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【ネタバレなし】東野圭吾『あの頃の誰か』のあらすじと感想|全7収録作品の評価を解説

東野圭吾さんの『あの頃の誰か』は、一冊で7つの異なるミステリーの世界を味わえる、コストパフォーマンスの高さが最大の魅力です。

本格ミステリーから、後の名作『秘密』の原型となった感動的な物語、少し変わった実験的な作品まで、東野圭吾さんの才能の幅広さを感じられる短編集のあらすじや感想を、ネタバレなしで徹底解説します。

短編集って、一つひとつの話が物足りなく感じないかな?

ご安心ください。どの物語も濃厚で、長編に負けない満足感がありますよ

目次

『あの頃の誰か』が持つ多彩な魅力

この短編集の最大の魅力は、一冊で7つの異なるミステリーの世界を旅できる、コストパフォーマンスに優れた点です。

通勤時間や寝る前のひとときなど、少しの空き時間で珠玉の物語に触れられます。

バブル時代に描かれた個性豊かな物語たちは、東野圭吾さんの才能の幅広さを感じさせてくれます。

ページをめくるたびに異なる世界観のミステリー

本書には、本格ミステリーから少し不思議な物語まで、全くテイストの異なる7つの作品が収録されています。

例えば、恋人が残した血文字の謎を追う『シャレードがいっぱい』のような王道ミステリーがあるかと思えば、罪人が3つの扉から運命を選ぶ『虎も女も』のような実験的な作品も楽しめます

短編だと物足りなく感じないかな?

一つひとつの物語が濃厚なので、長編に負けない満足感がありますよ

そのため、通勤中の電車や就寝前のわずかな時間でも、質の高いミステリー体験を積み重ねることが可能です。

あの名作『秘密』の原型となった物語

本書に収録されている『さよなら、お父さん』は、多くの読者の涙を誘った名作長編『秘密』の原型となった貴重な一編です。

物語の発端となる事故が、短編では飛行機事故、長編ではバス事故と設定が異なっており、2つの作品を読み比べることで、物語がどのように昇華されていったのかを追体験できます。

あの『秘密』に元になった話があったなんて!

完成された長編とは違う、アイデアの原石が持つ輝きを感じられます

東野圭吾ファンにとって、作家の創作の裏側を垣間見るような、特別な読書体験となる一作です。

「いきなり文庫」として出版された背景

いきなり文庫」とは、通常行われる単行本での出版を経ずに、最初から文庫本として刊行される形式を指します。

本書に収録されている作品は、主にバブル景気時代に書かれたものの単行本未収録だったもので、著者自身が「わけあり」と語っています。

2011年1月に、同じく書き下ろし文庫の『ダイイング・アイ』と同時に刊行されました。

「わけあり」って、どういうことだろう?

当時の野心的な試みが、今読むと新鮮な魅力に感じられますよ

こうした出版背景を知ることで、各作品に込められた当時の熱量や実験精神を感じ取ることができ、物語をより一層深く味わえます。

全7収録作品のネタバレなしあらすじと評価

『あの頃の誰か』には、それぞれ全く異なる魅力を持つ7つの物語が収録されています。

王道の謎解きから少し変わった異色作まで、東野圭吾さんの発想の豊かさを存分に味わえる短編集です。

中でも、後の名作『秘密』の原型となった『さよなら、お父さん』は必読の一編と言えます。

どの作品から読んでも楽しめますが、収録順に読み進めることで、バブル時代に書かれた物語の多彩な世界観に浸ることができるでしょう。

シャレードがいっぱい-恋人が残した血文字の謎

「シャレード」とは、言葉や身振りで表現されるものを当てる謎解き遊びのことです。

物語は、主人公・津田弥生の恋人である北沢孝典が自宅で殺害される場面から始まります。

現場には、彼が血で書いた「A」のような文字が残されていました。

王道のミステリーって感じかな?

はい、伏線と人間関係が巧みに絡み合う本格ミステリーです

登場人物たちの嘘や隠し事が交錯する中、恋人が残した最後のメッセージの意味が解き明かされた時、あなたはきっと驚愕するはずです。

レイコと玲子-同じ名前を持つ二人の女性の物語

この物語は、偶然同じ名前を持つ「レイコ」と「玲子」という二人の女性が出会うことから始まります。

ほんの些細なきっかけが、二人の運命の歯車を狂わせていくのです。

人間の心の怖さを描く話は好きだな

日常に潜む狂気を描いた、東野圭吾さんらしい一作です

平凡な日常に潜む人間の心の脆さや危うさが巧みに描かれており、読後に深い余韻を残す心理サスペンスに仕上がっています。

さよなら、お父さん-長編小説『秘密』の原型

この短編は、多くの読者の心を揺さぶった長編小説『秘密』の原型となった作品として知られています。

物語は、父と娘が乗った飛行機が墜落するという悲劇から幕を開けます。

名作『秘密』とどう違うんだろう?

設定の違いや結末のニュアンスなど、読み比べることで新たな発見がありますよ

意識を取り戻した娘の口から語られた言葉が、父を混乱と苦悩の渦に巻き込んでいきます。

『秘密』へと繋がるテーマの核が凝縮された、ファン必読の一編です。

再生魔術の女-復讐を誓う妹の周到な計画

「再生魔術」とは、失われたものを取り戻し、過去をやり直すことを意味します。

兄を死に追いやった者たちへの復讐を誓った妹が、美貌と知性を武器に周到な計画を実行に移していきます。

どんでん返しは期待できる?

はい、鮮やかな結末が待っています

巧妙に張り巡らされた伏線がラストで一気に回収される展開は、ミステリーの醍醐味を存分に味あわせてくれます。

二十年目の約束-過去の約束が導くほろ苦い真実

物語は、20年前に交わされた約束を果たすため、故郷で再会した男女を中心に展開します。

ノスタルジックな雰囲気の中で、過去の思い出と現在の状況が交錯しながら、少しずつ真実が明らかになっていくのです。

ミステリーというよりはヒューマンドラマかな?

謎解きの要素もありますが、登場人物の心情に寄り添う物語です

美しい思い出の中に隠されていた、ほろ苦い真実が胸を打つ、切ない魅力にあふれた作品になっています。

虎も女も-究極の選択を迫られる男の異色作

この作品は、罪人が扉を選ぶ有名な古典『虎か女か?』をモチーフにした、異色の実験的なショートショートです。

主人公の男は、3つの扉の前に立たされます。

1つの扉の向こうには虎が、もう1つには美しい女性が、そして最後の扉の向こうには何があるかわかりません。

普通のミステリーとは違うの?

はい、論理や推理よりも、人間の運命や選択そのものを問う哲学的な一編です

読者自身が結末について考えさせられる、ユニークで挑発的な面白さを持った物語です。

眠りたい、もう死んでもいい-アスリートの苦悩と孤独

この物語は、極限のプレッシャーの中で戦うアスリートが抱える、精神的な苦悩と孤独に焦点を当てています。

栄光の裏側で、彼がどれほどの重圧と戦っていたのかがリアルに描かれていくのです。

スポーツ選手の心理描写がテーマ?

はい、ミステリーの枠を超えて、人間の心の深淵を覗き込むような物語です

追い詰められた人間の心理描写が秀逸で、ミステリーでありながら重厚な人間ドラマとしても読み応えのある一作です。

バブル時代が生んだ「わけあり」短編集『あの頃の誰か』

この短編集は、ただ面白い話を集めただけではありません。

バブル時代に執筆されながらも単行本に収録されなかった、著者自身が「わけあり」と語る特別な背景を持っています。

その背景を知ることで、各作品をより深く味わえます。

ここでは、本書が持つユニークな成り立ちや書籍としての基本情報、メディアでの展開について解説します。

著者自らが語る「わけあり」の理由

本書は「いきなり文庫」という、単行本を経ずに直接文庫として刊行される珍しい形式で出版されました。

収録されているのは、主にバブル景気の時代に書かれたものの、様々な理由でお蔵入りとなっていた作品たちです。

著者はあとがきで、これらの作品を「わけあり」と表現しており、当時の若き日の試行錯誤や野心的な挑戦の跡がうかがえます。

どうして単行本にならなかったのでしょうか?

作品の完成度や時代の空気とのズレなど、様々な理由があったようです。

この「わけあり」という背景こそが、完成された傑作とは一味違う、荒削りながらも強烈な魅力を放つ理由なのです。

光文社文庫の書籍情報

作品を楽しむ上で、書籍としての基本的な情報を知っておくと便利です。

本書は持ち運びやすく、通勤時間などの隙間時間にも読みやすい文庫本で刊行されています。

2011年1月12日に、同じく東野圭吾作品である『ダイイング・アイ』と同時に光文社から発売されました。

全328ページの中に7つもの物語が詰まっており、一冊で様々な読書体験ができるコストパフォーマンスの高さも魅力と言えます。

ドラマ『東野圭吾ミステリーズ』での映像化

『あの頃の誰か』に収録されている物語の魅力は、人気の高さからテレビドラマとして映像化されていることからもわかります。

2012年にフジテレビ系列で放送されたオムニバス形式のドラマ『東野圭吾ミステリーズ』内で、収録されている7作品の中から4作品が選ばれました

三浦春馬さんや長澤まさみさんをはじめとする豪華な俳優陣によって、活字の世界とはまた違った新たな魅力が引き出されています。

読書メーターでの感想と評判

本選びの際に信頼できる指標の一つが、実際に作品を読んだ人たちの生の声です。

国内最大級の読書コミュニティサイト「読書メーター」では、本書に対して非常に多くの反響が寄せられています。

感想・レビューの投稿数は1,900件を超えており、多くの読者の間で活発に語られている人気作であることがわかります。

これだけ感想があれば、自分と似た感覚の人の意見が見つかりそうですね。

ネタバレに注意しながら様々な感想に触れることで、作品の多面的な魅力がわかります。

これほど多くの人々が感想を寄せているという事実は、本書が読者の心を強く動かす力を持っていることの証明です。

よくある質問(FAQ)

東野圭吾の『あの頃の誰か』は、ミステリー初心者でも楽しめますか?

はい、もちろんです。

本作は7つの物語が収録された短編集なので、一つひとつの話が短く、とても読みやすい構成になっています。

ミステリーの様々な形式に触れられるため、東野圭吾作品の入門書としても最適です。

収録作品はどの順番で読むのがおすすめですか?

基本的には、目次に沿って最初から順番に読み進めることをおすすめします。

そうすることで、バブル時代に書かれた多彩な物語の世界観を存分に味わうことができます。

もちろん、気になるタイトルの作品から自由に読んでいただいても全く問題ありません。

読者の感想や口コミでは、どのような評価が多いですか?

多くの口コミでは、一冊で様々なジャンルのミステリーが楽しめるコストパフォーマンスの高さが評価されています。

特に、後の名作『秘密』の原型となった「さよなら、お父さん」や、どんでん返しが鮮やかな「再生魔術の女」は人気が高い傾向にあります。

『あの頃の誰か』の犯人や結末のネタバレ解説はありますか?

いいえ、この記事ではあらすじや感想を中心にご紹介しており、物語の謎解きの楽しみを損なう犯人や結末についてのネタバレ解説は一切含んでいません。

安心して作品の世界に没頭してください。

ドラマ化された作品は、原作の小説を読んでから観るべきですか?

どちらからでも楽しめますが、先に小説を読むことをおすすめします。

原作を読むことで、登場人物の細やかな心理描写や伏線を深く理解でき、映像化されたドラマ『東野圭吾ミステリーズ』を観る際に、物語をより立体的に味わえます。

なぜこの短編集は「わけあり」と呼ばれているのですか?

本書に収録された作品は、主にバブル時代に執筆されたものの、単行本にならず眠っていたからです。

著者自身が、当時の挑戦的な試みや若さゆえの勢いが詰まっていることから「わけあり」と表現しています。

この背景が、作品に独特の魅力を与えているのです。

まとめ

『あの頃の誰か』は、本格ミステリーから人間ドラマまで、7つの珠玉の物語が詰まった東野圭吾の短編集です。

中でも、多くの読者の心を揺さぶった名作『秘密』の原型となった『さよなら、お父さん』が読めるのは、この本ならではの大きな魅力になります。

どの物語も短く読みやすいため、通勤時間や寝る前のひとときから、東野圭吾さんの多彩な才能に触れてみてはいかがでしょうか。

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