北山猛邦さんの『つめたい転校生』は、ファンタジーの美しい世界観と論理的なミステリーが融合した、読者の予想を鮮やかに裏切る結末が魅力の短編集です。
この記事では『つめたい転校生』について、ネタバレを一切せずに全6編のあらすじや感想を解説します。
ミステリーの驚きと物語の切なさの両方を味わえる本作の魅力を、読者の評判を交えながら紹介します。

結末が予測できるミステリーには、もう飽きたんだけど…



この物語なら、最後の1ページで必ず鳥肌が立ちますよ
- 収録されている全6編のネタバレなしのあらすじ
- 予測不能な結末と切ない物語という作品の魅力
- 読書メーターでの感想や評判
『つめたい転校生』の魅力-ミステリーとファンタジーの融合
『つめたい転校生』の魅力は、ミステリーの謎解きとファンタジーの不思議な世界観が織りなす、唯一無二の物語体験にあります。
一見すると不思議なファンタジーでありながら、読み進めると論理的なミステリーとして成立している点に驚かされます。
本作が多くの読者を魅了する3つのポイントを解説します。
予測不能な結末と鮮やかな伏線
北山猛邦作品の真骨頂は、巧みに張り巡らされた伏線と、すべてが繋がった瞬間の衝撃的な結末にあります。
本作に収録されている6つの物語すべてに、読者の予想を鮮やかに裏切る仕掛けが施されています。
ファンタジーのような不思議な設定が、実は緻密なミステリーの構成要素だと気づいた時の爽快感は、ミステリー好きにはたまらない魅力です。



ありきたりな結末にはもう飽き飽きしてるんだよね…



この作品なら、最後の1ページまで気が抜けませんよ
物語の前提が覆されるような驚きが好きなあなたにとって、最高の読書体験が待っています。
人と人ならざる者の切ない恋愛模様
本作は単なる謎解き物語ではなく、登場人物たちの心模様を丁寧に描いた物語でもあります。
「人ならざる者」とは、幽霊や殺し屋、さらには都市伝説上の存在まで、物語によって様々です。
人間と、そうではない存在との出会いや別れは、胸が締め付けられるほど切なく、物語に深い奥行きを与えています。



謎解きだけじゃなくて、心に残る物語も読みたいな



ミステリーの驚きと、物語の切なさの両方を味わえるのが本作の魅力です
謎解きのスリルと登場人物への共感が両立しているため、読後には忘れがたい余韻が心に残ります。
隙間時間にも読める短編集という形式
本作は6つの独立した物語が収録された短編集なので、忙しい人でも気軽に読み始められる点が特徴です。
全272ページの中に珠玉の物語が詰まっており、通学中の電車や就寝前など、少しの空き時間で一つの世界に没頭できます。
一話完結でありながら、作品全体を流れる不思議で切ない空気感は共通しています。



まとまった読書時間がなかなか取れないんだよなあ



この本なら、忙しい毎日の中でも気軽に読み進められますよ
どの物語から読んでも、北山猛邦の世界観を存分に堪能できる構成です。
収録作品全6編のネタバレなしあらすじ
本書には、表題作を含む個性豊かな6つの物語が収録されています。
どれもファンタジーの不思議な世界観とミステリーの論理的な謎解きが融合した、北山猛邦さんならではの作品ばかりです。
タイトル | 概要 |
---|---|
かわいい狙撃手 | 一目惚れした男性が持つ大きなケースの謎 |
つめたい転校生 | 衆人環視の教室から忽然と姿を消した転校生の行方 |
うるさい双子 | 旅館で出会った性格の悪い先輩と、彼にそっくりな青年 |
いとしいくねくね | 都市伝説「くねくね」が現実になったかのような変死事件 |
はかない薔薇 | 殺人事件の唯一の目撃者が一本の薔薇だった話 |
ちいさいピアニスト | 無人の洋館から聴こえるピアノの音の正体を探る物語 |
それぞれ独立した物語でありながら、どこか共通する切ない空気感が全体を包み込んでいます。
どの話から読んでも、その魅力に引き込まれていくでしょう。
かわいい狙撃手
女子大生が恋に落ちたのは、いつも大きな楽器ケースのようなものを持っているスーツ姿の男性でした。
しかし、彼の正体は想像もしないもので、甘い恋物語は徐々に不穏なミステリーへと姿を変えていきます。
日常の中で芽生えた恋心が、たった一つの違和感から疑念へと変わっていく心理描写が巧みです。
彼の持つ大きなケースの中身が、物語の鍵を握っています。
【
一目惚れから始まるなんて、普通の恋愛小説みたいだね。
〈
いいえ、その「普通」が覆される瞬間こそ、この物語の醍醐味ですよ。
純粋な好意が、予測不能な結末へと繋がる様子に、きっとあなたも心を揺さぶられます。
つめたい転校生
物語の主人公は、かつて出会った少女にそっくりな転校生と再会します。
しかし彼女は、クラスメイト全員が見ている前で、忽然と姿を消してしまいました。
衆人環視という密室状況で起きた、ありえない消失事件の謎に挑みます。
少しホラーな雰囲気も漂う、切なさに満ちた物語です。
【
人が大勢いる中で消えるなんて、どんなトリックなの?
〈
その謎を解く鍵は、彼女の「つめたさ」に隠されています。
表題作にふさわしい、美しくも儚い謎があなたの心を掴んで離しません。
うるさい双子
東北の旅館でアルバイトを始めた女子大生が出会ったのは、性格の悪い先輩と、彼と瓜二つの青年でした。
見た目はそっくりなのに、性格は正反対の二人には、ある秘密が隠されています。
物語の舞台となる雪深い旅館の閉鎖的な雰囲気が、二人の青年の謎めいた存在を一層際立たせています。
【
双子が出てくるミステリーって、定番な感じがするけど…。
〈
この物語の双子は、あなたの想像をきっと裏切ってくれますよ。
徐々に明らかになる真実は、あなたのミステリーにおける「常識」を覆すものとなるでしょう。
いとしいくねくね
スランプに陥った漫画家が、隣人の奇妙な死をきっかけに、都市伝説「くねくね」を思い出します。
「くねくね」とは、見た者の精神をおかしくするとされる謎の存在です。
都市伝説という非現実的なテーマが、リアルな事件と結びついていく展開に引き込まれます。
過去の記憶をたどるうちに、恐ろしい真実が姿を現します。
【
都市伝説が題材って、なんだか怖そうだね。
〈
怖いだけではなく、なぜか「いとしい」と感じる、その理由に注目してください。
ホラーとミステリーが融合し、読後には不思議な感傷に浸ることができる一作です。
はかない薔薇
大学教授が殺害された事件で、唯一の目撃者は一本の薔薇でした。
その薔薇に触れると、事件の光景が脳裏に浮かび上がるという、ファンタジックな設定が特徴です。
人間ではないものが目撃者という前代未聞の状況で、刑事はどのように真実へとたどり着くのでしょうか。
【
薔薇が目撃者だなんて、どうやって謎を解くの?
〈
「見る」のではなく「感じ取る」ことで、事件の核心に迫っていきます。
発想の奇抜さが光る物語であり、切ない結末があなたの心に深い余韻を残します。
ちいさいピアニスト
誰もいないはずの洋館から、夜な夜なピアノの音が聴こえてくるという怪現象。
その音の正体を探るのが、この物語の始まりです。
弾き手のいないピアノが奏でるメロディには、ある悲しい秘密が隠されています。
音の謎を追っていくと、過去にこの洋館で起きた出来事が明らかになります。
ゴシックホラーのような雰囲気が魅力の作品です。
【
幽霊の仕業…とか、そういう話なのかな?
〈
その答えは、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
論理的な驚きが待っています。
物悲しくも美しいピアノの音色が、物語の結末を感動的に演出します。
読後の感想と評判-読書メーターの口コミから
書評サイト「読書メーター」には150件を超える感想が寄せられており、多くの読者が結末の衝撃と物語の切なさを高く評価しています。
読者がどのポイントに心を動かされたのか、口コミの傾向から分析してみましょう。
評価のポイント | 主な感想・口コミの傾向 |
---|---|
結末の衝撃 | 最後のどんでん返しや伏線回収への驚き |
物語の切なさ | 人と人ならざる者の恋模様への共感や感動 |
世界観 | ファンタジーとミステリーが融合した独特の雰囲気への評価 |
寄せられる感想は、主に「ミステリーとしての驚き」と「物語としての切なさ」という二つの側面に分けられます。
結末の衝撃に関する驚きの声
北山猛邦作品の大きな魅力は、巧みに仕掛けられた伏線と、すべてが明らかになる結末のどんでん返しにあります。
読書メーターに寄せられた150件以上の感想の中でも、「最後の数行で鳥肌が立った」「見事に騙された」といった、予測を裏切る展開への驚きの声が多数見られます。



結末が予想できるミステリーにはもう飽きたかも……



この作品なら、あなたの読書体験を新鮮な驚きで満たしてくれますよ
物語を読み終えた瞬間、もう一度最初から読み返したくなるような、鮮やかなトリックがこの短編集の醍醐味です。
物語の切なさへの共感の口コミ
本作はミステリーであると同時に、人と「人ならざるもの」との叶わぬ恋を描いた切ない物語でもあります。
読者の感想には「切なくて涙が出た」「登場人物たちの気持ちを思うと胸が痛い」といった声が目立ち、謎解きの面白さと同じくらい、登場人物たちの感情に心を揺さぶられた読者が多いことがうかがえます。
ミステリーの刺激的な面白さと、物語の感動の両方を味わえる点が、多くの人の心をつかんでいます。
北山猛邦の世界観に対する評価
本作で描かれるのは、日常に非日常が静かに溶け込んだ、独特の世界観です。
読者からは「美しくもどこか不気味な雰囲気がたまらない」「これぞ北山猛邦ワールド」といったように、唯一無二の世界観そのものを楽しむ声が多く寄せられています。



ただ怖いだけの話や、謎解きだけの話は少し苦手かも……



ファンタジーのような美しさとミステリーの緊張感が融合した、不思議な読後感を味わえます
不思議で、少し怖くて、そしてとても美しい。
そんな北山猛邦ならではの物語は、一度味わうと癖になる魅力を持っています。
北山猛邦『つめたい転校生』の書籍情報
この物語を実際に手に取ってみたいと思ったとき、気になるのは書籍の基本情報ですよね。
ここでは、『つめたい転校生』がどのような形態で出版されているのか、そして著者が他にどのような作品を手がけているのかを紹介します。
特に、持ち運びやすく隙間時間に読みやすい角川文庫版であることが、多くの読者にとって嬉しいポイントです。
項目 | 内容 |
---|---|
発売日 | 2016年3月25日 |
ページ数 | 272ページ |
出版社 | KADOKAWA/角川書店 |
著者代表作 | 『「アリス・ミラー城」殺人事件』、『千年万年りんごの子』など |
これらの情報を知ることで、作品のボリュームを把握し、著者の他の傑作にも興味が湧いてくるはずです。
角川文庫版の発売日とページ数
『つめたい転校生』は、気軽に購入できる角川文庫から出版されています。
発売日は2016年3月25日で、ページ数は全272ページです。
6つの物語が収録された短編集なので、1話あたり約45ページと、通勤・通学の電車内や少しの休憩時間でも1話を読み終えられるボリュームになっています。



1冊読み切れるか少し心配……



1話完結の短編集なので、自分のペースで読み進められますよ
文庫本という手に取りやすいサイズ感は、これから北山猛邦作品を読み始める方にとっても、最初の1冊として最適です。
著者・北山猛邦の他の代表作
著者の北山猛邦(きたやま たけくに)は、物理的なトリックを駆使したロジカルな作風から「物理の北山」とも呼ばれるミステリー作家です。
デビュー作であり、第24回メフィスト賞を受賞した『「アリス・ミラー城」殺人事件』は、その緻密な構成で多くのミステリーファンを驚かせました。
作品名 | 特徴 |
---|---|
『「アリス・ミラー城」殺人事件』 | 物理トリックが光るメフィスト賞受賞のデビュー作 |
『千年万年りんごの子』 | ミステリーと切ないファンタジーが融合した感動巨編 |
『少年検閲官』 | 独特の世界観で描かれる青春ミステリー |
『つめたい転校生』で北山猛邦の世界観に惹かれたなら、ぜひ他の代表作も読んでみてください。
作品ごとに異なる魅力があり、より深く著者の作風を味わうことができます。
よくある質問(FAQ)
- 北山猛邦の『つめたい転校生』はミステリー初心者でも楽しめますか?
-
はい、ミステリー初心者の方にも大変おすすめです。
この作品は6つの物語が収録された短編集であり、一つひとつが独立しているため、とても読み進めやすい構成になっています。
また、謎解きだけでなくファンタジーの要素や登場人物たちの切ない物語も魅力なので、普段ミステリーを読まない方でも物語の世界に引き込まれます。
- ホラー要素はどのくらい「怖い」のでしょうか?
-
直接的な恐怖よりも、不思議で少し不気味な雰囲気を楽しむ作品です。
例えば、都市伝説を題材にした「いとしいくねくね」など、少しぞくっとする場面はあります。
しかし、物語の核にあるのは恐怖ではなく、登場人物たちの切ない感情です。
ホラーが苦手な方でも安心して読むことができます。
- 恋愛小説としても楽しめますか?
-
はい、ただし甘い恋愛物語とは少し異なります。
この短編集の根底には、人と「人ならざるもの」との恋愛や思慕の感情が流れています。
それは純粋でありながら、叶うことのない運命ゆえの切なさを伴うものです。
ミステリーの謎と絡み合いながら描かれる、儚く美しい関係性を味わう作品になります。
- 読書メーターなどの口コミでは、どのような評判が多いですか?
-
特に「結末の伏線回収の見事さ」と「物語の切なさ」に対する評価が非常に高いです。
多くの感想で「最後の最後で全てが繋がり鳥肌が立った」「見事に騙された」といった驚きの声が上がっています。
同時に「切なくて涙が出た」という口コミも多く、ミステリーとしての満足度と物語としての感動の両方を高く評価する評判が目立ちます。
- 著者の北山猛邦は、他にどんな作品を書いている作家ですか?
-
北山猛邦は、緻密な論理で構築された物理トリックが特徴的な本格ミステリーと、本作のような切ないファンタジーミステリーの、両面で高い評価を得ている作家です。
デビュー作『「アリス・ミラー城」殺人事件』は、その驚愕のトリックから「物理の北山」という異名がつくきっかけになりました。
一方で、『千年万年りんごの子』のように、本作に通じる感動的な物語も執筆しています。
- 読後の感想として、後味の悪い結末はありますか?
-
いいえ、後味が悪いと感じるような結末はありません。
物語の最後には衝撃的な真実が明かされますが、それは恐怖や不快感を与えるものではないです。
むしろ、驚きとともに切なさや物悲しい余韻が心に残る、美しい読後感がこの作品の魅力と言えます。
どの収録作品も、読んだ後に深く考えさせられるでしょう。
まとめ
この記事では、北山猛邦さんの短編集『つめたい転校生』の魅力を、ネタバレを一切せずに解説しました。
ファンタジーのような美しい世界観の中に緻密なミステリーが隠されており、特に全編に仕掛けられた予測不能な結末は、多くの読者に衝撃を与えています。
- ファンタジーと融合した唯一無二のミステリー
- 読者の予想を鮮やかに裏切る衝撃的な結末
- 人と人ならざる者の儚くも切ない物語
ありきたりなミステリーに飽きてしまったあなたにとって、本書は忘れられない一冊になります。
ぜひこの衝撃と切なさを、ご自身の目で確かめてみてください。