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【ネタバレなし】小説『雨降る森の犬』のあらすじと感想|馳星周が描く犬との絆に感動し泣ける

馳星周さんが描く『雨降る森の犬』は、心を閉ざした少女と一匹の犬が織りなす、感動と癒しの物語です。

この作品で最も胸を打つのは、言葉を超えて心を通わせる少女と犬の深い絆になります。

この記事では、小説『雨降る森の犬』のあらすじや登場人物、読者の感想をネタバレなしで解説します。

著者自身の愛犬がモデルという背景を知ると、物語がより一層心に響きます。

作り手の想いがこもった、心に深く残る物語に出会いたいな

管理人

作者の実体験が紡ぐ、温かい絆の物語がここにありますよ

目次

犬と人の絆が描く感動と癒しの物語

この物語で最も重要なのは、言葉を超えて心を通わせる少女と犬の絆です。

家族との関係に悩み、心を閉ざした少女が、一匹の犬や雄大な自然、そして同じ痛みを抱える少年との出会いを通じて成長していく、感動と癒しの物語です。

読み終えた後、きっとあなたは大切な誰かや、そばにいる動物をそっと抱きしめたくなるでしょう。

心を閉ざした少女の成長譚

主人公は、父を亡くし、新しい恋人に夢中な母親との関係に悩む中学生の広末雨音(ひろすえ あまね)です。

不登校になった彼女は、母親が海外へ行くのを機に、長野で暮らす山岳写真家の伯父のもとに身を寄せます。

そこで出会ったのが、人に触られるのを嫌う大型犬、ワルテルでした。

最初は距離のあった雨音とワルテルですが、共に過ごす時間の中で、少しずつ心を開いていきます

主人公がどう変わっていくのか気になる…

管理人

ワルテルや同じ悩みを抱える少年との出会いが、彼女を大きく成長させます

家族に裏切られたと感じ、心を閉ざしていた少女が、自分自身の足で未来へ歩みだそうとする姿に胸を打たれます。

雄大な自然がもたらす癒し

物語の舞台となるのは、著者・馳星周さんが実際に暮らす長野県の立科や軽井沢の美しい森です。

馳さん自身も愛犬との生活のために軽井沢へ移住しており、その経験から生まれる自然の描写は圧巻といえます。

登山や森の中でのシーンを通じて、まるで自分もその清々しい空気の中にいるかのような感覚を味わえます

登場人物たちが雄大な自然に抱かれ、心の傷を癒していく様子は、日々の喧騒に疲れた私たちの心にも安らぎを与えてくれます。

「今を生きる」という力強いメッセージ

この作品の根底に流れるのは、「今を生きる」というシンプルで力強いメッセージです。

作中で伯父が雨音に贈る「ワルテルみたいに今を生きるんだ。

一瞬一瞬を。

一生懸命生きるんだ」という言葉は、馳さんが歴代の愛犬たちから学んだ教訓そのものです。

過去に囚われず、未来を恐れない動物たちの姿が、私たち人間に大切なことを教えてくれます。

悩みを抱える登場人物たちが、このメッセージを胸に前を向く姿は、読者に生きる勇気を与えてくれるのです。

著者・馳星周の実体験が物語の核

この物語が私たちの心に深く響く理由は、著者である馳星周さんご自身の体験が色濃く反映されているからです。

作中に登場する犬「ワルテル」は、馳さんが5年前に亡くされた愛犬のバーニーズ・マウンテン・ドッグがモデルになっています。

馳さんの姪と愛犬ワルテルの間にあった特別な絆を描きたいという想いが、この物語を生むきっかけとなりました。

作り手の想いが伝わる物語を読みたいと思っていたから、すごく惹かれる

管理人

馳さんの犬への愛情が、物語の隅々から伝わってきますよ

犬、山、写真といった、馳さんの人生を豊かにした要素が詰め込まれており、その熱量が読者の心を強く揺さぶります。

【ネタバレなし】小説『雨降る森の犬』のあらすじと登場人物

この物語は、父親を亡くし母親との関係に悩む不登校の少女、雨音が主人公です。

心を閉ざした彼女が、長野の雄大な自然の中で暮らす伯父や一匹の犬、そして同じ痛みを抱える少年と出会うことで、少しずつ自分を取り戻していく再生の物語が描かれています。

ここでは、物語を彩る主要な登場人物たちを紹介します。

物語の舞台となる長野の美しい森

物語の主な舞台は、長野県の立科や軽井沢です。

作者である馳星周さんは、実際に愛犬との生活のために軽井沢へ移住しました。

そのため、作中で描かれる森の静けさや山の空気感、木々の香りといった自然の描写は、自身の経験に裏打ちされたリアリティにあふれています。

ただの背景ではなく、登場人物の心を癒し、成長を促す重要な役割を担っています。

どうして自然の描写がこんなにリアルなのですか?

管理人

作者の馳星周さん自身が、長野県の軽井沢で犬と共に暮らしているからこそ描ける、圧巻の風景描写が魅力です。

物語に登場する登山や森でのシーンは、読者をまるでその場所にいるかのような気分にさせてくれます。

主人公の広末雨音

主人公の広末雨音は、父を亡くした後、新しい恋人に夢中な母親に反発し、心を閉ざしてしまった不登校の中学生です。

母親が海外へ行くことになり、長野で暮らす山岳写真家の伯父、乾道夫のログハウスに身を寄せることになります。

そこで出会う犬のワルテルや高校生の正樹との交流を通して、彼女の止まっていた時間が再び動き出すのです。

この物語は、傷ついた少女が自分の足で未来へ歩み出すまでの、繊細な心の軌跡を描いています。

変わり者の犬ワルテル

雨音が伯父の家で出会うのが、大型犬のワルテルです。

犬種はバーニーズ・マウンテン・ドッグで、人に触られるのを嫌う「変わり者」として描かれます。

このワルテルには実在のモデルがおり、作者の馳星周さんが5年前に亡くされた2代目の愛犬です。

犬種も「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」で、名前も同じ「ワルテル」でした。

最初は距離のあった雨音とワルテルが、言葉を超えて絆を深めていく過程は、この物語の大きな見どころです。

雨音を見守る伯父の乾道夫

乾道夫は、雨音の伯父であり、長野の森で暮らす山岳写真家です。

不登校になった雨音を静かに受け入れ、彼女が自分の力で立ち直るのを見守ります。

特定のモデルはいませんが、犬に対して「絶対的なリーダー」として毅然と接する姿は、馳星周さん自身が投影されているキャラクターです。

厳しさの中に優しさを秘めた道夫の言葉は、雨音だけでなく、同じ悩みを抱える正樹の心にも深く響きます。

悩みを抱える高校生の国枝正樹

国枝正樹は、道夫の家の隣に住む高校生です。

彼もまた父親と後妻との関係に悩み、心に傷を負っています。

雨音と似た境遇を持つ二人は、道夫から登山を教わる中で交流を深めていきます。

同じ痛みを分かち合う存在として、互いに影響を受けながら成長していくのです。

傷ついた若者たちが、厳しい自然や犬との触れ合いを通じて再生していく姿も、この小説の感動的なテーマの一つです。

読者の感想レビューから紐解く3つの魅力

『雨降る森の犬』が多くの読者の心を掴んで離さない理由は、実際に作品を読んだ人々の感想に表れています。

ここからは、読書メーターに寄せられたレビューを参考に、この物語が持つ3つの魅力を解き明かしていきます。

言葉を超えた犬との絆、息をのむほど美しい自然描写、そして傷ついた心が再生していく姿が、多くの感動を呼んでいるのです。

魅力1 犬と共に生きる日々に涙する絆の深さ

この物語の最大の魅力は、主人公の雨音と犬のワルテルが育む、深く温かい絆の描写にあります。

最初は人に懐かなかったワルテルが、共に時間を過ごす中で少しずつ心を開き、かけがえのない存在になっていく過程は、犬と暮らした経験がある人ならずとも胸を熱くします。

言葉を交わせなくても、お互いの存在が救いになる。

そんな動物との純粋な心の交流が、繊細な筆致で丁寧に描かれている点が、多くの読者の涙を誘いました。

犬とのかけがえのない時間って、どう描かれているんだろう?

管理人

言葉がなくても通じ合う、温かくて切ない絆の深さに涙腺が緩みますよ。

犬から教わる「今を生きる」ことの大切さというテーマも、物語に深みを与えています。

読後には、そばにいる家族やペットを、より一層愛おしく感じるに違いありません。

魅力2 軽井沢の圧巻な自然描写

物語の舞台である長野県の森や山々の描写も、読者を惹きつける大きな要素です。

まるでその場にいるかのような臨場感で描かれる木々のざわめき、澄んだ空気、そして季節の移ろいは、登場人物たちの心情と巧みに重なります。

この生き生きとした自然描写は、著者である馳星周さん自身が、愛犬との生活のために軽井沢へ移住した実体験に基づいているからこそ生まれるものです。

登山や森を散策するシーンでは、都会の喧騒を忘れ、心が洗われるような癒しを感じられます。

物語に深く没入させてくれる美しい風景描写は、傷ついた雨音たちの心を癒すだけでなく、私たち読者の心にも安らぎを与えてくれるのです。

魅力3 傷ついた若者たちの心の再生

この小説は、犬と少女の触れ合いを描くだけの物語ではありません。

主人公の雨音と同じように、複雑な家庭の悩みを抱える高校生・正樹との出会いを通じて、若者たちが互いに影響を受けながら困難を乗り越え、成長していく姿が感動的に描かれています。

心を閉ざしていた二人が、伯父の道夫や犬のワルテル、そして雄大な自然に見守られながら、少しずつ自分の足で未来へ歩みだそうとする様子は、読む人に静かな勇気を与えます。

その姿は、普遍的な感動を呼び起こすものです。

ただ癒されるだけじゃなくて、登場人物の成長も見届けたいな。

管理人

雨音と正樹が自分の足で未来へ歩み出す姿に、きっと勇気をもらえます。

悩み多き10代の若者はもちろん、かつて同じような痛みを経験した大人たちの心にも深く響く、確かな成長の物語がここにあります。

読書メーターでの高評価レビュー紹介

実際にこの本を読んだ方々からは、感動の声が数多く寄せられています。

ここでは、読書メーターに投稿されたレビューの一部を紹介します。

MI
107
父を亡くし、雨音は新たな恋人を作った母が嫌いだった。蓼科で伯父道夫とバーニーズマウンテンドックワルテルと一緒に暮らすことになる。ワルテルは最初は感じが悪い犬だったが、一緒に暮らし、次第に雨音を慕うようになる。隣人の正樹は父と後妻との折り合いが悪く、正樹と雨音は似た境遇で道夫から登山を教わり、自分達の生きる道を見出していく。「人間は未来を恐れるが、動物は違う。あいつらは今を生きてる。瞬間瞬間をただ精一杯生きてる。過去に囚われることも、未来を恐れることもない。」犬と共に生き、犬から教わる多くのことに涙した。2024/02/20

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0918222

goro@the\_booby
91
犬が家族の一員になったことがある人なら読まずにはいられない1冊。思い出してしまう犬がいたなら忘れられない物語で背中をおしてくれる物語。いつでも純粋な奴には敵わないよ。そして山に登りたくなるお話。馳星周は好きなものをこれでもかとつぎ込んできたな!2021/08/24

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0918222

shinchan
75
馳さん初読みに、『雨降る森の犬』を選んだ訳ですが、いやいや犬好きの私に最高な感動を頂きありがとうございました。もっと早く読めば良かったですね。登場人物も素敵なのですが、 バーニーズ マウンテンドッグのカワイイ事!最後は勿論、涙、、、。2023/01/20

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0918222

これらの感想からも、犬との絆、登場人物の成長、そして美しい自然描写が、多くの人々の心を深く動かしていることが伝わります。

著者・馳星周が込めた想いと書籍情報

この物語がなぜ多くの人の心を打つのか、その答えは著者である馳星周さんご自身の体験にあります。

作品の背景を知ることで、物語をより深く味わえます。

モデルは亡き愛犬バーニーズ・マウンテン・ドッグ

作中に登場する犬ワルテルは、著者の馳星周さんが5年前に亡くされた2代目の愛犬がモデルになっています。

犬種もワルテルという名前も、現実と同じバーニーズ・マウンテン・ドッグです。

さらに、主人公の雨音にも、馳さんの姪御さんという実在のモデルがいます。

中学生になった姪御さんが会いに来た翌日にワルテルが亡くなった経験から、2人の間にあった特別な関係性を描きたいという想いが、この物語が生まれるきっかけとなりました。

実体験が元になっているんですね。

管理人

だからこそ、物語にリアリティと深い感動が生まれるのです。

実在のモデルがいるからこそ、登場人物たちの感情や犬との絆が、作り物ではない温かさを持って私たちの心に届きます。

犬中心の生活が作品へ与えた影響

馳星周さんは初代愛犬マージとの出会いをきっかけに、生活スタイルが犬中心へと大きく変化しました。

インタビューでは、夜遊びをやめて夜10時に就寝し、早朝5時から散歩する生活になったと語っています。

愛犬との暮らしをより豊かにするため、晩年のマージが楽しそうに走る姿を見たことをきっかけに、軽井沢へ移住を決意しました。

作品の舞台である長野の美しい自然描写は、この実体験から生まれています。

犬、山、写真という、ご自身の人生を豊かにした要素が、物語の重要な主題となっているのです。

集英社文庫の発売日と価格

この作品は、2020年11月に集英社文庫から発売されました。

手に取りやすい文庫本なので、通勤や通学の合間にも読み進められます。

全424ページと読み応えがありますが、登場人物の心情や美しい自然の描写に引き込まれ、時間を忘れて物語に没頭できます。

全国の書店やオンラインストアで購入できるので、気になった方はぜひ探してみてください。

続編の刊行予定

物語の余韻に浸ると、登場人物たちの「その後」が気になりますが、現時点で公式な続編の刊行予定はありません。

雨音やワルテル、そして正樹がどのような未来を歩んでいくのか、読み終えた誰もが想像を膨らませるはずです。

この後の話も読んでみたくなりますよね。

管理人

ええ、それだけ登場人物が魅力的だということですね。

続編はありませんが、この一冊で完結した物語として、深い感動と生きる力を与えてくれます。

読み終えた後は、ぜひ物語の世界に思いを馳せてみてください。

よくある質問(FAQ)

この小説はゲーム『雨降る森』と関係がありますか

いいえ、直接の関係はありません。

この作品は作家の馳星周さんが執筆した小説です。

心を閉ざした主人公と犬のワルテルとの温かい絆を描いた物語であり、一部で知られる同名のゲームとは異なる内容になります。

中学生の読書感想文におすすめですか

はい、とてもおすすめです。

主人公は多感な時期の中学生であり、家族との関係や将来への不安など、共感できるテーマが多く含まれています。

犬との交流を通して成長していく姿は、読書感想文の題材として深く考えるきっかけを与えてくれます。

物語に続編はありますか

2024年現在、公式な続編の刊行予定はありません。

この小説一冊で物語は美しく完結しています。

読み終えた後、登場人物たちの未来に思いを馳せるのも、この作品の楽しみ方の一つです。

登場する犬に実在のモデルはいるのですか

はい、実在のモデルがいます。

物語の中心となるバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルは、著者である馳星周さんがかつて共に暮らしていた愛犬です。

作者の実体験が基になっているからこそ、物語に深い感動とリアリティが生まれています。

馳星周さんの作品は初めてですが、内容は暗くないですか

ご安心ください。

馳星周さんは社会の暗部を描く作品で知られていますが、この小説の雰囲気は全く異なります。

長野の雄大な自然を舞台に、傷ついた心が癒されていく過程を描いた、心から泣ける感動的な物語です。

この本は文庫で出版されていますか

はい、集英社文庫から発売されています。

文庫版の発売日は2020年11月です。

全国の書店やオンラインストアで手軽に購入できますので、ぜひ手に取ってみてください。

まとめ

『雨降る森の犬』は、心を閉ざした少女と一匹の犬が織りなす、感動と癒やしの物語です。

特に、著者自身の亡き愛犬がモデルという実体験に基づいて描かれた、言葉を超えた絆の描写は多くの読者の涙を誘います。

犬が好きな方はもちろん、温かい物語で心を潤したいと感じているなら、ぜひこの感動を手に取って確かめてみてください。

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