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有川浩レインツリーの国のあらすじを解説|登場人物と映画キャストも紹介

有川浩さんの小説『レインツリーの国』は、日々の喧騒に少し疲れた心を優しく温めてくれる物語です。

この作品では、障害という壁を乗り越え、真実の愛を見つけていく二人の純粋な姿が丁寧に描かれています。

物語は、顔も知らない男女がメールのやり取りを重ねることから始まります。

言葉だけで心を通わせ、現実の困難にぶつかりながらもお互いを理解しようと奮闘する様子は、多くの読者の心を打ちました。

ただ甘いだけの恋愛小説とは違うのかな?

はい、人が人を本当に理解することの尊さを描いた、心に深く響く感動的な物語ですよ。

目次

『レインツリーの国』が描く純粋な愛と障害との向き合い

この物語は、ただの甘い恋愛小説ではありません。

主人公とヒロインが障害という壁を乗り越え、真実の愛を見つけていく姿が丁寧に描かれています。

顔も知らない相手とのメール交換から始まり、やがて現実の壁にぶつかりながらも、お互いを理解しようと奮闘する二人の様子は、多くの読者の心を打ちました。

二人の純粋な想いが、日々の喧騒に少し疲れた心を優しく温めてくれます。

忘れられない本から始まるメール越しの恋

物語は、主人公の向坂伸行が中学生時代に読んで感動した『フェアリーゲーム』という本をきっかけに動き出します。

その本の感想をインターネットで探す中で、彼は「レインツリーの国」というブログにたどり着きました。

ブログの管理人である人見利香とメールのやり取りを始める伸行。

顔も声も知らない相手ですが、言葉のやり取りを重ねるうちにお互いの価値観や人柄に強く惹かれていきます

会いたいと願う伸行に対し、利香は頑なに会うことを拒否しました。

そこには、彼女が抱える秘密があったのです。

会ったこともない人を好きになるって、本当にあるのかな?

言葉のやり取りだけで、心の距離が縮まっていく様子がとても丁寧に描かれていますよ。

直接会うことが主流の恋愛とは異なる、メールという手段だからこそ深まる関係性の描写が、この物語の序盤の魅力となっています。

感音性難聴という壁を乗り越える二人の葛藤

利香が伸行に会うことをためらっていた理由は、彼女が感音性難聴という障害を抱えていたからです。

感音性難聴とは、音を感じ取る内耳や、そこから脳へと音を伝える神経に障害がある難聴を指します。

利香は高校生の時の滑落事故が原因でこの障害を負い、補聴器を使って生活していました。

実際に会った後、「聞こえる世界」で生きる伸行と「聞こえにくい世界」で生きる利香の間には、想像以上の壁が立ちはだかります

コミュニケーションの難しさから、二人は何度もすれ違い、葛藤することになるのです。

障害があると、恋愛は難しくなるのかな…?

この物語は、難しさだけでなく、二人で壁を乗り越えようとする強さも描いています。

障害を一方的に受け入れるのではなく、二人が対等な立場で向き合い、理解し合おうと努力する姿が、この物語の最も感動的な部分です。

有川浩の人気作『図書館内乱』から生まれた物語

この『レインツリーの国』は、もともと有川浩の人気シリーズ「図書館戦争」の第2作『図書館内乱』に登場する作中作でした。

作中作とは、物語の中に登場する、別の物語のことです。

『図書館内乱』の中で登場人物が読んでいたこの架空の小説が、読者の間で「読んでみたい」と大きな話題を呼びました。

そのファンの熱い要望に応える形で、2006年9月29日に新潮社から実際に一冊の本として書き下ろされ、出版されたのです。

えっ、別の話に出てくる本が本当に出版されたの?

そうなんです。ファンの熱い要望に応えて、実際に一冊の本として誕生したんですよ。

このような誕生の経緯を知ることで、作品に対する愛着がさらに深まります。

「図書館戦争」シリーズを読んだことがある人にとっては、二重に楽しめる物語です。

心に響く登場人物たちの名言

『レインツリーの国』には、登場人物たちが紡ぐ心に響く言葉が散りばめられています。

特に、主人公・伸行が関西弁でまっすぐに想いを伝える言葉は、多くの読者の心を掴みました。

彼の言葉は飾らないストレートなものですが、そこには深い優しさが込められています。

二人が困難に直面した時に交わされるセリフは、私たちにも勇気を与えてくれます。

これらの言葉は、恋愛だけでなく、人と人が真剣に向き合う上で大切なことを教えてくれるのです。

小説のあらすじと主要登場人物の紹介

この物語の魅力は、メールのやり取りから始まるプラトニックな恋愛と、登場人物たちが障害にまっすぐ向き合う姿にあります。

顔も知らない二人が、言葉だけで心を通わせていく過程は、読む人の心を温かくします。

ここで紹介する二人の登場人物が織りなす物語は、単なる恋愛小説にとどまりません。

人と人が本当に理解し合うことの難しさと、その先にある希望を描いた感動的な物語です。

ネタバレなしの物語の始まり

物語は、主人公の向坂伸行が中学生の頃に読んで忘れられなかった本、『フェアリーゲーム』の感想をインターネットで検索するところから始まります。

彼はそこで「レインツリーの国」という個人ブログにたどり着き、その感想記事に心を動かされ、管理人の「ひとみ」こと人見利香にメールを送ります。

丁寧な言葉でつづられるメールのやり取りを通して、二人は急速に惹かれ合っていきます。

しかし、伸行が「会いたい」と伝えると、利香は頑なにそれを拒否しました。

彼女には、どうしても彼に会えない理由があったのです。

顔も知らない相手とメールだけで恋に落ちるなんて、本当にあるのかな?

言葉のやり取りだけで、相手の人柄に強く惹かれていく様子が丁寧に描かれていますよ

画面の向こうにいる大切な人に会いたいと願う伸行と、会えない理由を抱える利香。

二人のもどかしい距離感が、物語の序盤を感動的に盛り上げます。

まっすぐで誠実な主人公 向坂伸行

本作の主人公である向坂伸行は、関西弁で話す、裏表のないまっすぐな性格の社会人です。

ハンドルネームは「伸(しん)」を使い、思ったことをストレートに言葉にしますが、その根底には常に相手への優しさと思いやりがあります。

彼の最大の魅力は、利香が抱える障害を知った後も、変わらず誠実に向き合い続ける点です。

戸惑い、悩みながらも、彼は利香の世界を理解しようと必死に努力します。

彼の行動や言葉の一つひとつが、利香の固く閉ざした心を少しずつ開いていく様子は、この物語の大きな見どころです。

彼のひたむきな愛情表現は、時に不器用に見えるかもしれません。

しかし、その純粋さが利香だけでなく、読者の心をも温かく照らしてくれるのです。

聴覚障害を抱えるヒロイン 人見利香

ヒロインの人見利香は、「感音性難聴」という、音を脳に伝える部分に障害がある難聴を抱えています。

普段は補聴器をつけて生活していますが、聞き間違いを恐れるあまり、人と直接会って話すことに強いコンプレックスを感じています。

彼女が高校生の時に巻き込まれた滑落事故が、聴覚障害の原因です。

その辛い経験から、彼女は他人と深く関わることを避け、ハンドルネーム「ひとみ」として運営するブログ「レインツリーの国」を、唯一安心して自分を表現できる大切な場所としていました。

障害のことが原因で、恋愛に臆病になってしまう気持ち、少しわかるかも…

伸行との出会いが、彼女の世界を少しずつ変えていく過程が感動的に描かれています

聡明で心優しい女性でありながら、障害によって心を閉ざしてしまった利香。

そんな彼女が伸行という存在に出会い、再び世界に踏み出そうとする姿に胸を打たれます。

知られざる物語の結末(ネタバレあり)

この先は物語の結末に触れるため、未読の方はご注意ください。

すれ違いや葛藤を乗り越え、伸行と利香はついに対面を果たします。

しかし、現実のコミュニケーションはメールのように簡単ではありません。

聞き間違いを気にする利香と、どう接すればいいか戸惑う伸行。

二人の間には気まずい空気が流れることもありました。

それでも伸行は諦めず、利香の障害を丸ごと受け止め、「好きだ」と真正面から伝えます。

彼のまっすぐな想いを受け、利香も少しずつ心を開き、自分の世界から一歩踏み出す勇気を持ちます。

物語の最後、二人は恋人として共に歩んでいくことを決意し、穏やかで希望に満ちた未来を予感させて幕を閉じます。

この物語は、単に二人が結ばれるハッピーエンドではありません。

障害の有無に関わらず、一人の人間として向き合い、お互いの世界を尊重し、共に新しい世界を築いていくことの尊さを教えてくれる結末です。

玉森裕太・西内まりや主演の映画版と原作の違い

2015年に公開された映画版は、原作の持つ温かい世界観を大切にしながら、映像ならではの魅力が加わった作品です。

文字で描かれた二人の心の機微が、俳優の表情や美しい風景を通して、より直接的に心に響きます。

原作ファンはもちろん、まだ『レインツリーの国』に触れたことがない方にも、物語の世界に入り込むきっかけとしておすすめできる映画です。

映画版のあらすじと見どころ

映画版は、主人公の向坂伸行が忘れられない本をきっかけにブログ「レインツリーの国」を見つけ、管理人の人見利香とメールのやり取りを始めるという、原作のストーリーを忠実に再現しています。

見どころは、主演を務めた玉森裕太さんと西内まりやさんが織りなす、繊細で心温まる演技です。

公開初週の映画観客動員ランキングで第1位を記録し、興行収入は5億3300万円にのぼるなど、多くの人々の心を捉えました。

二人が少しずつ距離を縮めていく様子や、すれ違いながらも必死に相手を理解しようとする姿が、美しい映像と共に描かれます。

映画は原作と違うのかな?

俳優の表情や声、美しい風景によって、小説とはまた違った感動を味わえますよ

映像になることで、伸行のまっすぐな優しさや、利香の抱える葛藤がよりリアルに伝わり、観る者の感情を揺さぶる作品に仕上がっています。

向坂伸行役のキャスト 玉森裕太

まっすぐで誠実な主人公・向坂伸行を演じたのは、人気グループKis-My-Ft2のメンバーである玉森裕太さんです。

本作が映画初主演作となりました。

玉森さんの持つ柔らかな雰囲気と、劇中で話す自然な関西弁が、裏表のない伸行の人柄に見事にマッチしています。

メールの文面だけでは伝わりきらない優しさや、利香の障害と真摯に向き合おうとする真剣な眼差しを、繊細な演技で表現しました。

彼の演技によって、伸行というキャラクターが持つ独特の温かみがスクリーンから伝わり、観客が物語に深く引き込まれる大きな要因となっています。

人見利香役のキャスト 西内まりや

聴覚に障害を抱え、人と深く関わることに臆病になっているヒロイン・人見利香役は、モデルで女優の西内まりやさんが演じました。

西内さんにとって、本作が映画初出演作です。

感音性難聴という難しい役どころで、補聴器に頼りながらも完全に聞き取れない不安や、コミュニケーションの壁に悩み心を閉ざす姿を、説得力を持って演じきりました。

伸行と出会い、少しずつ心を開いていく表情の変化は必見です。

彼女のひたむきな演技が、利香というキャラクターの繊細さと強さを引き出し、多くの観客の共感を呼びました。

物語を彩る主題歌 Kis-My-Ft2『最後もやっぱり君』

映画のエンディングを感動的に彩る主題歌は、主演の玉森裕太さんが所属するKis-My-Ft2が歌う『最後もやっぱり君』です。

この曲は、つんく♂さんが映画のために書き下ろしたラブバラードで、「好き」という純粋な気持ちをストレートに歌った歌詞が、伸行と利香の物語と深く重なります。

二人が様々な壁を乗り越えてたどり着く結末に、優しいメロディが寄り添い、観る者の心に温かい余韻を残します。

映画の世界観と完璧に調和したこの主題歌は、物語の感動をさらに深めてくれる欠かせない要素です。

小説と映画のストーリーの違い

物語の根幹は同じですが、小説と映画では表現方法にいくつかの違いがあります。

小説では、二人のメールのやり取りを通じて、それぞれの心情が丁寧に文字で綴られます。

一方で映画は、約2時間という上映時間に合わせ、俳優の表情や会話の間、美しいロケ地の風景といった視覚的な情報で心理描写を補っています。

一部のエピソードは映画ならではの展開にアレンジされていますが、原作の持つ優しい雰囲気は少しも損なわれていません。

小説でじっくりと二人の心を読み解くのも、映画で映像と音楽と共に物語に浸るのも、どちらも素晴らしい体験です。

両方を楽しむことで、作品の世界をより多角的に味わえます。

撮影が行われた主なロケ地

映画『レインツリーの国』の魅力の一つに、物語の舞台となった美しいロケ地が挙げられます。

主な撮影は、伸行が暮らす大阪と、利香が暮らす東京で行われました。

大阪では梅田スカイビルの空中庭園展望台や阪急電車、東京では池袋のプラネタリウム“満天”などが印象的なシーンで登場します。

実際に存在する場所が多く、ファンの間では「聖地巡礼」としてロケ地を訪れる人も少なくありません。

映画に出てきた場所って実際にあるの?

はい、大阪や東京の有名なスポットが中心なので、実際に訪れることができますよ

物語の舞台を実際に訪れることで、スクリーンで見た感動を追体験し、伸行と利香の世界観をより身近に感じられます。

作品の評価がわかる読者の感想・口コミ

この作品が多くの人に愛されている理由を知るには、実際に読んだ人の声を聞くのが一番です

読者の感想からは、物語が持つ温かさやメッセージの深さが伝わってきます。

感動の声や、物語を通じて得られる気づき、そして読後の満足感が、この作品の評価を物語っています。

温かい涙が流れたとの感動の声

『レインツリーの国』を読んだ多くの人が、主人公たちの純粋な想いに心を打たれ、温かい涙を流したと語ります。

特に、主人公・伸行のまっすぐな言葉や、ヒロイン・利香が少しずつ心を開いていく過程に、多くの読者が感動しています。

すれ違いや葛藤を乗り越えていく二人の姿は、読者の心を強く揺さぶるのです。

ただの恋愛小説とは違うのかな?

はい、恋愛だけでなく、人とのつながりの温かさを描いた物語です

二人の丁寧な心の交流が、日常で忘れがちな純粋な気持ちを思い出させてくれる点が、感動の声が多く集まる理由です。

障害について考えるきっかけになったとの意見

この物語は、ヒロインが抱える「感音性難聴」という障害に真摯に向き合っている点も、高く評価されています。

聞こえる側と聞こえにくい側のコミュニケーションの難しさや、当事者が感じる不安がリアルに描かれており、読者は伸行と利香の視点を通して障害への理解を深めることができます。

作中では、健常者側の無意識の思い込みや、それによって生じるすれ違いも丁寧に描写されています。

重いテーマだけど、暗い話ではない?

はい、困難に立ち向かう二人の前向きな姿勢が、希望を感じさせます

障害を特別なものではなく、一人の人間の個性として捉え、どうすれば相手を理解できるかを考えるきっかけを与えてくれるという意見が多く見られます。

誰かにすすめたくなる読後感の良さ

『レインツリーの国』の大きな魅力は、読み終えた後に心が温かくなる、その読後感の良さにあります。

「大切な人にすすめたい」「もう一度読み返したい」といった感想が数多く寄せられており、9,926件以上の感想・レビューが集まるほどの人気を博しています。

人と人が真剣に向き合うことの尊さや、誠実であることの大切さを感じさせてくれる物語です。

この優しい物語を誰かと共有したくなる気持ちが、高い評価と口コミの多さにつながっています。

『レインツリーの国』の書籍情報とメディア展開

『レインツリーの国』は小説だけでなく、ラジオドラマや映画といった様々な形で楽しめます。

どのメディアから作品に触れるかによっても、受け取る感動が変わるため、自分に合った楽しみ方を見つけるのがおすすめです。

原作の繊細な心理描写をじっくり味わいたい方から、映像で物語の世界に浸りたい方まで、それぞれの魅力を紹介します。

小説、ラジオドラマ、映画、それぞれの良さがありますので、ぜひ色々な形で『レインツリーの国』の世界に触れてみてください。

新潮文庫版と角川文庫版の存在

『レインツリーの国』の文庫本には、新潮文庫版と角川文庫版の2種類が存在します

この物語は、有川浩の別作品『図書館内乱』(角川文庫)の作中作として登場した架空の小説が元になっており、ファンの熱い要望に応えて1冊の本として2006年に新潮社から刊行されました。

その後、2009年7月1日に新潮文庫から、2015年9月24日には映画化に合わせて角川文庫からも発売されたという経緯があります。

物語の内容に違いはありません。

どっちの文庫を読めばいいですか?

基本的にはどちらを選んでも物語は同じです

どちらの文庫で読んでも、伸と利香が紡ぐ感動的な物語を体験できます。

表紙のイラストやデザインの好みで選ぶのも良いでしょう。

2007年放送のNHK-FMラジオドラマ版

この作品は、玉森裕太さん主演の映画化よりも前にラジオドラマ化されていました

2007年6月9日にNHK-FMの「FMシアター」という番組で放送され、向坂伸行役を赤星マサノリさん、人見利香役を前田亜季さんが演じています。

声だけの演技は、聴く人の想像力を豊かに広げ、伸のまっすぐな言葉や利香の繊細な心の動きがより深く伝わります。

ラジオドラマ版は今からでも聴けますか?

現在では公式な配信はなく、再放送などを待つ必要があります

小説を読んだ後に聴くと、また違った感動が味わえます。

耳で感じる『レインツリーの国』の世界は、原作ファンにとっても新鮮な体験になるはずです。

映画を視聴できる動画配信サービス

2015年に公開された映画版『レインツリーの国』は、主要な動画配信サービスで手軽に視聴できます

向坂伸行役を玉森裕太さん(Kis-My-Ft2)、人見利香役を西内まりやさんが演じ、二人の瑞々しい演技が物語に新たな命を吹き込みました。

仕事で疲れた夜や休日に、自宅でゆっくりと映画の世界に浸るのも良い時間の使い方です。

どのサービスで見るのがおすすめですか?

多くのサービスにある無料トライアル期間を利用するのがおすすめです

ご自身の利用状況に合ったサービスを選んで、伸と利香が紡ぐ心温まる物語を映像で楽しんでください。

よくある質問(FAQ)

『レインツリーの国』というタイトルの意味は何ですか?

ヒロインの人見利香が運営するブログの名前が「レインツリーの国」です。

これは、彼女が自身の「聞こえにくい世界」を、静かに雨が降るネムノキ(英名:レインツリー)の木の下に例えたものです。

彼女にとって唯一安心できる大切な場所を象徴しています。

有川浩さんの他の作品と比べて、どんな特徴がありますか?

有川浩さんの作品には自衛隊や図書隊など特殊な世界を舞台にしたエンターテインメント性の高いものが多いですが、本作はごく普通の社会人二人の内面を丁寧に描いた、純粋な恋愛小説です。

障害というテーマと向き合いながら、登場人物の心の機微をじっくりと描いている点が大きな特徴といえます。

主人公・向坂伸行が関西弁で話すのには理由があるのでしょうか?

伸行の関西弁は、彼の裏表のないストレートな性格を効果的に表現する要素です。

彼の飾らないまっすぐな言葉が、感音性難聴という障害によって心を閉ざしがちな利香の心に直接響き、二人の関係を進展させる原動力になっています。

この物語は『図書館内乱』を読んでいないと楽しめませんか?

いいえ、その心配は全くありません。

『レインツリーの国』はもともと『図書館内乱』の作中作でしたが、物語は完全に独立しているため、この一冊だけで感動的な物語を十分に楽しむことができます。

もし『図書館内乱』を読んでいると、作中人物が読んでいた本を実際に体験するという、特別な楽しみ方ができます。

原作の小説と映画、どちらから触れるのがおすすめですか?

登場人物の細やかな心理描写や言葉のやり取りを深く味わいたい方は、まず原作の小説から読むことをおすすめします。

活字で二人の心の動きをじっくりと追体験した後に映画を観ると、玉森裕太さんや西内まりやさんの演技によって物語がどう表現されたかという違いも楽しめます。

物語の結末は、すっきりとしたハッピーエンドなのでしょうか?

はい、二人が恋人として未来へ歩き出す、希望に満ちた温かい結末を迎えます。

ただし、障害という現実的な問題が魔法のように解決するわけではありません。

お互いの世界を尊重し、理解し合いながら共に生きていくことを決意する、地に足の着いた誠実なハッピーエンドです。

読後には優しい余韻が心に残ります。

まとめ

有川浩さんの小説『レインツリーの国』は、顔も知らない男女がメールのやり取りを通じて心を通わせ、障害という壁を乗り越えて真実の愛を見つけていく姿を描いた、心温まる物語です。

人が人を理解することの尊さを教えてくれます。

日々の生活に少し疲れていると感じるなら、この物語がきっとあなたの心を優しく癒してくれます。

ぜひ小説を手に取り、二人が紡ぐ丁寧な心の交流をじっくりと味わってみてください。

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