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有川浩「みとりねこ」のあらすじ感想|ネタバレなしで7つの物語を紹介

有川ひろさんの小説『みとりねこ』は、愛する存在との別れをテーマにした物語ですが、この本が教えてくれるのは、ただ悲しいだけではない、共に過ごした時間の愛おしさです。

本書は7匹の猫と人との絆を描いた短編集で、涙なしには読めないと多くの読者の心を震わせています

ペットとの別れを思い出して、読むのが辛くならないかな…

大丈夫です、悲しみも優しく包み込んでくれるような物語ですよ

目次

有川ひろ『みとりねこ』はどんな物語?涙と優しさに満ちた短編集

有川ひろさんの『みとりねこ』は、7匹の猫と人との関わりを通して、愛するものを看取ること、そして看取られることの尊さを描いた短編集です。

本書には、それぞれ異なる背景を持つ猫たちの物語が7編収録されていて、どの物語もあなたの心の琴線に触れることでしょう。

ただ涙を誘うだけでなく、読み終えた後には大切な家族やペットとの日常がより一層愛おしく感じられる、そんな優しい気持ちにさせてくれる一冊です。

猫と人との深い絆を描く7つの物語

『みとりねこ』には、表題作を含む7つの短編が収録されています。

それぞれの物語で主人公となるのは、個性豊かな猫たちです。

飼い主より一日だけ長く生きることを願う猫、旅の途中で出会う人々との絆を紡ぐ猫など、7つの異なる視点から、猫と人との間に生まれるかけがえのない愛情が丁寧に描かれています。

どんなお話が入っているの?

心温まる話から少し不思議な話まで、多彩な物語が楽しめますよ

猫を飼っている方はもちろん、かつて飼っていた方、そして動物を愛するすべての方の心に深く響く物語が見つかります。

悲しいだけではない温かい読後感

『みとりねこ』というタイトルや「看取る」というテーマから、悲しいだけの物語を想像するかもしれません。

しかし、この作品の魅力はただ悲しいだけでは終わらない、心温まる読後感にあります。

有川ひろさんの優しい文章は、命の終わりを単なる別れとしてではなく、共に過ごした時間の証として描きます。

そのため、涙を流した後には不思議と前向きな気持ちが心に残るのです。

ペットとの別れを思い出して辛くならないかな…

悲しみも優しく包み込んでくれるような物語なので、安心してくださいね

読み終える頃には、涙で心が浄化され、明日を生きるための優しい活力が湧いてくるのを感じるはずです。

大人気作『旅猫リポート』とのつながり

有川ひろさんのファン、特に『旅猫リポート』を読んだことがある方にとって、本書は特別な一冊となります。

なぜなら、収録されている7編のうち、「ハチジカン」と「こぼれたび」の2編が、『旅猫リポート』の外伝として書かれた物語だからです。

あのナナとサトルの話がまた読めるの?

本編では語られなかった、心温まるエピソードに再び出会えます

主人公サトルと愛猫ナナの旅の裏側で紡がれた新たな物語は、作品の世界をより深く味わわせてくれる、ファンにとって最高の贈り物と言えるでしょう。

ネタバレなしで紹介する7つの収録作品

『みとりねこ』には、個性豊かな猫たちが登場する7つの物語が収録されています。

この短編集の一番の魅力は、どの物語も猫と人との深い愛情を描いている点です。

それぞれの物語は独立していますが、根底に流れる「命」への温かい眼差しは共通しています。

あなたの心に響く一編がきっと見つかります。

みとりねこ

表題作でもある「みとりねこ」は、飼い主より一日だけ長く生きることを神様に願う猫、浩太の視点で物語が進みます

大好きな飼い主を「看取る」という覚悟を決めた猫の、最後の1日に込められた深い愛情が描かれています。

猫が人を看取るなんて、考えただけで涙が出そう…

悲しいだけではなく、温かい愛に満ちた物語ですよ

命の尊さと、共に過ごした時間のかけがえのなさを教えてくれる、本書を象徴する一編です。

ハチジカン~旅猫リポート外伝~

『旅猫リポート』のファンにはたまらない外伝の一つが「ハチジカン」です。

この物語は、ナナとサトルが旅の途中で出会った夫婦のその後を描いています。

わずか8時間の出会いが、夫婦の心にどのような温かい変化をもたらしたのかが明かされます。

『旅猫リポート』を読んだことがある方なら、懐かしさと優しさで胸がいっぱいになる物語です。

本編を読み返したくなります。

こぼれたび~旅猫リポート外伝~

こちらも『旅猫リポート』の外伝で、本編では語られなかった小さなエピソードを集めた物語です。

ナナとサトルの旅の道中には、1つひとつの出会いや出来事に心温まるドラマがあったことがわかります。

あの旅の裏側が読めるなんて、ファンには嬉しいですね

ええ、サトルとナナの絆の深さを再確認できますよ

まるで旅のアルバムをめくるように、彼らの足跡を優しくたどることができる短編です。

シュレーディンガーの猫

「シュレーディンガーの猫」とは、量子力学における有名な思考実験のことです。

この物語は、その難解なテーマを男女の不思議な縁に絡めて描いています。

主人公が拾った1匹の猫が、観測するまで結果がわからない男女の関係に、思いがけない変化をもたらします。

有川ひろさんらしい、少し理系なエッセンスと心温まるストーリーが融合したユニークな作品です。

猫の島

その名の通り、たくさんの猫たちが暮らす島が舞台です。

主人公は、亡くなった妻が愛したその島を訪れます

島にいる数十匹の猫たちとのふれあいを通して、主人公が悲しみを乗り越え、新たな一歩を踏み出す姿が描かれます。

猫たちがもたらす癒やしの力と、人の心の再生を優しく描いた物語に仕上がっています。

トムめ

とある作家のもとにやってきた、一風変わった黒猫「トム」との日々を描いたユーモラスな物語です。

ツンデレで気まぐれなトムに振り回されながらも、次第に絆を深めていく1人と1匹の姿に思わず笑みがこぼれます。

これまで紹介してきた作品とは少し趣が異なり、クスッと笑える日常の中に温かさがある作品です。

粉飾決算

倒産寸前の会社に迷い込んできた一匹の猫が、思わぬ形で会社の救世主となる、コミカルな物語です。

「粉飾決算」という物騒なタイトルとは裏腹に、1匹の猫がきっかけで社員たちが一致団結していく様子が痛快に描かれます。

会社のピンチを猫が救うなんて、どんな話なんだろう?

猫の愛らしい魅力が、人の心を動かす様子が描かれています

働く人々の疲れた心に、猫がもたらす福と笑いを届けてくれる、元気が出る一編と言えます。

心に響く読者の感想と評価

『みとりねこ』は、多くの読者の涙を誘い、その心に深く刻まれる感動的な物語として高い評価を得ています。

単なるペット文学にとどまらず、人と動物の絆、そして命の尊さを描き切った点が、多くの共感を呼んでいるのです。

実際にどのような感想が寄せられているのか、詳しく見ていきましょう。

「涙が止まらない」感動のレビュー

本作のレビューで最も多く見られるのが、「涙が止まらない」という感動の声です。

猫と人との深い愛情、そして避けられない別れの物語は、読者の涙腺を強く刺激します。

特に、ペットとの別れを経験した人にとっては、自身の経験と重なり、感情移入せずにはいられない内容となっています。

読書メーターには1,200件を超える感想が寄せられており、その多くが物語の感動について言及しています。

「電車で読んで後悔した」「ティッシュが手放せない」といった声も多く、読む場所を選ぶ必要があるかもしれません。

ただ悲しいだけのお話だと、読むのがつらくなりそうです…

大丈夫ですよ。悲しいだけでなく、心がじんわり温かくなる物語です。

物語の中で描かれる死は、決して悲劇としてだけではなく、深い愛情に満ちた温かいものとして表現されています。

そのため、読み終えた後には悲しみだけでなく、優しい気持ちと前向きな力が心に残るでしょう。

猫を愛するすべての人におすすめの理由

この物語が猫を愛する人々の心に響くのは、猫の仕草や気持ちの描写が驚くほどリアルだからです。

まるで本当に猫が語りかけているかのような視点で描かれる物語は、猫と暮らしたことのある人なら「あるある」と頷いてしまう場面に満ちています。

表題作「みとりねこ」の浩太をはじめ、7つの物語には、個性豊かな7匹の猫が登場し、それぞれの形で飼い主への深い愛情を表現します。

その姿は、私たちが普段共に暮らす愛猫の姿そのものに見えてくるのです。

うちの子も、こんな風に私のことを思ってくれているのかな?

きっと、あなたの猫ちゃんも同じ気持ちだと思いますよ。

猫を飼っている方はもちろん、かつて飼っていた方、そしてすべての猫好きの方にとって、愛する存在との絆を再確認できる一冊です。

この本を読むことで、そばにいる愛猫がもっと愛おしく感じられます。

読書感想文の題材としての魅力

『みとりねこ』が読書感想文の題材として魅力的なのは、命の大切さや家族との絆といった普遍的なテーマを扱っている点にあります。

小学生から大人まで、読む人の年齢や立場によって様々な角度から物語を解釈し、自分の考えを深めることができます。

7編の短編集であるため、自分が一番心に残った物語を選んで深掘りできるのも、オリジナリティのある感想文を書きやすいポイントです。

例えば、「みとりねこ」からは「看取ること」を、「シュレーディンガーの猫」からは「選択と可能性」をテーマに据えるなど、多様な切り口が考えられます。

登場人物や猫たちの気持ちを想像することで、他者への思いやりや命と向き合う姿勢について考える良い機会になります。

心に残る感想文を書きたいと考えている方に、おすすめの作品です。

『みとりねこ』の書籍情報

物語を手に取る前に、本の基本的な情報を知っておくことは、作品の世界へスムーズに入っていくための大切な準備になります。

『みとりねこ』には、しっかりとした作りの単行本と、手軽に読める文庫版の2種類が存在します。

それぞれの特徴を理解して、あなたの読書スタイルに合った一冊を選びましょう。

どちらの版を選んでも物語の感動は変わりません。

保存性を重視するなら単行本、携帯性を重視するなら文庫版と、ライフスタイルに合わせて選択するのがおすすめです。

単行本と講談社文庫版の違い

『みとりねこ』には、2021年8月に刊行された単行本と、2024年4月に発売された講談社文庫版の2種類があります。

物語の内容に違いはありませんが、価格は単行本が1,705円(税込)、文庫版が781円(税込)で、文庫版の方が924円お得です。

どちらを買うか迷いますね

手元に長く置いておきたい方は単行本、気軽に持ち歩きたい方は文庫版がおすすめです

判型も単行本は四六判、文庫版はA6判とサイズが異なります。

また、単行本の初版限定で、徒花スクモさんによる書き下ろし漫画が封入されていました。

試し読みや中古で購入する方法

購入を迷っているなら、まずは試し読みをして物語の雰囲気に触れてみるのが良いでしょう。

AmazonのKindleストアや楽天Koboといった主要な電子書籍ストアでは、冒頭部分を無料で読むサービスが提供されています。

少しでも費用を抑えたい方は、ブックオフなどの古書店や、メルカリのようなフリマアプリで探すという選択肢も有効です。

物語の主な登場人物とテーマ

この短編集の本当の主役は、人間ではなく、7つの物語に登場する個性豊かな猫たちと言えます。

表題作「みとりねこ」で飼い主を想う浩太や、『旅猫リポート』で多くの人と出会うナナなど、7編すべてで異なる猫の視点から物語が描かれます。

猫が主人公なんですね

はい、猫たちの目線を通して、人と動物の深い絆や命の尊さが温かく描かれています

物語全体を貫く大きなテーマは「看取ること」です。

しかし、それは決して悲しいだけのお話ではありません。

共に過ごした時間のかけがえのなさや、愛情の深さを描き出すことで、読後に温かい気持ちが心に残るように作られています。

よくある質問(FAQ)

ペットとの別れがテーマだと読むのが辛そうです。読後感は重いですか?

「看取る」や「死」を扱っていますが、読後感は決して重くありません。

物語は悲しみ以上に、深い愛情や共に過ごした時間の温かさを中心に描いています。

そのため、涙を流した後には心が浄化され、優しい気持ちになるという感想が多く寄せられています。

ペットとの別れに不安を感じる方にこそ、命の尊さや絆を再確認できる感動的な一冊です。

『旅猫リポート』を読んでいなくても楽しめますか?

はい、『旅猫リポート』を未読の方でも全く問題なく楽しめます。

この本は7つの独立した物語で構成された短編集です。

収録作品のうち2編は『旅猫リポート』の外伝ですが、その物語単体でも十分に感動できます。

もちろん、本編をご存じであれば登場人物への理解が深まり、より一層物語を味わうことが可能です。

短編集とのことですが、1話あたりの長さはどれくらいですか?

各物語は、文庫版で平均して40ページ前後の長さになります。

そのため、通勤時間や寝る前の少しの時間を使って、1話ずつ自分のペースで読み進めることが可能です。

まとまった読書時間が取りにくい方でも、気軽に手に取れる構成になっています。

有川ひろさんの作品を初めて読みます。入門編としておすすめできますか?

はい、有川ひろさんの作品を初めて読む方にとって、この『みとりねこ』は入門編として非常におすすめです。

7つの異なる物語が収録されているため、著者が得意とする心温まるストーリーから、少し不思議な話、ユーモラスな話まで、多彩な作風に一度に触れることができます。

きっとあなたのお気に入りの一編が見つかります。

読書感想文の題材にしたいのですが、どの物語が書きやすいですか?

読書感想文には、表題作の「みとりねこ」が特に書きやすいでしょう。

「猫が飼い主を看取る」という明確なテーマがあり、命の尊さや家族の絆について深く考えるきっかけを与えてくれます。

自分の経験と結びつけやすく、感想をまとめやすい物語です。

もちろん、他の収録作品もそれぞれ魅力的なので、ご自身の心に最も響いた物語を選ぶのが一番となります。

文庫版と単行本では、収録されている物語に違いはありますか?

いいえ、2024年4月に発売日を迎えた講談社の文庫版と、2021年刊行の単行本で、収録されている7つの物語に内容の違いはありません。

価格や本のサイズが異なるため、ご自身の読書スタイルに合わせて選んでください。

気軽に持ち歩きたいなら文庫、書棚に大切に保管したいなら単行本がおすすめです。

まとめ

有川ひろさんの『みとりねこ』は、7匹の猫と人との絆を通して、愛する存在との別れを描いた短編集です。

この物語が教えてくれるのは、ただ悲しいだけではない、共に過ごしたかけがえのない時間の愛おしさになります。

日々の生活で少し心が疲れてしまった方にこそ、読んでほしい一冊です。

ぜひ本書を手に取り、あなたの心を優しく包み込む温かい涙と感動を体験してください。

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