人気ホラーゲーム「8番出口」には、映画監督でもある川村元気さん自身が書き下ろした公式小説が存在します。
この記事では、小説版のあらすじや感想レビューはもちろん、原作ゲームや二宮和也さんが主演を務める実写映画との決定的な違いを3つのポイントで解説します。

ただのゲームの小説版とは何が違うんだろう?



主人公の心の声を通して、人生における「選択」を問う深い物語になっています
この記事でわかること
- 小説『8番出口』のあらすじと発売日
- 原作ゲームや実写映画との3つの決定的な違い
- 主人公の心情描写や小説限定の異変といったネタバレ
- ループもの好きにおすすめの関連作品
ゲーム「8番出口」公式小説の存在と概要
世界的なヒットとなったインディーゲーム「8番出口」には、公式小説が存在します。
これは二次創作などではなく、映画監督でもある川村元気さん自身が書き下ろしたオフィシャルな作品です。
ゲームの持つ独特の不気味さと、小説ならではの深い心理描写が融合した一冊となっています。
項目 | 詳細 |
---|---|
書籍名 | 8番出口 |
著者 | 川村元気 |
出版社 | 水鈴社 |
発売日 | 2025年7月9日 |
定価(文庫版) | 977円(税込) |
形式 | 文庫、電子書籍、オーディオブック |
特徴 | ゲームや映画では描かれない主人公の内面や、小説限定の「異変」が登場 |
この小説は、ゲームをプレイした人はもちろん、まだ「8番出口」の世界に触れたことがない人でも楽しめる、独立した物語として成立しています。
著者・川村元気による完全書き下ろし
この小説の著者は、映画プロデューサーであり小説家としても名高い川村元気さんによる完全書き下ろしです。
単なるゲームの物語を文章化したノベライズではありません。
『君の名は。
』や『世界から猫が消えたなら』など、数々の大ヒット作を手掛けてきた川村さんが、原作ゲームを深く解釈し、全く新しい物語として構築しました。
映画版の脚本・監督も務める作者だからこそ描ける、核心に迫る物語が展開されます。
【
ただのゲームの小説版とは違うのですか?
〈
はい、映画版の監督自身がゲームの世界観を元に、全く異なるアプローチで物語を書き下ろしている点が大きな違いです。
原作ゲームにはない深いテーマ性を与え、読者に「人生における選択」を問いかける文学作品へと昇華させているのです。
発売日2025年7月9日と文庫版の定価
小説『8番出口』は、2025年7月9日に水鈴社から発売されました。
持ち運びやすい文庫版の定価は977円(税込)です。
ページ数は176ページと比較的コンパクトで、一気に読み通せるボリューム感です。
気軽にあの不気味な地下通路の世界へ没入できます。
項目 | 詳細 |
---|---|
発売日 | 2025年7月9日 |
出版社 | 水鈴社 |
定価 | 977円(本体888円+税10%) |
ページ数 | 176ページ |
判型 | 文庫サイズ判 |
ISBN | 978-4-910576-04-6 |
全国の書店やオンラインストアで購入できますので、ぜひ手に取ってみてください。
電子書籍やオーディオブックでの展開
小説『8番出口』は、紙の文庫本だけでなく、Kindle版などの電子書籍や、Audible版のオーディオブックでも展開しています。
自分の読書スタイルに合わせて、好きな形式を選べるのは嬉しいポイントです。
スマートフォンやタブレットがあれば、いつでもどこでも「8番出口」の世界にアクセスできます。
また、プロのナレーターが読み上げるオーディオブックで、耳から恐怖を体験するのも一味違った楽しみ方です。
【
紙の本には特別な仕掛けがあると聞きましたが、電子書籍でも楽しめますか?
〈
物語の本質はどの媒体でも変わらず楽しめますが、紙とインクを使った物理的な「異変」を体験したいなら文庫版がおすすめです。
あなたの生活スタイルに合った方法で、この奇妙な物語を味わってみてはいかがでしょうか。
無限ループからの脱出を描く物語のあらすじ
物語の舞台は、見覚えのあるようでどこかおかしい、無限に続く地下通路。
主人公は、「異変」を見つけながら8番出口からの脱出を目指すことになります。
しかし、この物語は単なる脱出ゲームの記録ではありません。
ソースによると、この無限ループは人生観や死生観、そして現代人が無意識に抱える「見て見ぬふりをする罪」を問うための装置として描かれます。
「異変があれば引き返し、なければ進む」というシンプルなルールが、私たちの日常における無数の選択と重なり合っていくのです。
ゲームの体験が、自らの人生を深く見つめ直すきっかけとなる、哲学的な問いを投げかける物語です。
読者の評価とネタバレなしの感想レビュー
発売後、この小説は多くの読者の注目を集めており、読書メーターでは登録数が1,000件を超えるなど、その関心の高さがうかがえます。
具体的な数字を見ると、読書メーターでの登録数は1103件、寄せられた感想・レビュー数は349件にのぼり、総合評価は74%と好意的に受け止められています(2024年時点)。
「ゲームの世界観が巧みに表現されている」「ラストでタイトルの意味がわかり鳥肌が立った」といった声が多く見られます。
全世界で社会現象になった無限ループゲーム 「8番出口」が書き下ろし小説として登場! 映画も8月29日公開! カンヌ国際映画祭に出品され大きな話題に!!
https://note.com/suirinsha/n/n30cbf94b6309
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ゲームファンも、小説ファンも、それぞれの視点から楽しめる内容であり、多くの人がこの不思議な物語の魅力に引き込まれています。
原作ゲーム・実写映画との決定的な違い3つ
小説「8番出口」は、ゲームや映画とは全く異なる体験を提供します。
その最大の特徴は、主人公の内面を深く掘り下げる「心の声」による物語構成にあります。
ゲームのシンプルなルールはそのままに、登場人物の背景や心情が加わることで、物語の深みが大きく増しているのです。
項目 | 原作ゲーム | 実写映画 | 小説 |
---|---|---|---|
物語性 | ルールのみで物語は無い | 映像と音で恐怖を体験 | 「心の声」で内面を深く描写 |
主な表現 | 異変の発見と選択 | 俳優の身体性、映像美 | 主人公の膨大なモノローグ |
限定要素 | なし | 俳優の演技による人物像 | 限定の異変、本自体の仕掛け |
テーマ | 脱出 | 謎解き体験 | 人生における「選択」 |
ゲームのルールを人生の比喩として捉え直すことで、単なるホラー作品に留まらない、読者に問いを投げかける物語へと昇華されています。
違い1 主人公の「心の声」による深い内面描写
映画版がセリフを極力排して体験的な恐怖を描くのに対し、小説版は主人公の膨大な「心の声」で物語が構成されている点が最も大きな違いです。
映画では描かれない主人公の過去や、なぜ無限ループに迷い込んだのかという背景が、全176ページにわたって丁寧に語られます。



ゲームだと何も語られないから、主人公が何を考えているのか気になるな



小説を読むことで、ゲーム体験がより深く立体的なものになりますよ
彼の内面を通して、ゲームの無機質な空間が、人生観や死生観を問う舞台へと変わっていく様子を追体験できます。
違い2 小説限定の異変と本そのものに隠された仕掛け
小説版には、ゲームや映画には登場しないオリジナルの「異変」が複数描かれています。
これにより、原作ゲームを繰り返しプレイした方でも、新たな緊張感を持って物語を楽しめるのです。
さらに、書籍そのものにも工夫が凝らされています。
白い紙に黒と黄色のインクのみを使用して印刷されており、ページをめくる行為自体が、あの地下通路を進むような不気味さを演出します。
紙の文庫本を手に取って読むことで、物語の世界により深く没入できる仕掛けです。
違い3 人生における「選択」を問う物語のテーマ
本作は単なるホラー小説ではなく、人生における「選択」の比喩として物語が描かれている点が、原作ゲームとの決定的な違いです。
「異変があれば引き返し、なければ進む」というゲームの単純なルールが、私たちの日々の無数の選択と重ね合わされます。



ただ怖いだけじゃなくて、考えさせられる話は好きだな



ゲームの体験が、自分の人生を振り返るきっかけになります
異変を「見て見ないふりをする」行為を通して、現代人が抱える「無関心の罪」を鋭く問いかける、哲学的な読書体験を提供します。
主演・二宮和也の演技も反映された人物像
主人公には特定の名前がありませんが、その人物像には実写映画で主演を務める俳優・二宮和也さんの存在が色濃く反映されています。
著者である川村元気さんは、二宮和也さんを「世間そのもの」を凝縮した存在と捉えており、撮影現場での彼のアドリブの一部は小説にも取り入れられました。
映画の主演俳優が持つ独特の空気感が、文章を通して主人公に命を吹き込んでいます。
このことが、映画と小説が相互に影響し合う「双子」のような関係性を生み出しているのです。
小説か映画、どちらから体験するかの選択
著者である川村元気さんは「小説を先に読むか、映画を先に観るか。
その選択から楽しんでほしい」と語っています。
どちらを先に体験するかで、作品全体の印象が大きく変わるため、この二者択一自体が「8番出口」のテーマともいえます。
先に体験するメディア | メリット |
---|---|
小説 | 物語の背景やテーマを深く理解した上で、映画の映像表現を楽しめる |
映画 | まずは純粋な恐怖と謎を体験し、小説でその答え合わせをするように楽しめる |
あなた自身の選択で、自分だけの「8番出口」体験を組み立ててみてください。
小説の次に読みたいおすすめ作品3選と二次創作
公式小説『8番出口』を読了した後、あの独特な世界観にもっと浸りたいと感じる方は多いはずです。
物語のテーマや設定が似ている作品を読むことは、『8番出口』が持つ魅力をさらに深く理解するきっかけになります。
ここでは、ゲームや小説の雰囲気が好きなあなたにおすすめの作品をご紹介します。
作品名 | ジャンル | 特徴 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
リピート | ミステリー、ループもの | 予測不能などんでん返し | 伏線回収や驚きの結末が好きな方 |
夏と花火と私の死体 | ホラー、イヤミス | 日常に潜む静かな恐怖 | 心理的な不気味さを味わいたい方 |
箱男 | 純文学、不条理文学 | 閉塞感と社会からの断絶 | 物語の深い考察を楽しみたい方 |
pixivの二次創作小説 | ファンフィクション | ファンによる多様な解釈 | 公式以外の物語に触れたい方 |
これらの作品に触れることで、『8番出口』が描くループ、恐怖、不条理といったテーマを、異なる角度から味わえます。
ループもの好き必読、乾くるみ著「リピート」
本書で描かれる「ループもの」とは、登場人物が同じ時間を何度も繰り返す状況に陥る物語を指します。
『8番出口』の無限ループする地下通路の設定と通じるものがありますね。
この小説では、年齢も職業も異なる10人の男女が、謎の男の誘いで10か月前の過去に戻るところから物語が始まります。
より良い人生をやり直そうとする彼らを、予測できない出来事が次々と襲うのです。



『8番出口』みたいな、結末が予測できないハラハラ感が好きなんですけど、楽しめますか?



はい、予測を裏切るどんでん返しが魅力なので、きっと夢中になりますよ。
なぜループするのか、どうすれば抜け出せるのかという謎解き要素は、『8番出口』からの脱出を目指す感覚と似ています。
巧みな伏線と驚愕の結末が待っている、傑作ミステリーです。
静かな恐怖が魅力、乙一著「夏と花火と私の死体」
『8番出口』のじわじわと精神を追い詰めるような不気味さが好きな方には、乙一さんの作品がぴったりです。
特にこの作品は、日常風景の中に潜む狂気や残酷さを見事に描き出しています。
表題作は、殺害されてしまった9歳の少女自身の視点で、自分を殺した友人が死体を隠そうと奔走する様子が淡々と語られます。
無邪気さと隣り合わせにある静かな恐怖は、読む人の心を静かに侵食します。



グロテスクな表現は少し苦手なのですが……。



直接的な描写よりも心理的な怖さが中心なので、ホラーが苦手な方でも読みやすいですよ。
ゲームで感じた「何かがおかしい」という違和感や、得体の知れない恐怖が好きな方にこそ読んでほしい一冊です。
不条理な世界観、安部公房著「箱男」
「不条理文学」とは、物事の筋道や道理が通らない、意味の分からない状況を描く文学のことです。
『8番出口』の、なぜそこにいるのか分からないままループを繰り返す状況は、まさに不条理そのものと言えます。
この小説の主人公は、頭から段ボール箱をかぶり、その覗き穴から世界を観察する「箱男」になります。
社会から自らを切り離し、閉ざされた空間から世界を眺める姿は、『8番出口』の閉塞感や孤独感と重なるでしょう。



少し難しそうな小説ですね……。



物語の意味を考える「考察」が好きなら、きっとこの不思議な世界観に引き込まれます。
日常から逸脱していく感覚や、当たり前が通用しない世界のなかで自分を見つめ直すという体験は、あなたの思考を深く刺激します。
ファンによる解釈が面白いpixivの二次創作小説
「二次創作」とは、既存の作品を元にして、ファンがその世界観や登場人物を使って自由に創作した物語を指します。
公式作品とは違った、多様な物語の解釈に触れられるのが一番の魅力です。
イラストや小説の投稿サイトである「pixiv」には、「8番出口」をテーマにした数多くの二次創作小説が投稿されています。
ゲームの主人公がなぜ地下通路に迷い込んだのか、その背景を想像した物語や、ゲームには登場しないオリジナルの「異変」を描いた作品など、楽しみ方は無限大です。



公式とは違うエンディングとかもあるんですか?



はい、主人公が脱出できない話や、異変の正体を独自に考察した話など様々です。
公式小説や映画を堪能した後に、他のファンが抱いた想像力の世界に触れてみるのも、『8番出口』をさらに楽しむための1つの方法です。
まとめ
この記事では、川村元気さんが書き下ろした小説版「8番出口」のあらすじや感想、原作ゲームや映画との違いを解説しました。
この小説は、単なるゲームの物語ではなく、主人公の「心の声」を通して人生における「選択」を深く問いかける文学作品になっています。
- 川村元気さん自身による完全書き下ろしの物語
- 主人公の内面描写や小説限定の「異変」という魅力
- 原作ゲームや二宮和也さん主演の映画との決定的な違い
- 「リピート」など、次に読むべきおすすめ関連作品
まずは小説と映画のどちらから体験するのか、あなた自身の「選択」からこの世界を楽しんでみてください。