【ネタバレなし】小説「少年と犬」のあらすじと感想｜映画キャスト高橋文哉も紹介

「少年と犬」は、ネタバレを避けつつ作品の感動を確かめたいあなたにぴったりの記事です。

この記事を読めば、直木賞を受賞した馳星周さんの小説「少年と犬」のあらすじや感想、そして2025年公開の映画情報までわかります。

第163回直木賞受賞作「少年と犬」の概要

馳星周さんの小説「少年と犬」は、第163回直木三十五賞を受賞した、心温まる感動の物語です。

一匹の犬が旅をする中で出会う人々との絆を描き、多くの読者の涙を誘いました。

この見出しでは、作品が持つ魅力の核心に迫ります。

著者・馳星周と作品の背景

馳星周さんは、これまで主に裏社会を描く「ノワール小説」の旗手として知られてきた作家です。

しかし、自身も愛犬家である馳さんが描いたこの作品は、これまでの作風とは一線を画し、多くの読者に衝撃と感動を与えました。

これまで直木賞に6度ノミネートされ、7回目の候補で見事に受賞を果たした記念碑的な作品でもあります。

作家としての新境地を開き、幅広い読者層から支持を集めるきっかけとなりました。

犬への深い愛情を持つ馳さんだからこそ描ける、犬と人間の繊細な心の交流が、物語全体に温かい光を灯しています。

一匹の犬が紡ぐ人と人との絆の物語

この物語の最大の魅力は、言葉を交わすことのできない犬と人間との、魂の交流を描いている点です。

主人公であるシェパード犬の「多聞」は、その旅の道中で、心に傷や孤独を抱えた様々な人々と出会います。

物語は全6編からなる連作短編集で構成されており、多聞と関わることで人々の閉ざされた心が少しずつ開かれ、再生していく様子が丁寧に描かれます。

それぞれの短編は独立していますが、多聞の旅を軸に一つの大きな物語として繋がっていきます。

多聞のひたむきな愛情は、読者自身の心にも深く響き、大切な誰かとの絆を改めて考えさせてくれるでしょう。

東日本大震災から始まる壮大な旅

物語の始まりは2011年の東日本大震災です。

この震災は単なる時代背景ではなく、物語全体を貫く「喪失と再生」というテーマの象徴として描かれています。

飼い主を失った犬の「多聞」は、宮城県の仙台市から、ある一つの目的だけを胸に、約1,300km離れた熊本県を目指してひたすら西へと旅を続けます。

その道中で出会う人々もまた、何かしらの喪失感を抱えています。

多聞の旅路は、彼自身のためだけでなく、出会う人々の心を癒し、明日へ向かう希望を見つけ出すための巡礼のような道のりなのです。

多くの読者から寄せられた感動の感想・レビュー

「少年と犬」がこれほどまでに多くの人に愛されている理由は、誰もが共感し、心を揺さぶられる普遍的な感動が物語に満ちているからです。

読書メーターでは登録者数が1万人を超え、2,800件以上の感想・レビューが寄せられるなど、その人気の高さがうかがえます。

「涙なしには読めない」「犬の健気さに胸を打たれた」といった声が数多く見られ、多くの読者が深い感動を味わっていることがわかります。

物語の巧みな構成と心温まる結末（ネタバレはしません）は、普段あまり本を読まない人でも夢中になって読み進めてしまう魅力を持っています。

【ネタバレなし】小説「少年と犬」のあらすじと登場人物

この物語の最大の魅力は、一匹の犬と人間との間に生まれる深く温かい絆です。

ここでは、物語の核心に触れるネタバレは一切せずに、あらすじと主な登場人物を紹介しますので、安心して物語の世界観に触れてください。

これから、物語がどのような構成で進んでいくのか、そして中心となる犬「多聞」と、彼が出会う人々について詳しく見ていきましょう。

全6編からなる連作短編集の構成

「少年と犬」は、一つの大きな物語が、独立した6つの短編を通して描かれる連作短編集という形式で書かれています。

物語は2011年の東日本大震災後から始まり、多聞という一匹の犬が宮城県から熊本県まで、約5年半かけて西へ向かう壮大な旅を描きます。

各短編で多聞は様々な人々と出会い、彼らの人生に静かな影響を与えていくのです。

短編集の構成	舞台	出会う人々
男と犬	宮城県仙台市	窃盗団の男
泥棒と犬	新潟県	窃盗団の仲間
夫婦と犬	富山県	関係が壊れかけた夫婦
娼婦と犬	滋賀県	絶望の中にいた女性
老人と犬	島根県	死期を悟った老猟師
少年と犬	熊本県	震災で心を閉ざした少年

それぞれの物語は独立していますが、多聞の旅を追いかけることで、すべてのエピソードが一本の線で繋がり、大きな感動を生み出します。

物語の中心となるシェパード犬「多聞」

この物語の真の主人公は、賢く、忠誠心の強いシェパード犬の「多聞」です。

彼は言葉を話しませんが、傷ついた人々の心にそっと寄り添い、生きる希望の光を灯す存在として描かれています。

東日本大震災で飼い主を失った多聞は、ただひたすらに西を目指して旅を続けます。

なぜ彼は旅を続けるのか、その謎が読者の心を惹きつけ、物語の大きな原動力となっています。

その健気でひたむきな姿は、私たちに生きることの尊さと切なさを教えてくれます。

多聞が出会う心に傷を負った人々

多聞が旅の途中で出会うのは、私たちと同じように悩みや弱さを抱えたごく普通の人々です。

家族のために犯罪に手を染めた男、すれ違いから関係が冷え切ってしまった夫婦、人生のどん底にいた女性など、物語全体を通して計6組の人々が登場します。

彼らは皆、何かしらの喪失感や孤独を抱えて生きているのです。

多聞との束の間の交流を通して、彼らの凍てついた心がどのように溶かされていくのかが、この物語の大きな見どころと言えるでしょう。

旅の始まりを描く「男と犬」

物語の最初の章である「男と犬」は、多聞の長く切ない旅の幕開けを告げる重要なエピソードです。

舞台は、東日本大震災から半年が経過した宮城県仙台市。

ここで多聞は、生活のために窃盗を働く男・和正と出会います。

この出会いが、多聞を西へ向かう長い旅へと導くきっかけとなるのです。

このエピソードを読むことで、物語全体を包む切ない雰囲気と、多聞が背負う宿命を深く感じ取ることができます。

物語の終着点となる「少年と犬」

最終章である「少年と犬」は、多聞の旅の目的が明かされる、涙なしには読めない感動のクライマックスです。

東日本大震災後の仙台から始まった旅は、2016年の熊本地震に見舞われた熊本県で終着点を迎えます。

心を閉ざしてしまった一人の少年との出会いが、多聞の旅に最後の意味を与えることになります。

多聞がなぜ長い年月をかけてまで西を目指し続けたのか。

その理由は、ぜひあなたの目で確かめてみてください。

2025年公開予定の映画「少年と犬」最新情報

原作小説の深い感動がスクリーンでどのように描かれるのか、2025年3月20日の公開が今から待ち遠しいですね。

話題のキャストと実力派の制作陣による、映画ならではの魅力を最新情報と共にお届けします。

項目	詳細
公開日	2025年3月20日
キャスト	主演：高橋文哉、西野七瀬
監督	瀬々敬久
主題歌	SEKAI NO OWARI「琥珀」
特徴	原作を基にした映画オリジナルの要素

話題のキャストと実力派の制作陣が集結し、原作ファンも未読の方も楽しめる作品になることが期待されます。

映画の公開日と予告編

映画『少年と犬』の公開日は2025年3月20日（木・祝）に決定しました。

全国東宝系での公開が予定されており、春休みの大きな話題となりそうです。

既に公式サイトでは30秒の特報映像が公開されており、多聞の姿や物語の壮大な世界観を垣間見ることができます。

公開に向けて、今後さらに長い予告編や新しい情報が解禁されるのが楽しみです。

主演の高橋文哉と西野七瀬

本作の主演を務めるのは、今最も注目を集める若手俳優の高橋文哉さんと西野七瀬さんです。

高橋さんはドラマ『君の花になる』や『フェルマーの料理』で主演を務め、西野さんも『シン・仮面ライダー』や『ある閉ざされた雪の山荘で』など話題作への出演が続いています。

そんな人気と実力を兼ね備えた2人が、この感動的な物語にどのような息吹を吹き込むのか、期待が高まります。

原作のどの登場人物を演じるのか、役柄の発表が待たれるところです。

監督・瀬々敬久が描く映像の世界

監督を務めるのは、『糸』や『護られなかった者たちへ』といった数々の感動作で知られる瀬々敬久（ぜぜ たかひさ）さんです。

瀬々監督は、人間の心の機微を丁寧に描き、観る人の心を深く揺さぶる演出に定評があります。

特に『護られなかった者たちへ』では、東日本大震災を背景にしたヒューマンミステリーを描いており、『少年と犬』のテーマとも重なる部分があります。

壮大な自然の風景と、登場人物たちの繊細な感情がどのように映像で表現されるのか、大きな見どころの一つです。

主題歌SEKAI NO OWARIの新曲「琥珀」

物語のラストを彩る主題歌は、人気バンドSEKAI NO OWARIが本作のために書き下ろした新曲「琥珀」に決定しました。

SEKAI NO OWARIは、これまでにも『竜とそばかすの姫』の劇中歌など、数々の映画音楽を手掛けてきました。

その独特の世界観と心に響くメロディが、多聞の旅路と出会う人々の物語に寄り添い、感動をさらに深いものにしてくれます。

タイトルの「琥珀」が何を意味するのか、歌詞に込められたメッセージと共に映画の世界観を深く味わいたいです。

原作ファンも気になる映画オリジナルの要素

映画版は、原作の複数のエピソードを基にしながらも、映画オリジナルの要素を加えて再構成されることが発表されています。

全6編からなる連作短編集である原作を、約2時間の映画としてどのようにまとめ上げるのか、脚本を手掛ける林民夫さんの手腕に注目が集まります。

原作の感動的なエピソードはそのままに、新たな視点が加わることで、小説を読んだ方でも新鮮な気持ちで楽しめる作品になるでしょう。

どのエピソードが中心に描かれるのか、そしてオリジナル要素が物語にどのような深みを与えるのか、続報を心待ちにしましょう。

様々な形で楽しむ「少年と犬」の世界

馳星周さんの小説「少年と犬」の感動は、活字の世界だけにとどまりません。

物語を深く味わうための選択肢は複数あり、自分のライフスタイルに合った方法で感動を体験できる点が大きな魅力です。

どの形式も、物語が持つ温かさや切なさを余すところなく伝えてくれます。

形式	特徴	こんな人におすすめ
文春文庫版	手頃な価格で持ち運びやすい	まずは気軽に物語を読んでみたい人
漫画版	物語を視覚的に楽しめる	活字が苦手な人、絵で感動したい人
オーディオブック版	耳で聴いて物語を味わえる	忙しくて本を読む時間がない人

どの入口からでも、多聞が紡ぐ絆の物語に深く心を動かされます。

あなたの生活に一番近い形で、この物語に触れてみてはいかがでしょうか。

手に取りやすい文春文庫版

文春文庫とは、出版社の文藝春秋が発行している文庫本のシリーズです。

単行本よりもコンパクトで、手頃な価格で手に入ります。

「少年と犬」の文庫版は2023年4月5日に発売されており、通勤カバンにもすっぽり収まるサイズ感が魅力です。

外出先や移動中のわずかな時間でも、気軽に物語の世界に浸れます。

ページをめくるたびに多聞の旅を追いかける体験は、読書ならではの深い感動を与えてくれます。

村上たかし作画による漫画版

漫画版は、小説の感動的な物語を絵とセリフで楽しめる形式です。

文字だけでは想像しきれなかった情景や登場人物の表情が、より鮮明に伝わります。

作画を担当するのは、『星守る犬』でも知られる村上たかしさんです。

犬の健気な表情や日本の美しい風景の描写が素晴らしく、2022年に単行本が刊行されて以来、多くの読者の心を掴んでいます。

小説を読んだ方でも、新たな発見と感動があるでしょう。

多聞の温かい眼差しや力強い姿が、心に深く刻まれます。

耳で物語を味わうオーディオブック版

オーディオブックとは、プロのナレーターが朗読した「聴く本」のことです。

耳から物語が入ってくるため、情景を鮮やかに想像できます。

Audible Studiosから配信されているオーディオブック版なら、満員電車での通勤中や車の運転中、家事をしている最中でも物語を楽しめるのが最大の利点です。

ナレーターの感情のこもった朗読が、物語の感動を一層深めてくれます。

新しい読書体験として試してみる価値は十分にあります。

よくある質問（FAQ）

「泣ける」「感動する」という感想が多いですが、物語のどの部分が特に心を打つのでしょうか？

物語の根底にある「喪失からの再生」というテーマと、主人公のシェパード犬・多聞のひたむきな姿が多くの読者の涙を誘います。

多聞が旅の途中で出会う人々は、皆それぞれ心に傷を負っています。

言葉を話せない犬が、ただ静かに寄り添うことで人々の心が癒されていく様子は、深い感動を呼びます。

特に、東日本大震災という出来事が背景にあることで、物語に一層の深みを与えています。

作者の馳星周さんは、これまでと作風が違うそうですが、この作品ならではの特徴はありますか？

馳星周さんは、これまで人間の闇を描く作品で知られていました。

しかし、ご自身が愛犬家であることから、この物語では犬への深い愛情と優しい眼差しが随所に感じられます。

これまでの作風で培われた、人間の弱さや複雑な感情を鋭く描く筆致は健在です。

そのため、登場人物たちの苦悩や葛藤が非常に現実的に描かれ、彼らが犬との出会いによって救われていく姿に強い説得力が生まれています。

主人公の犬、多聞はなぜ長い旅を続けるのですか？結末が気になります。

多聞の旅の目的は、物語の最も重要な核となる部分です。

ネタバレになるため詳しくはお話しできませんが、その理由は「かつての飼い主との深い絆」にあります。

多聞がなぜ西へ向かい続けるのか、その謎を追いながら読み進めるのがこの物語の醍醐味です。

結末を知らずに最後のページにたどり着いた時、きっと温かい涙とともに大きな感動を味わえます。

映画のキャストである高橋文哉さんと西野七瀬さんは、原作のどの登場人物を演じるのですか？

2025年3月20日の映画公開に向けて期待が高まりますが、現時点では高橋文哉さんと西野七瀬さんが演じる役柄の詳細は発表されていません。

映画版は原作の複数のエピソードを基に再構成され、映画ならではの要素も加わるとのことです。

そのため、原作の登場人物をそのまま演じるのか、あるいは映画オリジナルの役柄になるのか、今後の続報に注目が集まります。

連作短編集とのことですが、どの話から読んでも楽しめますか？

それぞれが独立した物語として読むこともできますが、より深く感動を味わうためには、最初の「男と犬」から順番に読んでいくことを強くおすすめします。

物語は多聞の旅を時系列で描いているため、順番に読むことで彼の旅路を追い、出会う人々の心の変化をより鮮明に感じ取れます。

少しずつ積み重なった想いが、最後の章で一つの大きな感動へと繋がっていきます。

小説の文庫本や漫画、映画など色々ありますが、どれから楽しむのがおすすめですか？

どの媒体からでも『少年と犬』の世界を楽しめますが、体験したい感動の種類によって選ぶのがよいでしょう。

登場人物の細やかな心の動きや情景描写をじっくり味わいたいなら、まずは手軽な文庫本がおすすめです。

活字が苦手な方や、多聞の健気な姿を絵で見てみたい方は漫画版がぴったりです。

そして、物語の評価を確かめた上で、映像と音楽による壮大な感動を体験したい方は、映画の公開日までに原作を読んでおくという楽しみ方もあります。

まとめ

この記事では、馳星周さんの直木賞受賞作「少年と犬」の魅力を、ネタバレを避けてご紹介しました。

この作品は、東日本大震災を背景に一匹の犬が紡ぐ、喪失と再生の感動的な物語です。

心が揺さぶられるような感動を求めているなら、まずは手に取りやすい文庫本から多聞の旅路を追いかけてみてください。