだ後でドラマを観ることで、文字だけでは想像しきれなかった登場人物の表情や感情が伝わり、物語をより深く味わうことができます。

主題歌-珠妃「光の彼方へ」

ドラマのエンディングを飾り、物語の余韻を深くする主題歌は、当時16歳だったシンガー、珠妃(たまき)さんの楽曲「光の彼方へ」です。

この曲の切ないメロディと歌詞は、美冬の心の奥底に眠る孤独や、雅也の報われることのない愛を想起させます。

ドラマの悲劇的な結末と相まって、視聴者の心に強く残る一曲となりました。

主題歌も物語の世界観に合ってるのかな?

切ないメロディが、二人の悲劇的な運命を象徴しています

物語を見終えた後にこの主題歌を聴くと、登場人物たちの姿が目に浮かび、再び『幻夜』の世界に引き込まれていくでしょう。

よくある質問(FAQ)

『幻夜』と『白夜行』はどちらから読むべきですか?

『幻夜』は単独の作品としても楽しめますが、物語の深みを最大限に味わうためには、『白夜行』を先に読んでおくことを強くおすすめします。

そうすることで、『幻夜』の主人公・新海美冬の正体や行動原理についての考察が一層面白くなり、『白夜行』との関係性を探る楽しみが生まれます。

『幻夜』は面白いですか?読者の評価が気になります。

はい、東野圭吾作品の中でも傑作と名高い小説です。

ただし、読後感が良いタイプの物語ではありません。

人間の底知れない悪意や救いのない結末が描かれるため、読者の感想は「後味は悪いが最高に面白い」「怖いが引き込まれて一気に読んだ」という評価が多く見られます。

このずっしりとした感覚こそが、『幻夜』の大きな魅力です。

なぜ『幻夜』は『白夜行』の公式な続編ではないのですか?

東野圭吾先生や出版社が『幻夜』を公式な続編としていないのは、物語が独立しており、登場人物の名前も異なるためです。

あえて「姉妹作」とすることで、新海美冬の正体が『白夜行』の雪穂なのかどうか、読者一人ひとりが自由に考察できる余地を残しています。

この謎こそが、作品の楽しみの一つなのです。

『幻夜』のあまりにも救いのないラストには、どんな意味があるのですか?

『幻夜』のラストは、目的を達成した美冬が、自らの過去を知る水原雅也を計画的に排除する衝撃的な結末を迎えます。

この救いのない結末は、美冬の人間性が完全に失われていることを象徴します。

彼女にとって雅也は、愛する人ではなく、秘密を守るための最後の障害物に過ぎなかったという、残酷な真実を突きつける場面です。

『幻夜』はドラマ化されていますか?キャストは誰でしたか?

はい、2010年にWOWOWで全8話の連続ドラマとして放送されました。

絶世の悪女である新海美冬役を深田恭子さん、彼女に利用される水原雅也役を塚本高史さんが演じています。

原作とは一部設定に違いがありますが、特に深田恭子さんが演じる美冬の怖さは、原作ファンからも高い評価を得ました。

『幻夜』の文庫本はどこで手に入りますか?

『幻夜』は集英社文庫から刊行されており、全国の書店やオンラインストアで広く取り扱われています。

792ページという大ボリュームの作品で、読み応えは十分です。

電子書籍版も配信されているため、すぐに読みたい方にはそちらも良い選択肢になります。

まとめ

東野圭吾さんの小説『幻夜』について、そのあらすじから登場人物、そして衝撃的な結末のネタバレまで、物語の魅力を深く解説しました。

この作品の面白さは、主人公・新海美冬の正体が『白夜行』の雪穂なのかという謎にあり、この記事ではその根拠を徹底的に考察しています。

この記事で紹介した考察を手がかりに、ぜひもう一度『幻夜』、そして姉妹作である『白夜行』を読み返してみてください。

二つの物語を繋ぐことで、東野圭吾さんが描いた人間の心の闇を、より深く感じ取ることができます。

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