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【ネタバレ】貫井徳郎『不等辺五角形』の犯人と結末を徹底解説|感想と伏線レビュー

貫井徳郎さんの小説『不等辺五角形』は、単なる犯人当てのミステリーではありません。

食い違う証言の裏に隠された、人間の複雑な心理こそが、この物語の本当の面白さなのです。

この記事では、あらすじや登場人物の紹介はもちろん、物語の核心である犯人や結末のネタバレを、散りばめられた伏線とともに徹底的に解説します。

ただのどんでん返しだけじゃない、この作品の深いテーマは何だろう?

いびつな人間関係が生み出す、愛情と憎しみの表裏一体性にあります

この記事で分かること
  • 『不等辺五角形』の犯人と結末までのネタバレ解説
  • 物語に散りばめられた伏線とタイトルの意味
  • 書店員による感想と作品の評価レビュー
  • 著者・貫井徳郎と次におすすめの作品

本を読むかどうか気になっている人の参考になると嬉しいです。

それでは詳しく見ていきましょう。

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目次

食い違う証言から炙り出される人間の心理

貫井徳郎さんの『不等辺五角形』が読者の心を掴んで離さない最大の理由は、誰の言葉が真実なのか、最後まで読者自身が判断を委ねられる点にあります。

この巧みな物語構造が、単なるミステリーを超えた深い心理劇を生み出しているのです。

この作品は、なぜ多くの人を惹きつけるのでしょうか。

その魅力を3つの観点から解説します。

人の数だけ存在する「真実」の物語

この物語では、「羅生門形式」と呼ばれる手法が効果的に用いられています。

羅生門形式とは、一つの出来事を複数の登場人物がそれぞれの視点から語ることで、物語が多層的に展開していく構成のことです。

避暑地の別荘で起きた一つの事件。

しかし、その夜の出来事は、語り手が変わるたびに全く違う様相を見せます。

同じ時間を過ごしたはずの5人の幼馴染の証言は驚くほど食い違い、誰かの発言を信じれば、別の誰かが嘘つきに見えてきます。

誰の言っていることが本当なのか、全く分からなくなりそうです…

その混乱こそが、作者である貫井徳郎さんの狙いなのです

読者は客観的な事実を知ることができないまま、それぞれの主観的な「真実」を聞かされることで、真実そのものの曖昧さを突きつけられるのです。

なぜ単なる犯人当てではないのか

本作が一般的なミステリーと一線を画すのは、「Who done it(誰が犯人か)」よりも「Why done it(なぜ事件は起きたのか)」に重きが置かれているからです。

もちろん、犯人探しのスリルも味わえます。

しかし物語の核心は、幼馴染という閉鎖的なコミュニティで長年積み重なってきた、愛情、嫉妬、劣等感といった複雑な感情の渦にあります。

登場人物たちの告白は、事件の証言というよりも、彼らの魂の叫びそのものなのです。

登場人物たちの感情がリアルすぎて、読んでいて苦しくなるかもしれません

その息苦しさこそ、この物語が深く心に刺さる理由の一つですよ

そのため、犯人が判明しても単純な爽快感を得ることはありません。

むしろ、彼らの関係性の歪さや人間の業の深さに、深く考えさせられる結末を迎えます。

読後に深い考察が始まる物語の魅力

不等辺五角形』の読書体験は、最後の1ページを閉じた後から本当の始まりを迎えます

全ての証言を読み終え、事件の全貌を知ったとき、読者は改めて物語を最初から再構築したくなるでしょう

誰のどの言葉が嘘で、どこに伏線が隠されていたのか。

一度読んだだけでは気づかなかった登場人物の些細な言動の意味を考え始めると、物語の深みに際限なく引き込まれていきます。

このように、答えが一つに定まらない問いをいくつも投げかけてくる点こそ、『不等辺五角形』が多くの読者を惹きつけてやまない魅力なのです。

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『不等辺五角形』のあらすじと登場人物

この物語の面白さは、ミステリーの枠を超え、誰の言葉が真実なのかを見極める心理戦にあります。

同じ一つの事件が、語り手によって全く違う様相を呈し、読者は最後まで翻弄されるのです。

ここでは、物語の入口となるあらすじや登場人物たちの関係性、書籍の基本情報を紹介します。

悲劇の幕開け-ネタバレなしのあらすじ

避暑地の別荘での楽しい送別会が一転、悲劇の舞台となります。

その夜、幼馴染グループの一人が遺体となって発見され、さらに別の仲間が「私が殺した」と自首するのです。

しかし、その動機については固く口を閉ざして語りません。

自首した人が犯人じゃないの?

残された3人の証言が食い違い、事態は複雑な様相を呈するのです。

誰の言葉を信じれば良いのか、読者は冒頭から物語の渦に引き込まれていきます。

物語の鍵を握る5人の幼馴染と関係性

この物語は、事件のトリックよりも登場人物たちの複雑な心理描写に重きが置かれています。

幼馴染という閉鎖的な関係の中で渦巻く、愛情、嫉妬、劣等感が事件の真相を複雑にしていくのです。

弁護士が聞き取りを進めるにつれて、彼らの証言は微妙に食い違いを見せます。

その証言によって、それぞれの人物像が変化していく様子が、この物語の醍醐味の一つです。

作品の基本情報-単行本や文庫について

貫井徳郎さんの『不等辺五角形』は、現在、単行本と電子書籍で読むことができます。

単行本は300ページを超える読み応えのあるボリュームになっています。

現在のところ文庫化はされていません。

この重厚な物語は、ハードカバーでじっくりと味わう価値がある一冊です。

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書店員が語る感想と作品の評価レビュー

書店員として多くのミステリーに触れてきましたが、『不等辺五角形』は単なる謎解きでは終わらない、特別な一冊です。

この作品の神髄は、人間の心の闇を覗き込むような、重くも忘れがたい読後感にあります。

読了後に残る、ずしりとした問いかけこそが、本作最大の魅力なのです。

ここでは、私の率直な感想や評価、そしてどのような方にこの物語が響くのかを詳しくお伝えします。

読後の爽快感よりも、深い思索にふける時間を求めるあなたにとって、きっと心に残る作品となるでしょう。

面白い?心に響くどんでん返しと忘れられない読後感

この作品の面白さは、犯人当てやトリックの鮮やかさだけに留まりません。

物語の核となるのは、人間のエゴや嫉妬が渦巻く、生々しい心理描写です。

5人の幼馴染が語る証言は、それぞれが自分に都合の良い「真実」を語るため、微妙に食い違います。

この構成によって、読者は人間の主観がいかに脆く、身勝手なものであるかをまざまざと見せつけられるのです。

読了後に胸に残る、ずっしりとした重みこそが、この作品が傑作である証拠だと感じます。

単純なハッピーエンドや、スッキリする結末が好きなんだけど、楽しめるかな?

読後に爽快感を求める方には、少し重く感じられるかもしれません。

犯人探しの面白さに加えて、登場人物たちの心の闇に深く触れることで、忘れられない読書体験が待っています。

この独特の余韻こそが『不等辺五角形』の最大の魅力です。

読書メーターやブクログでの口コミと評判

多くの読書好きが集まる「読書メーター」や「ブクログ」でも、『不等辺五角形』は高く評価されています。

特に、物語の構成の巧みさや、読後に広がる考察の深さについて言及する声が目立ちます。

ソースによると、読書メーターでの総合評価は88%という高い数値を記録し、113件以上もの感想が寄せられています。

これは、多くの読者がこの物語に心を揺さぶられ、感想を語りたくなったことの表れといえるでしょう。

全体的に、その独特な構成と重いテーマ性から好き嫌いが分かれる傾向は見られますが、多くの読者に強烈な印象を残していることは間違いありません。

こんな人におすすめしたい-作品が刺さる人の特徴

この作品は、すべての人に手放しでおすすめできるミステリーではありません。

しかし、特定の読者層の心には、間違いなく深く刻まれる一冊となります。

特に、人間の心理や複雑な人間関係を描いた物語を好む方には、たまらない作品です。

登場人物たちのエゴや見栄、嫉妬といった負の感情が生々しく描かれており、人間の心の深淵を覗き込むような読書体験ができます。

ミステリーは好きだけど、トリック重視よりも人間ドラマをじっくり読みたい気分です。

それなら、この作品はまさにうってつけの一冊です。

もしあなたが、謎解きのスリルだけでなく、読書を通じて人間の本質に迫りたいと考えているのであれば、『不等辺五角形』は期待以上の体験を提供してくれるでしょう。

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著者・貫井徳郎と次におすすめの作品

不等辺五角形』を読み終え、貫井徳郎さんの描く世界に引き込まれた方も多いのではないでしょうか。

人間の心理を深く掘り下げる作風は、一度味わうと癖になります。

ここでは、あなたの心を揺さぶる次の一冊が必ず見つかるように、著者である貫井徳郎さんの魅力と、次におすすめの作品を厳選してご紹介します。

貫井徳郎作品は、それぞれが異なる魅力を放っています。

不等辺五角形』で感じた興奮や余韻を胸に、ぜひ次の物語の扉を開いてみてください。

著者、貫井徳郎のプロフィールと作風の紹介

貫井徳郎さんは、人間の心の闇や社会が抱える矛盾を、鋭い切れ味で描き出すことに長けた作家です。

その物語は、読者に安易な救いや希望を与えません。

むしろ、読了後にずしりと重い問いを投げかけ、私たちの倫理観を揺さぶります。

1968年に東京都で生まれ、1993年に発表したデビュー作『慟哭』がいきなりベストセラーとなり、大きな注目を集めました

その後も精力的に執筆を続け、2010年には『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞を同年受賞するなど、その実力は高く評価されています。

貫井作品って、どれも読後感が重いイメージがあるけど、どんな特徴があるんだろう?

人間の心の闇や社会問題を鋭く描く、唯一無二の作風が魅力です。

ただのミステリー作家という枠には収まらない、現代日本を代表するストーリーテラーの一人と言えるでしょう。

「症候群シリーズ」との関連や読む順番

まずお伝えしたいのは、『不等辺五角形』は他の作品とは繋がりのない、単独で完結する物語です。

しかし、貫井作品をもっと深く知りたいなら、代表作である「症候群シリーズ」は避けて通れません。

このシリーズは、警視庁捜査一課の倉持警部補と相棒の武藤が、様々な難事件に挑む警察小説です。

『失踪症候群』『誘拐症候群』『殺人症候群』の3作からなるシリーズで、それぞれ独立した事件を扱っています。

しかし、作品を追うごとに主人公たちの過去や人間関係が明らかになり、物語全体の深みが増していく構成です。

そのため、発表された順番で読み進めるのがおすすめです。

シリーズものはどこから読めばいいか迷うな…

発表順に『失踪症候群』から読むのが、最も物語を楽しめる順番です。

『不等辺五角形』の心理劇とは一味違う、ハードボイルドで骨太な世界観を存分に味わってみてください。

貫井作品入門におすすめの傑作選

「症候群シリーズ」以外にも、貫井徳郎さんの才能が光る傑作は数多く存在します。

不等辺五角形』のような読書体験をもう一度味わいたい、あるいは全く違うタイプの物語を読んでみたいという方のために、ここでは貫井作品のジャンルの幅広さを感じられる3冊を厳選しました。

どの作品も、それぞれが異なるテーマを扱いながらも、根底には人間の業や社会の歪みが通奏低音のように流れています

例えば、衝撃的な結末で知られる『慟哭』、ある事故から日常が崩壊していく様を描く社会派ミステリーの『乱反射』など、あなたの心に刺さる一冊がきっとあるはずです。

『不等辺五角形』みたいな、後味の悪さが癖になる作品はどれだろう?

それでしたら、デビュー作にして最高傑作と名高い『慟哭』をおすすめします。

ここで紹介した作品は、広大で深遠な貫井ワールドへの入り口に過ぎません。

ぜひ、あなたの手で次なる傑作のページをめくってみてください。

よくある質問(FAQ)

貫井徳郎さんの「症候群シリーズ」と関係はありますか?読む順番は気にした方がいいですか?

不等辺五角形』は「症候群シリーズ」とは全く関係のない、独立した作品です。

物語のつながりはありませんので、読む順番を気にする必要はございません。

貫井徳郎さんの作品を初めて読む方にも、安心してお楽しみいただけます。

このミステリーには物理的なトリックが使われていますか?

いいえ、本作には密室やアリバイ工作といった物理的なトリックは登場しないです。

物語の面白さは、登場人物たちの食い違う証言から真実を見つけ出す、心理的な謎解きにあります。

誰が嘘をついているのかを推理する、どんでん返しが魅力の作品となります。

結末は後味が悪いと聞きましたが、本当ですか?

はい、事件の真相や登場人物たちの関係性を考えると、結末は「後味が悪い」「重い」と感じる方が多いです。

爽快な読後感を求める方には、少しつらい内容かもしれません。

しかし、その重さこそが人間の心の闇を深く描いた本作の評価される点であり、忘れがたい読書体験をもたらします。

文庫版はいつ発売されますか?

2025年現在、『不等辺五角形』の文庫化に関する公式な情報はありません。

単行本の初版が2025年6月と新しいため、文庫版が発売されるまでには、まだ数年かかると考えられます。

物語の中で警察や刑事は活躍するのでしょうか?

この物語では、警察や刑事が中心となって事件を捜査する展開にはなりません。

弁護士が関係者から話を聞き出すことで真相に近づいていくため、捜査会議や聞き込みといった、いわゆる警察小説の要素は期待しないほうが良いでしょう。

なぜ犯人は、ただの事故を殺人事件に偽装する必要があったのですか?

真犯人の動機は、長年抱き続けた幼馴染への強烈な嫉妬心と劣等感です。

彼は偶発的な事故を利用して、ねたんでいた相手に殺人犯の汚名を着せ、社会的な未来を完全に奪うために偽装工作を行いました。

これは彼の歪んだ感情が生んだ、悲しい復讐劇なのです。

まとめ

この記事では、貫井徳郎のミステリー『不等辺五角形』のネタバレを徹底的に解説しました。

この物語の面白さは、単なるどんでん返しではなく、事故を殺人事件へと偽装した真犯人の歪んだ動機にこそあります。

この記事で紹介した事件の全貌や伏線の解説を道しるべに、ぜひもう一度『不等辺五角形』の世界に触れてみてください。

そうすれば、初読では気づけなかった登場人物たちの心の叫びが、より鮮明に聞こえてくるはずです。

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