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【ネタバレなし】湊かなえ『少女』のあらすじと感想|イヤミス好き必見の傑作

「人が死ぬ瞬間を見てみたい」という歪んだ好奇心を描いた、湊かなえさんの小説『少女』。

この物語で最も重要な点は、思春期特有の危うい心理が、どのような結末を招くのかを追体験できることにあります。

親友の自殺を目撃したという転校生の言葉に触発された二人の少女が、本当の目的を隠したまま、死に近づくために夏休みのボランティアを始めるところから物語は進んでいくのです。

ネタバレせずに、あらすじや魅力を知りたいんだけど…

はい、この記事では結末に一切触れず作品の魅力をご紹介します

目次

心をえぐる読後感、イヤミスの傑作『少女』の基本

この物語の面白さは、「人が死ぬ瞬間を見てみたい」という少女たちの純粋で歪んだ好奇心が、どのような結末を招くのかを追体験できる点にあります。

人間の隠された悪意や本性を静かに、しかし鋭く描き出す湊かなえさんの世界観が凝縮された一冊です。

本章では、これから『少女』を読むあなたが知っておくべき、作品の基本的な情報やテーマについて、ネタバレを一切含まずに解説します。

ネタバレなしで語る物語のあらすじ

親友の自殺を目撃したという転校生の話を聞いた、高校2年生の由紀と敦子。

彼女たちはその話にどこか羨望の気持ちを抱き、「人が死ぬ瞬間を見れば、自分も変われるのではないか」と考えます。

夏休み、二人は互いに本当の目的を隠したまま、由紀は小児病棟へ、敦子は老人ホームへとボランティア活動を始めます

純粋な好奇心から始まった少女たちの夏が、周囲の人々を巻き込みながら、思いもよらない方向へと進んでいく物語です。

結末が気になっちゃうけど、本当にネタバレはない?

はい、物語の核心や結末には一切触れていませんので、ご安心ください

この物語は、少女たちの行動の先に何が待っているのか、その一点に引き込まれてページをめくる手が止まらなくなるでしょう。

原作小説の刊行日と文庫版の情報

原作小説は、2009年1月20日に早川書房から単行本として刊行されました

その後、多くの読者の手に渡り、現在は双葉社から文庫版や電子書籍版も発売されています。

これから読むなら、手軽に持ち運べる文庫版か、すぐに読める電子書籍がおすすめです。

どの形式を選んでも、物語の持つ不穏な空気と衝撃を存分に味わうことができます。

人が死ぬ瞬間を見たい、少女たちの歪んだ願望

本作の根底に流れるテーマは、思春期の少女たちが抱く「死」への特別な好奇心です。

これは単なる猟奇的な興味ではなく、現状の自分から変わりたい、強くなりたいという切実な願いが歪んだ形で表れたものです。

親友の死を語る転校生への嫉妬から生まれたこの願望は、由紀と敦子の夏休みを支配する大きな目的となります

彼女たちは、死に直面することでしか得られない「何か」があると信じて疑いません。

どうしてそんな危険なことを考えちゃうんだろう?

思春期特有の万能感と、自分の存在価値への不安がそうさせているのかもしれません

この危うい願望が、二人の少女だけでなく、周囲の人々の運命をも静かに狂わせていくのです。

『告白』が好きなあなたへのおすすめポイント

『告白』で描かれた人間の心の闇や、じわりとくる後味の悪さに引き込まれたあなたなら、『少女』も間違いなく楽しめる作品です。

両作に共通するのは、登場人物たちの視点が入れ替わりながら、一つの真実が浮かび上がってくる構成の巧みさにあります。

『告白』が事件の「後」の関係者たちの独白で物語が進むのに対し、『少女』は歪んだ目的を抱いた少女たちが破滅へと向かう「前」の心の揺れ動きを丹念に描いています。

『告白』の衝撃的な復讐劇とは異なる、じわじわと心を蝕むような恐怖と読後感を『少女』でぜひ味わってみてください。

物語の鍵を握る登場人物たち

この物語の面白さは、登場人物たちが抱える心の闇と、それぞれが隠している秘密にあります。

彼女たちの視点や行動が複雑に絡み合い、物語に奥行きと不穏さを与えています。

一見すると普通の少女たちが、なぜ「死」に惹かれていくのか、その心理に注目です。

物語は主に由紀と敦子、二人の視点で交互に語られます。

誰の心に寄り添って読むかによって、物語の受け取り方が変わるのも本作の魅力です。

桜井由紀、死の瞬間に魅せられた少女

主人公の一人である桜井由紀は、表面上は冷静で理知的な女子高校生です。

しかし彼女の心の中には、「人が死ぬ瞬間を見てみたい」という、常軌を逸した強い衝動が渦巻いています。

その歪んだ願望を満たすため、由紀は夏休みを利用して小児病棟でのボランティアを始めます。

彼女はそこで、生命が尽きようとする瞬間に立ち会おうとします。

普通の高校生が、どうしてそんな歪んだ願望を持つようになったの?

物語を読み進めると、彼女の家庭環境や人間関係が少しずつ明らかになりますよ

由紀の視点を通して物語を追体験することで、日常の中に潜む人間の脆さや危うさを感じ取れるでしょう。

草野敦子、死体を見て強くなりたいと願う親友

もう一人の主人公である草野敦子は、由紀の親友です。

彼女は常に不安を抱え、自分に自信が持てない性格に悩んでいます。

そんな敦子がたどり着いた結論は、「死体を見れば、自分はもっと強くなれるのではないか」というものでした。

由紀とは異なる動機から、敦子は老人ホームでのボランティアを開始します。

そこで彼女は、命の終わりを間近で感じることで、自身の弱さを克服しようと試みます。

敦子の抱えるコンプレックスや焦燥感は、思春期に誰もが一度は感じるであろう感情と重なる部分があり、読者の心を揺さぶります。

紫織、親友の自殺を目撃した転校生

由紀と敦子の日常を大きく揺るがすのが、転校生の紫織です。

彼女が語る「親友の自殺を目撃した」という衝撃的な告白は、二人が「死」への好奇心を抱く直接的なきっかけとなります。

紫織の存在は、物語全体にミステリアスな雰囲気をもたらします。

彼女の言葉はどこまでが真実で、どこからが嘘なのか。

その曖昧さが、読者の疑念をかき立てます。

この転校生が一番怪しい気がする…

その直感は、物語の核心に迫る上で大切なポイントになります

紫織の何気ない一言や行動に注意を払うと、物語に張り巡らされた巧みな伏線に気づくことができるかもしれません。

由紀たちを取り巻く個性的なキャラクターたち

『少女』の魅力は、主人公の二人だけではありません。

彼女たちを取り巻く登場人物もまた、それぞれに秘密や歪みを抱えています。

登場人物のほぼ全員が、物語の「イヤミス」度を高める役割を担っているのです。

これらの登場人物が由紀や敦子と関わることで、彼女たちの計画は思わぬ方向へと転がっていきます。

彼らの存在が、物語を一層複雑で予測不能なものにしています。

ネタバレなしで解説する『少女』3つの魅力と読者の感想

『少女』が多くの読者の心を掴んで離さない理由は、その巧みな物語構成にあります。

特に、思春期特有の危うい心理を切り取ったリアルな描写は、読者に強烈な印象を残します。

これらの要素が絡み合うことで、単なるミステリーでは終わらない、忘れがたい読書体験が生まれるのです。

思春期の危うい心理を切り取るリアルな描写

本作の魅力は、何と言っても思春期特有の不安定で危うい心理描写にあります。

大人と子供の狭間で揺れ動き、自分は何にでもなれるという万能感と、どうしようもない無力感が同居する少女たちの心が、痛々しいほどリアルに描かれています。

「人が死ぬ瞬間を見てみたい」という常軌を逸した願望も、彼女たちの「変わりたい」という純粋な思いから生まれています。

夏休みという限られた期間の中で目的を果たそうとする焦燥感は、読者の心を締め付けます。

どうして普通の女子高生がそんなことを考えるんだろう?

思春期ならではの不安定な心が、日常の小さなきっかけで暴走してしまう恐ろしさが描かれています。

この生々しい心理描写があるからこそ、読者は物語に深く引き込まれ、登場人物たちの行動から目が離せなくなるのです。

じわじわと心を蝕む「イヤミス」ならではの読書体験

本作は、「イヤミス」の代表作としても知られています。

イヤミスとは、読み終えた後に嫌な気分が残る、後味の悪いミステリーのことです。

物語は衝撃的な事件が次々と起こるわけではありません。

むしろ、登場人物たちの心の内に渦巻く嫉妬や悪意、偽りが少しずつ明らかになり、不穏な空気がページをめくるごとに濃くなっていくのです。

その静かな恐怖が、読者の心をじわじわと蝕んでいきます。

読み終えた後、落ち込んだりしないかな…?

そのずっしりとした読後感こそが、湊かなえ作品の醍醐味であり、クセになる魅力なのです。

この息苦しいほどの緊張感と、心に重くのしかかるような読後感は、イヤミス好きにとってたまらない魅力と言えるでしょう。

読後に気づく巧みな伏線と衝撃のどんでん返し

『少女』は、ミステリー小説としても非常に精巧に作られています。

物語の随所に散りばめられた巧みな伏線は、読者を驚愕の結末へと導きます。

由紀と敦子、二人の視点が交互に語られる構成は、読者の思い込みを巧みに利用する仕掛けの一つです。

何気ない会話や行動の一つひとつが、実は結末に繋がる重要な意味を持っていることに、最後の最後で気づかされるでしょう。

ミステリーとしてもしっかり楽しめる?

はい、ラストのどんでん返しは圧巻です。すべてのピースがはまる瞬間の衝撃をぜひ味わってください。

すべての謎が解き明かされた時、物語は全く違う顔を見せます。

ネタバレを知らずに読むからこそ味わえる衝撃を、ぜひ体験してほしいです。

本田翼・山本美月主演、映画版『少女』の情報

小説の世界観を映像で追体験できるのが映画版の魅力です。

豪華キャストが演じることで、キャラクターたちの感情がより生々しく伝わってきます。

小説とは異なる結末が用意されているため、原作を読んだ方でも新鮮な気持ちで楽しめます。

小説と映画の主な違いをネタバレなしで紹介

映画版は、小説の核となるテーマを尊重しつつ、映像ならではの表現やオリジナルの展開が加えられています。

例えば、原作では描かれていない登場人物同士の直接的な対立シーンが追加されていたり、物語の結末が変更されていたりします。

原作を読んでから観るべき?

どちらからでも楽しめますが、結末が異なるので両方観るとより深く味わえますよ

この違いによって、同じ物語でありながら全く異なる読後感と視聴後感が得られるのが、本作のメディアミックスの面白さです。

主演の本田翼・山本美月や稲垣吾郎など豪華キャスト

本作のキャスティングは、登場人物が持つ危うさや複雑な内面を表現できる実力派俳優陣が揃っています。

主演の本田翼さんと山本美月さんが、それぞれ心に闇を抱える少女、由紀と敦子を見事に演じ切りました。

特に、物語の鍵を握る不気味な大人を演じた稲垣吾郎さんの怪演は、作品に一層の深みと恐怖を与えています。

物語を彩るGLIM SPANKYの主題歌

主題歌は、ロックユニットGLIM SPANKYの「闇に目を凝らせば」です。

この楽曲は、映画のために書き下ろされたもので、ボーカルの松尾レミさんのハスキーな歌声と、少女たちの危うい心情に寄り添う歌詞が、作品の世界観を完璧に表現しています。

曲を聴くだけでも作品の雰囲気がわかるかな?

はい、歌詞が物語の核心に触れているので、鑑賞後に聴くとより一層心に響きます

映画のエンドロールでこの曲が流れたとき、物語の余韻と相まって、観る者の心にずっしりとした感情を残します。

映画を視聴できる動画配信サービス

映画『少女』は、定額制の動画配信サービス(VOD)で視聴できます。

2024年6月現在、見放題プランの対象となっているのはU-NEXTやAmazonプライム・ビデオなどです。

各サービスには無料トライアル期間が設けられている場合が多いので、期間を利用して視聴することも可能です。

岩下慶子による漫画版の存在

小説や映画だけでなく、岩下慶子さん作画による漫画版も存在します。

漫画版は講談社の『デザート』で連載され、2010年に単行本が発売、2016年には新装版も刊行されました。

漫画版は小説とどう違うの?

活字が苦手な方でも、絵でキャラクターの表情や情景がわかるので物語に入りやすいですよ

原作の持つ不穏な雰囲気を、美麗な絵で忠実に再現しており、小説とはまた違った角度から『少女』の世界を楽しめます。

『少女』の世界を体験するための入り口

『少女』の物語に触れる方法は、一つではありません。

どのメディアから入るかによって、物語の印象や楽しみ方が変わってきます。

まずは物語の原点である原作小説から読み始めることで、湊かなえさんが描く繊細な心理描写を深く味わうことができます。

それぞれのメディアに独自の魅力がありますので、あなたの好みや気分に合わせて、最適な入り口を選んでみてください。

どの扉から入っても、『少女』の持つ独特の世界観に引き込まれるはずです。

まずは原作小説から、双葉社文庫版と電子書籍

物語の根幹をなす心理描写や伏線を余すことなく味わうなら、やはり原作小説から読み始めるのがおすすめです。

文庫版は双葉社から刊行されており、全328ページにわたって少女たちの夏が描かれています。

気軽に持ち運べる文庫版のほかに、スマートフォンやタブレットですぐに読める電子書籍版も選択肢の一つです。

どの本から読めばいいの?

手軽に読める双葉社文庫版から手に取ってみるのがおすすめです

文字を通して由紀と敦子の感情の揺れ動きを丁寧に追体験することで、物語の深層に触れることができます。

映像で恐怖を味わう、映画版の視聴

文字を読むのが苦手な方や、視覚的なスリルを求める方には2016年に公開された映画版がぴったりです。

主人公の由紀役を本田翼さん、敦子役を山本美月さんが演じ、少女たちの危うい魅力を体現しています。

脇を固める稲垣吾郎さんの怪演も見どころです。

映画はどこで観られる?

U-NEXTやAmazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスで視聴できます

俳優陣の表情や声、そして映像ならではの演出が、原作の持つ不穏な空気を増幅させ、小説とは異なる角度から恐怖を感じさせてくれます。

原作を読んだ後に楽しみたい漫画版

原作を読み終えて、物語の世界観にもっと浸りたいと感じたら、漫画版を手に取ってみるのも良いでしょう。

作画を担当したのは、繊細な心理描写に定評のある岩下慶子さんです。

講談社の漫画雑誌『デザート』で連載され、2016年には映画公開に合わせて新装版も発売されました。

漫画版はどんな人におすすめ?

小説の登場人物たちの表情や情景を、ビジュアルで補完したい方にぴったりです

小説で想像を膨らませたシーンが、漫画ではどのように描かれているのかを確認する楽しみがあります。

活字とは違う表現で、物語の新たな一面を発見できるでしょう。

よくある質問(FAQ)

「イヤミス」と聞くと少し怖いのですが、どのくらい後味が悪いですか?

イヤミスとは、読み終えた後に嫌な気分が残るミステリーを指します。

この作品は、直接的な描写で怖がらせるのではなく、登場人物たちの心の闇や悪意がじわじわと伝わってくる心理的な不快感が特徴です。

そのずっしりと重い読後感こそが、湊かなえ作品の大きな魅力であり、多くの読者を惹きつける理由になっています。

登場人物の関係性が複雑そうで、理解できるか不安です。

ご安心ください。

物語は主に由紀と敦子という二人の主人公の視点で交互に進んでいきます。

まずはこの二人の感情を追いかけるだけで、物語の世界に没入できます。

それぞれの登場人物が抱える秘密が、物語の後半で見事に繋がっていく構成は圧巻ですよ。

映画と小説、どちらから先に楽しむのがおすすめですか?

物語の核心である緻密な心理描写を深く味わいたいなら、まずは原作小説をおすすめします。

一方で、本田翼さんや山本美月さんといったキャストの演技や映像美を楽しみたい方は、映画から入るのも良い選択です。

映画版は結末が小説と異なるため、両方鑑賞することで二度楽しめます。

この本で読書感想文を書きたいのですが、どのようなテーマで書けますか?

いくつかの切り口があります。

例えば、「思春期特有の承認欲求と危うさ」や、由紀と敦子の関係性から「本当の親友とは何か」といったテーマで考察を深めることができます。

また、少女たちの行動を通して「死生観」について考えるのも、深い読書感想文に繋がります。

主人公の少女たちは、なぜ「人が死ぬ瞬間」を見たくなったのですか?

直接のきっかけは、親友の自殺を目撃したと語る転校生・紫織の話に嫉妬心を抱いたことです。

しかしその根底には、退屈な日常や自分自身を変えたいという強い願望が存在します。

その純粋な思いが「死」への歪んだ好奇心へと繋がり、物語は大きく動き出すのです。

ネタバレなしで教えてほしいのですが、本当に衝撃の結末が待っていますか?

はい、ラストには驚きのどんでん返しが用意されています。

物語全体に散りばめられた伏線が、最後に一つに繋がる構成には誰もが息を呑むはずです。

この衝撃を最大限に味わうためにも、ぜひ結末を知らないまま読み進めてください。

きっと忘れられない読書体験になります。

まとめ

湊かなえさんの小説『少女』は、「人が死ぬ瞬間を見てみたい」という純粋で歪んだ好奇心から始まる物語です。

この記事では、ネタバレを一切含まず、その魅力とあらすじを解説しました。

この作品で最も重要なのは、思春期の少女たちが抱える危うい心理が、予測不能な結末へと繋がっていく過程を追体験できる点にあります。

この記事で『少女』の世界に興味を持たれたなら、まずは物語の原点である原作小説を手に取ってみることをおすすめします。

登場人物たちの繊細な心の動きや巧みな伏線をじっくり味わうことで、きっと忘れられない読書体験になります。

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