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三浦しをんのまほろ駅前多田便利軒は面白い?あらすじから読む順番まで5分で解説

三浦しをんさんの小説『まほろ駅前多田便利軒』の魅力は、傷ついた過去を抱える不器用な男二人が織りなす、おかしくてどこか切ない日常にあります。

直木賞を受賞したこの物語は、小説だけでなく映画やドラマにもなっており、どこから始めても楽しめるシリーズ作品として多くのファンに愛され続けています。

シリーズ作品って、どれから手をつければいいか分からないし、途中で挫折しそうで不安…

大丈夫です、この記事を読めばあなたにぴったりの楽しみ方が見つかりますよ。

目次

面白いの?『まほろ駅前多田便利軒』の魅力と作品の概要

この物語の面白さの核心は、なんといっても不器用ながらも懸命に生きる登場人物たちのリアルな姿にあります。

東京の郊外にある架空の街「まほろ市」を舞台に、便利屋を営む二人の男の、どこかおかしくて、でも切ない日常が描かれます。

単なる便利屋の物語ではなく、人と人との繋がりや、過去を乗り越えて生きていくことの温かさを感じさせてくれる作品です。

第135回直木賞受賞、便利屋が紡ぐ物語

本作は、大衆文学作品に与えられる最も権威ある文学賞の一つである直木賞を受賞しています。

文学賞受賞と聞くと構えてしまうかもしれませんが、この作品は決して難解なものではありません。

『まほろ駅前多田便利軒』の文庫版は352ページあり、読書サイトには6,650件を超える感想・レビューが寄せられるほど、多くの読者に愛されている物語です。

文学賞って聞くと、難しそうなイメージがあるな…

ご安心ください。ユーモアあふれる会話と、心温まる人間ドラマが中心で、とても読みやすい物語ですよ。

その文章の巧みさと物語の面白さが両立している点が、本作が広く支持される理由の一つとなっています。

多田と行天、バツイチ男二人が織りなす人間ドラマ

物語の中心にいるのは、多田便利軒を営む多田啓介と、彼の元に転がり込んできた同級生の行天春彦です。

真面目で律儀な多田は30代半ばのバツイチ。

一方の行天は、過去のある出来事で右手の小指の先を失っており、自由奔放で掴みどころがありません。

そんな正反対の二人が、一つの屋根の下で奇妙な共同生活を送ります。

タイプの違う二人がどうして一緒にいるんだろう?

正反対だからこそ、お互いに足りない部分を補い合える、最高の相棒なんです。

この二人のクスッと笑える日常のやり取りと、ふとした瞬間に見せる絆の深さが、本作の最大の魅力となっています。

心温まる依頼とちょっぴり切ない過去

多田便利軒に舞い込んでくる依頼は、ごくありふれた日常の困りごとがほとんどです。

例えば、ソースのあらすじにもあるように、「ペットの世話」「塾の送り迎え代行」「納屋の整理」など、私たちの身の回りでも起こりそうなことばかりです。

しかし、そんな依頼の一つひとつに、依頼主の人生や人間模様が垣間見えます。

便利屋さんの話って、地味じゃないのかな?

一つひとつの依頼に、私たちの日常と地続きのドラマが詰まっていますよ。

多田と行天はこれらの依頼をこなす中で、自分たち自身の心にしまっていた切ない過去とも向き合うことになります。

日常に潜む小さな事件を通して、登場人物たちの心の機微が丁寧に描かれるのです。

作者・三浦しをんが描く世界観

作者の三浦しをん先生は、『舟を編む』で2012年の本屋大賞を受賞したことでも知られる、人気作家です。

本作『まほろ駅前多田便利軒』では、2006年に第135回直木賞を受賞し、その実力を世に示しました。

三浦先生の作品は、どこか頼りないけれど憎めない人々を、温かい眼差しで描く点に特徴があります。

この作者さんの他の本も面白そう!

はい、『舟を編む』は辞書作りをテーマにした作品で、こちらも映画化されています。

登場人物の心理描写や、思わず笑ってしまうような軽妙な会話劇の巧みさが、物語にリアリティと深みを与えています。

物語の舞台「まほろ市」のモデル、東京都町田市

物語に登場する「まほろ市」は、作者の三浦しをん先生が暮らす東京都町田市がモデルになっています。

そのため、作中に出てくる駅前の風景や商店街の描写には、現実の町田の街並みが色濃く反映されています。

物語のファンが、モデルとなった場所を実際に訪れる「聖地巡礼」を楽しむことも、この作品の魅力の一つです。

モデルになった場所があるんだ!行ってみたいかも。

作中の風景と見比べながら歩くと、物語の世界がより身近に感じられますよ。

実在の街をモデルにすることで、多田や行天が本当にどこかで暮らしているかのような、親近感とリアリティを感じさせてくれます。

【ネタバレなし】あらすじと主要登場人物の紹介

『まほろ駅前多田便利軒』のあらすじ

多田便利軒の経営者、多田啓介(キャスト:永山瑛太)

謎多き助手、行天春彦(キャスト:松田龍平)

二人の不器用な関係性と心の絆

読者・視聴者から寄せられた感想と評判

どこから始める?シリーズの読む順番・観る順番を完全網羅

「まほろ駅前多田便利軒」シリーズの魅力は、小説からでも映像作品からでも、自分の好きな入口から物語の世界へ入っていける点です。

活字でじっくり物語を味わいたい人も、まずは映像で雰囲気を掴みたい人も、どちらから始めても楽しめる構成になっています。

それぞれの特徴をまとめたので、あなたの好みに合わせて選んでみてください。

小説と映像作品、どちらも甲乙つけがたい魅力があります。

この見出しでは、それぞれのシリーズをどの順番で楽しめば良いのか、詳しく解説していきます。

【小説】刊行順に楽しむ原作シリーズ3作

原作の持つ言葉の力をじっくりと味わいたいなら、刊行された順番に3作品を読み進めるのが王道です。

多田と行天の関係性が少しずつ深まっていく過程を、作者である三浦しをん先生の筆致で丁寧に追体験できます。

2006年の第1作から2013年の第3作まで、二人が便利屋として過ごした時間が描かれます。

物語の時間軸に沿って読み進めることで、登場人物たちへの感情移入もより深まるでしょう。

シリーズって途中で挫折しそうで不安です…

1作ずつ読み進めることで、多田と行天の成長を一緒に体験できますよ

まずは、すべての始まりである第1作から手に取ってみてはいかがでしょうか。

1作目『まほろ駅前多田便利軒』

この物語はシリーズの原点であり、多田と行天の出会いが描かれる最も重要な作品です。

ここから、あの忘れられない二人の日々が始まります。

2006年3月に刊行され、その年の第135回直木賞を受賞しました。

バツイチの便利屋・多田のもとへ、ひょんなことから同級生の行天が転がり込んでくる、奇妙な共同生活の幕開けが描かれています。

すべての物語はこの一冊から始まります。

まずはこの作品から読むことで、「まほろ」の世界観にスムーズに入り込めます。

2作目『まほろ駅前番外地』(短編集)

シリーズ第2作は、1話完結で構成された連作短編集です。

前作よりも気軽に読み進めることができる点が大きな特徴といえます。

2009年10月に刊行されました。

庭の草むしりや子どものお守りといった日常的な依頼から、少し変わった出来事まで、便利屋稼業の悲喜こもごもが描かれています。

各エピソードを通して、多田と行天の関係性が少しずつ変化していく様子が楽しめます。

長編小説を一気に読むのが少し億劫に感じる方でも、この短編集なら自分のペースで物語を楽しめるのでおすすめです。

3作目『まほろ駅前狂騒曲』

小説シリーズのクライマックスを飾るのが、この長編『まほろ駅前狂騒曲』です。

これまで断片的にしか語られなかった行天の過去に深く迫る物語が展開されます。

2013年10月に刊行された本作では、行天の娘「はる」が登場し、便利屋の二人に大きな転機が訪れます。

まほろ市全体を巻き込む事件へと発展していくスケールの大きな物語は、読み応えがあります。

多田と行天が紡いできた日々の集大成であり、シリーズを通して読んできたファンにとって感動的な結末が待っています。

【映像作品】映画2作とドラマ1作の公開順

「まほろ」シリーズは、活字が苦手な方でも楽しめる映像作品が充実しています。

何と言っても、永山瑛太さんと松田龍平さんが演じる多田と行天は、原作者やファンも認めるほどのハマり役です。

映画が2本、テレビドラマが1本制作されており、物語の雰囲気を掴むには最適の方法といえます。

まずは映像作品から入って、お気に入りのエピソードや登場人物を見つけるのも素敵な楽しみ方です。

映画とドラマがあるんですね!どれから観ればいいですか?

公開された順番に観るのがおすすめです。物語の時系列に沿って楽しめます

ここからは、各映像作品を公開された順番にご紹介します。

映画『まほろ駅前多田便利軒』(主題歌:くるり)

映像作品の入門編として最適なのが、小説第1作を原作としたこの映画です。

二人の出会いから、便利屋としての日々が始まるまでを丁寧に描いています。

2011年4月23日に公開されました。

監督は、『ゲルマニウムの夜』などで知られる大森立嗣です。

多田と行天の不器用だけれど温かい関係性を、ロックバンド・くるりの主題歌「キャメル」が優しく彩ります。

まずはこの作品を観て、動く多田と行天の空気感に触れてみてください。

きっと、すぐに二人のことが好きになります。

ドラマ『まほろ駅前番外地』(監督:大根仁)

映画の続編として制作されたのが、このテレビドラマです。

小説の短編集をベースにしつつ、ドラマならではのオリジナル要素を加えたパラレルワールド的な作品であることが大きな見どころです。

2013年1月からテレビ東京系「ドラマ24」の枠で放送されました。

監督を『モテキ』や『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』で知られる大根仁が務め、映画とは一味違うテンポの良い演出で物語が展開します。

その完成度の高さから、2013年3月度のギャラクシー賞月間賞を受賞しています。

映画版のキャストはそのままに、よりスタイリッシュでコミカルな「まほろ」の世界を堪能できる一作です。

映画『まほろ駅前狂騒曲』(監督:大森立嗣)

映画版の完結編であり、小説シリーズ第3作を原作とした、物語の集大成と呼べる作品です。

2014年10月18日に公開されました。

再び大森立嗣監督がメガホンを取り、行天の過去にまつわるシリアスなドラマと、手に汗握るバスジャック事件が描かれます。

主題歌は、またもやくるりが担当した「There is (always light)」が、物語のエンディングを感動的に演出します。

これまでの物語を経て変化した二人の関係性が見どころであり、シリーズを追いかけてきたファン必見の作品となっています。

小説と映像の異なる魅力と楽しみ方

ここまでご紹介してきたように、「まほろ」シリーズには、小説ならではの心理描写の深さと、映像ならではの俳優の演技や空気感という、それぞれに異なる魅力があります。

小説では、主人公である多田の視点から語られるモノローグが多く、彼の心情が丁寧に描かれています。

一方、映像作品では、永山瑛太さんと松田龍平さんという二人の名優が作り出す、絶妙な空気感や間(ま)を視覚的に楽しむことができます。

どちらから始めるか迷います…

手軽に世界観を知りたいなら映画、じっくり物語に浸りたいなら小説がおすすめです

小説を読んでから映像を観て「あのシーンはこう表現されるのか」と楽しむのも良いですし、映像を観てから小説を読んで「キャラクターはこんなことを考えていたのか」と発見するのも一興です。

ぜひ両方に触れて、「まほろ」の世界を隅々まで味わってみてください。

よくある質問(FAQ)

小説シリーズはこれで完結ですか?続編の可能性はありますか?

現在のところ、小説シリーズは2013年刊行の『まほろ駅前狂騒曲』で一区切りとなっています。

作者の三浦しをん先生から続編に関する公式な発表はありませんが、多田と行天の便利屋稼業がこの先も続いていくことを想像させてくれる終わり方です。

映画とドラマは設定や話が繋がっているのでしょうか?

はい、映画1作目『まほろ駅前多田便利軒』と、その完結編である映画『まほろ駅前狂騒曲』は物語が直接繋がっています。

一方で、ドラマ『まほろ駅前番外地』は、映画と同じキャストが出演しますが、監督も異なり、原作の短編集を基にしたパラレルワールド的な作品です。

映像作品を観るなら、まずは映画1作目から始めることをおすすめします。

多田と行天の魅力は、ずばりどんな関係性にあるのでしょう?

正反対の二人が互いの欠点を補い合い、言葉にしなくても深い部分で理解し合っている、唯一無二の相棒である点です。

友情や家族とは少し違う、切なくて温かい二人の絆や絶妙な距離感が、この物語の面白さの核となっています。

この関係性には恋愛要素はありません。

舞台のモデルになった町田市で聖地巡礼はできますか?

はい、楽しむことができます。

物語の象徴である駅前の風景や商店街など、映画のロケ地にもなった場所が町田市には点在します。

作中で描かれる「まほろ市」の雰囲気を肌で感じながら街を散策すると、登場人物たちの日常をよりリアルに感じられるでしょう。

映画の主題歌はなぜ「くるり」が担当しているのですか?

大森立嗣監督が原作小説を読んでいるときから、頭の中でずっとくるりの音楽が流れていたことがきっかけです。

監督が「彼らしかいない」と熱烈に依頼したことで実現しました。

作品の世界観とくるりの楽曲が持つ温かさや切なさが深く共鳴し、多田と行天の物語を優しく彩っています。

ネタバレなしで、この作品の一番の魅力を教えてください

傷ついた過去を持つ二人が、便利屋の仕事を通して様々な人々と出会い、少しずつ再生していく姿にあります。

多田啓介と行天春彦のクスッと笑える日常のやり取りの中に、ふと垣間見える優しさや切なさが心を温めてくれる点こそ、多くの読者や視聴者の感想で語られる魅力です。

まとめ

三浦しをんさんの直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』の魅力を、あらすじや読む順番まで網羅的に解説しました。

この物語の面白さは、傷ついた過去を抱える多田と行天という不器用な男二人が織りなす、おかしくてどこか切ない日常にあります。

どこから手をつければ良いか迷っていた方も、この記事を参考に、まずは小説か映画、あなたに合った入口から「まほろ」の世界に足を踏み入れてみてください。

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