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辻村深月ツナグはなぜ泣ける|小説のあらすじと感想・映画キャストも解説

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もう会えないとわかっている人に、伝え残したことはありませんか。

辻村深月さんの小説『ツナグ』は、たった一度だけ死者との再会を叶える使者(ツナグ)を巡る物語で、多くの読者の心を揺さぶり続けています。

後悔や愛情、嫉妬など、誰もが抱える感情にそっと寄り添い、読み終えた後には大切な誰かに会いたくなる、そんな温かい感動を与えてくれる一冊です。

過去の後悔って、どうすれば乗り越えられるのかな…

この物語は、大切な人との繋がりを見つめ直すきっかけを与えてくれます

目次

辻村深月『ツナグ』が心を揺さぶる理由

『ツナグ』が多くの読者の心を掴んで離さないのは、死者との再会を通じて「残された生者」の心が再生していく様子を、深く丁寧に描いているからです。

この物語は、私たちが心の奥底に抱える普遍的な願いに、優しく寄り添ってくれます。

「死者ともう一度だけ会える」という設定

物語の根幹をなすのは、死んだ人と生きている人を一度だけ会わせてくれる仲介人「使者(ツナグ)」という、少し不思議な設定です。

この「ツナグ」の存在は都市伝説のように囁かれていますが、本当に再会を必要としている人の元にだけ、その巡り合わせが訪れます。

この唯一無二の設定が、シリーズ累計100万部を超えるベストセラーとなった大きな魅力の一つなのです。

本当に死んだ人に会えるの?

物語の中では、使者の仲介で一夜限りの再会が叶います

この非日常的な設定がフックとなり、読者はごく自然に物語の世界へ没入します。

そして、登場人物たちが抱える痛みや後悔を、まるで自分のことのように感じられるのです。

残された生者のための物語というテーマ

作中には「死者は、残された生者のためにいる」という印象的な一文が登場します。

これは、亡くなった人が、残された人の心の中で生き続け、その後の人生の支えとなる、という意味が込められています。

本作は、まさにこのテーマを軸に、4つの連作エピソードと使者自身の物語を通じて、喪失感を抱えた人々が過去と向き合い、未来へ踏み出す姿を描き出します。

過去の後悔って、どうしたら乗り越えられるんだろう…

この物語は、過去との向き合い方が未来を変えることを教えてくれます

登場人物たちが再会によって心の澱を溶かしていく様子は、読者自身の心にも光を当てます。

過去の出来事が、これからの生きる力に変わることを教えてくれる、希望の物語です。

どす黒い感情も包み込む「白辻村」の作風

辻村深月さんの作品は、ファンの間でその作風から「白辻村」「黒辻村」と呼ばれています。

『ツナグ』は、光や希望を感じさせる温かい読後感が特徴の「白辻村(しろつじむら)」の代表作です。

しかし、単なる綺麗なだけの物語ではありません。

例えば「親友の心得」という章では、亡くなった親友への嫉妬や罪悪感といった、人間の心に渦巻くどす黒い感情にも真正面から向き合っています。

綺麗事だけの話はちょっと苦手かも…

ご安心ください。人間のリアルな感情が描かれているからこそ、深く共感できます

ただ優しいだけでなく、人間の複雑さや矛盾を丸ごと受け止めてくれる懐の深さがあります。

だからこそ、物語にリアリティが生まれ、多くの読者の心を揺さぶるのです。

本屋大賞も受賞した作家・辻村深月の筆力

この感動的な物語を生み出したのは、数々の文学賞を受賞している作家・辻村深月氏です。

著者は2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞してデビューして以来、多くの読者を魅了してきました。

『ツナグ』では吉川英治文学新人賞を、その後『鍵のない夢を見る』で直木賞、『かがみの孤城』では本屋大賞を受賞するなど、その実力は誰もが認めるところです。

辻村深月さんって、そんなにすごい作家だったんだ!

はい、その確かな筆力が物語の感動を支えています

登場人物の心の機微を捉える繊細な描写力と、読者を飽きさせない巧みな物語の構成力。

その確かな筆力があるからこそ、非現実的な設定でありながら、私たちは物語に深く感情移入し、感動できるのです。

誰もが持つ「後悔」や「心残り」への共感

この物語がこれほどまでに支持される最大の理由は、誰もが心のどこかに持つ「後悔」や「心残り」という普遍的な感情を丁寧に描いているからです。

癌だった母に素直になれなかった息子、嫉妬心から親友を傷つけてしまった女子高生など、作中に登場する4組の依頼人のエピソードは、形は違えど、読者自身の経験や感情とどこかで重なります。

私にも、伝えられなかった言葉があるな…

きっとこの物語の中に、あなたの心に響く言葉が見つかるはずです

「もし自分なら、誰に会って何を伝えたいだろうか」と、読者は自然と自問自答を始めます。

物語を読み進めるうちに、登場人物の物語が自分自身の物語となり、忘れられない深い共感と感動を生み出すのです。

小説『ツナグ』のあらすじと主な登場人物

この小説は、死んだ人と生きている人を一度だけ会わせてくれる案内人「使者(ツナグ)」をめぐる物語です。

物語は、4人の依頼人が抱える心残りを描く4つのエピソードと、使者自身の物語から成る連作短編集の形式で進みます。

それぞれの章で、依頼人たちは後悔や愛情、嫉妬といった様々な感情と向き合います。

各エピソードは独立していながらも、主人公である使者・歩美の成長譚として繋がっています。

読み進めるうちに、登場人物たちの痛みが自分のことのように感じられ、涙なしには読めない感動が待っています。

物語の案内人「使者(ツナグ)」と見習いの歩美

使者(ツナグ)」とは、都市伝説のように囁かれる、死者と生者を一夜限りで再会させる仲介人のことです。

依頼人が会えるのは生涯で一度きり、そして死者もまた、生者と会えるのは一度だけというルールが存在します。

物語の主人公である高校生の渋谷歩美は、祖母のアイ子からその役目を引き継ぐための見習いです。

彼はまだ半人前の使者として、4人の依頼人と向き合う中で、人の心の痛みや温かさに触れ、使者という仕事の本当の意味を学んでいきます。

使者って、誰でもなれるものなの?

使者は世襲制で、歩美は祖母から役目を引き継ぐべく奮闘します

最初はどこか傍観者のように依頼人と接していた歩美ですが、物語の最後には彼自身が当事者となります。

そこで使者としての宿命と向き合うことになり、大きな成長を遂げるのです。

アイドルの心得|亡きアイドルに会いたいファン

最初の依頼人は、ごく普通のOLである平瀬愛美です。

彼女が会いたいと願う相手は、熱狂的に応援していたものの、突然この世を去ってしまったアイドルの水城サヲリでした。

彼女が再会を望んだのは、単なるファン心理からだけではありません。

生前のサヲリが発していたであろう苦悩のサインを見過ごしてしまったのではないか、という後悔の念に苛まれていたのです。

再会を通じてサヲリの本当の想いに触れた愛美は、自分自身の生き方を見つめ直し、明日へ向かう勇気をもらいます。

長男の心得|癌だった母に本音を伝えたい息子

二人目の依頼人は、家業を継いだ少し偏屈な経営者の畠田靖彦です。

彼が会うことを希望したのは、亡くなった母・ツルでした。

靖彦は、母が生前、癌を患っていたことを本人に最後まで伝えられませんでした。

母を思いやる気持ちと、素直になれなかった後悔が、彼の心を長年縛り付けていたのです。

母は本当に幸せな人生を送れたのか、その答えを求めて使者のもとを訪れます。

母子の再会は、時を経てなお残る親子の深い愛情を感じさせます。

親友の心得|事故死した親友への嫉妬心

女子高生の嵐美砂が依頼するのは、事故で亡くした親友・御園奈津との再会です。

しかし、その動機は純粋な友情だけではありませんでした。

美砂は、いつも自分の先を行く奈津に対して、密かに嫉妬心を抱いていました。

そのどす黒い感情から起こした行動が、奈津の事故に繋がったのではないかという罪悪感と恐怖に苦しんでいたのです。

この章は、人間の心の暗部に深く切り込み、読んでいるこちらも胸が苦しくなります。

友達に嫉妬するなんて、すごくわかる…

そのドロドロした感情も優しく包み込むのが、この物語の魅力なんです

真実を確かめるために臨んだ再会は、美砂にとって思いもよらない結末を迎えます。

このエピソードは、友情の美しさだけではない、複雑な人間関係の真理を描き出しています。

待ち人の心得|失踪した婚約者を待つ男性

土谷功一は、7年もの間、理由も告げずに姿を消した婚約者・日向キラリを待ち続けていました。

彼はキラリがどこかで生きていると信じ、その帰りをひたすら待っていたのです。

そんな彼が使者に依頼するということは、キラリの死を受け入れる覚悟を決めたことを意味します。

長い間信じ続けた希望を手放し、真実と向き合おうとする功一の葛藤が痛いほど伝わってきます。

一夜限りの再会で彼が知る真実と、長い待ち時間に終止符を打ち、未来へ歩み出す決断に胸を打たれます。

使者の心得|使者自身が迫られる究極の選択

これまでの物語で依頼人たちを導いてきた歩美が、最終章では自ら当事者となります。

使者としてではなく、一人の人間として、死者に会う権利を行使するのです。

歩美は、使者の「会えるのは一度だけ」という絶対的なルールのもと、自身の両親の死の真相を知るために、誰に会うべきかという究極の選択を迫られます。

これまでの依頼人たちが抱えてきた重みを、彼自身が受け止めることになるのです。

この選択を通して、歩美は使者の宿命を背負い、本当の意味で大人へと成長を遂げます。

物語の集大成となる、感動的な結末が待っています。

読者の口コミ・評価から探る『ツナグ』の感動ポイント

多くの読者が心を揺さぶられるのは、「もし自分だったら、たった一度だけ、亡くなった誰に会いたいだろうか」と物語を通じて深く自問自答させられる点です。

口コミや感想を読み解くと、この物語が単なる空想の話ではなく、読者一人ひとりの人生や大切な人との関係性に強く結びついていることがわかります。

「自分なら誰に会いたいか」と考えさせられる

『ツナグ』が持つ最大の特徴は、物語の登場人物に感情移入するだけでなく、読者自身が「自分なら誰との再会を望むだろうか」という根源的な問いを突きつけられる構成にあります。

この問いかけが、読者を単なる傍観者から物語の当事者へと変えるのです。

実際に読者からは、次のような声が寄せられています。

自分だったらこの人に会いたい。その人とはこんな思い出があって

https://www.sinkan.jp/pages/interview/interview107/index.html

本の奥付にある新潮社の電話番号にかけたら“ツナグ”が出るんじゃないかと思って何度かけようと思ったかわかりません

https://www.sinkan.jp/pages/interview/interview107/index.html

もし本当に一度だけ会えるなら、私はあの親友に会って何を話すだろう…

その問いこそが、この物語があなたに投げかける一番大切なメッセージです

自分自身の心と向き合うこの体験こそが、他の小説では得られない深い感動を生み出す源泉となっています。

涙なしには読めないという感動の声

本書の感想には「涙が止まらなかった」という声が後を絶ちません。

各エピソードで描かれる登場人物たちの切ない想いや、生者と死者が再会を果たす場面での心の機微が、多くの読者の涙腺を刺激します。

物語の中で流れる涙は、単なる悲しみの表現ではありません。

登場人物たちが過去の痛みを受け入れ、未来へと一歩を踏み出すための、温かい浄化作用を持つ涙なのです。

登場人物の心の痛みに深く共感できる評価

この物語の登場人物が抱える心の痛みは、嫉妬や後悔、見栄といった、誰もが一度は心に抱いたことのある普遍的な感情です。

そのため、読者は登場人物の誰かに自分自身を重ね合わせ、物語に深く没入します。

特に、高校生の嵐美砂が親友へ抱く嫉妬心を描いた「親友の心得」は、友情の中に潜む複雑な感情を生々しく描き出しており、多くの読者が「この気持ちはわかる」と強く共感を示しました。

親友に嫉妬する気持ち、すごくわかるな…

誰もが持つ心の闇を、この物語は優しく受け止めてくれます

書評家の三浦天紗子氏が「シミひとつない白ではないところが、白辻村の本当の面白さだ」と評するように、人間の暗い感情から目をそらさずに描くことで、かえって深い共感と救いを生み出しているのです。

読書感想文の題材としても選ばれる理由

『ツナグ』は、全国の中学校や高校で読書感想文の課題図書として長年にわたり推奨され続けています

その理由は、5つのエピソードを通じて「命の尊さ」「人との繋がり」「後悔との向き合い方」といった、若者が深く考えるべき普遍的なテーマが扱われているからです。

死者との再会という設定は非現実的でありながら、そこから生まれる問いは現実を生きる私たちに深く突き刺さります。

多角的な視点から自分の意見をまとめやすいため、生徒が主体的に思考を深めるための格好の題材となっています。

読了後、大切な人に会いたくなる温かい物語

この物語を読み終えた多くの読者が共通して抱くのは、「今すぐ、自分の大切な人に連絡を取りたくなった」という温かい感情です。

作中にある「死者は、残された生者のためにいる」という一文は、まさにこの作品のテーマを象徴しています。

亡き人との再会は、残された者が前を向いて歩むためのきっかけとなるのです。

読み終わったら、親友に「元気?」ってLINEしてみようかな…

その一歩を踏み出す勇気を、この本はきっと与えてくれます

過去の後悔に囚われるのではなく、これからの未来で大切な人との関係性をより良くするためにどう行動すべきか。

この物語は、読み終えた人の背中をそっと押し、明日への希望を与えてくれる一冊です。

松坂桃李・樹木希林出演の映画版『ツナグ』

2012年に公開された映画版『ツナグ』は、原作の感動を映像ならではの表現でさらに深めた作品です。

特に、主人公・歩美を演じた松坂桃李さんと、祖母・アイ子役の樹木希林さんの心揺さぶる名演が、多くの観客の涙を誘いました。

小説と映画、それぞれの良さを知ることで、物語の世界をより深く味わえます。

小説で描かれた繊細な心の動きと、スクリーンに映し出される俳優陣の魂の演技、その両方に触れることで、『ツナグ』という物語が持つ温かさと切なさが、より一層胸に響きます。

初主演・歩美役を務めた松坂桃李

本作は、今や日本を代表する俳優である松坂桃李さんの映画初主演作として知られています。

祖母から「使者(ツナグ)」の役目を引き継ぐ葛藤や、依頼人と向き合う中での心の成長を、瑞々しくも真摯に演じきりました。

松坂さん自身も、樹木希林さんや仲代達矢さんといった名優との共演に「過去最高に緊張した」と語るほど、思い入れの深い特別な作品です。

主演の松坂桃李さんにとって、どんな作品だったんだろう?

ご本人も「特別な作品」と語るほど、俳優人生の原点となった作品なんです。

戸惑いながらも使者としての使命を受け入れていく歩美の姿は、観る人の心を強く惹きつけ、物語への共感を深めてくれます。

祖母・アイ子役を演じた樹木希林

歩美を導く祖母・アイ子役を演じた樹木希林さんの演技は、その存在そのものが物語に圧倒的な深みと説得力を与えています。

孫を優しく見守る温かさと、使者としての厳しい覚悟を併せ持つアイ子を、唯一無二の存在感で体現しました。

彼女が紡ぐ言葉の一つひとつが、生と死、そして人と人との繋がりの重みを静かに語りかけます。

樹木希林さんの演技、どんな感じだったのかな?

厳しさの中に温かさがある、まさに「アイ子おばあちゃん」そのものでした。

樹木希林さんの滋味あふれる名演があったからこそ、この物語は単なるファンタジーではなく、私たちの心に確かな感動を残す作品になったのです。

小説とは異なる映画ならではの魅力

映画版の魅力は、小説の世界観を大切にしながら、映像と音楽で感動を増幅させている点にあります。

原作では高校生だった歩美が大学生に設定変更されている点も、物語に少し大人びた視点を加えています。

文字では想像するしかなかった死者との再会の場面が、俳優たちの息遣いや表情、幻想的な映像美によって、よりリアルな emotional な体験として胸に迫ります。

小説と映画って、どこが違うの?

映像と音楽が加わることで、登場人物の感情がよりダイレクトに伝わってきます。

すでに小説を読んだという方でも、映画版を観ることで、新たな発見と共に再び深い感動を味わうことができます。

JUJUが歌う主題歌「ありがとう」の感動

映画のラストを飾り、物語の余韻を彩るのが、JUJUさんが歌う主題歌「ありがとう」です。

この曲は、愛する人に会いたいと願う切ない気持ちと、再会を通じて伝えたい感謝の想いを、ストレートな歌詞と優しいメロディで歌い上げています。

映画のエンドロールでこの曲が流れた瞬間、こらえていた涙が溢れ出したという感想も少なくありません。

映画の主題歌も感動的なんだね。

物語の余韻に浸りながら聴くと、さらに涙が止まらなくなりますよ。

作品のテーマと完璧に調和したこの楽曲は、映画『ツナグ』の感動を完結させるための、最後のピースと言えるでしょう。

映画を観た人の感想や口コミ

映画『ツナグ』は公開当時から大きな反響を呼び、「涙なしには観られない」「自分の大切な人に会いたくなった」といった感動の声が数多く寄せられました。

俳優陣の演技、心温まるストーリー、そして美しい映像が一体となり、多くの人の心を打ちました。

もちろん、感じ方には個人差がありますが、多くの人がこの映画から生きる希望や人との繋がりの大切さを受け取っています。

9年ぶりの続編『ツナグ 想い人の心得』へ

シリーズ累計100万部を突破した『ツナグ』は、読者からの熱烈な声に後押しされる形で、9年ぶりとなる続編『ツナグ 想い人の心得』が刊行されました。

「自分なら誰に会いたいか」「“ツナグ”に繋がるのではないかと電話をかけそうになった」という感想は、この物語がどれだけ深く読者の心に届いたかを物語っています。

前作で描かれた感動と温かさはそのままに、続編ではさらに深化したテーマと新たな登場人物たちが、私たちの心を揺さぶります。

成長した主人公・歩美の姿を通して、『ツナグ』の世界をもう一度深く味わうことができます。

前作から7年後を描く物語

続編の舞台は、前作から7年の時が流れた世界です。

主人公の渋谷歩美も高校生から大人へと成長し、使者としての経験を積んでいます。

物語では、時間の経過がもたらす「喪失」との向き合い方の変化が、より繊細に描かれています。

前作では見習いとして依頼人を見守る立場だった歩美が、続編では使者として、そして一人の人間として、新たな葛藤や選択に直面するのです。

前作から7年も経ってるけど、歩美はどう変わったんだろう?

見習いだった歩美が、使者として成長し、新たな壁に直面する姿が描かれていますよ

単なる後日譚ではなく、時の流れがもたらす心の機微を描いた、深みを増した物語として楽しめます。

松坂桃李との会話がきっかけで生まれたエピソード

続編の誕生には、映画版で主人公・歩美を演じた俳優、松坂桃李さんとの会話が大きなきっかけとなりました。

辻村深月さんは、松坂さんから得た着想を物語に織り込んでいます。

例えば、続編に収録されている「歴史研究の心得」というエピソードは、映画の宣伝時に松坂さんが「会ってみたい歴史上の人物は宮本武蔵」と話したことからアイデアが生まれました。

また、第1話の語り手が特撮ヒーロー俳優という設定も、松坂さんが『侍戦隊シンケンジャー』に出演していた経歴が影響しています。

俳優さんとの会話から物語が生まれるなんて、すごい裏話だね!

ええ、こうした制作秘話を知ると、作品をより一層楽しめますね

このような創作の裏側にあるエピソードが、物語に特別なリアリティと温かみを与えています。

さらに深まる『ツナグ』の世界

続編では、「使者(ツナグ)」が会わせる死者の存在について、「この世に残るその人の記憶を集めた姿かもしれない」という新たな解釈が示されます。

これは、単に魂を呼び出すのではなく、死者が依頼人の心を映す鏡のような存在であることを意味します。

この解釈の変化により、死者との再会は、依頼人自身が自分と向き合うための時間となり、物語にさらなる奥行きを与えています。

映画で主演を務めた松坂桃李さんも、続編について以下のように語っています。

ただ、導入でくすりとした後に、歩美ではない人がツナグとして登場するじゃないですか。「え? 歩美どこ行った?」って焦り、こういうことが起きてるのかな、いやもしかしたら、とあれこれ想像しながらページをめくっていくと、意外なオチが用意されていて……。前作のファンはよりいっそう嬉しくなるだろうし、僕はもう一度、前作を読み返したくなりました。そしてラストまで辿りつくと、一冊の台本を読み終わったような達成感があり、撮影現場の記憶が蘇ってきたりもして。

https://www.bookbang.jp/review/article/590674

続編を読むことで、前作の物語に対する理解も一層深まり、新たな感動を発見できるでしょう。

直木賞作家・辻村深月のその他の名作

『ツナグ』の著者・辻村深月さんは、『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞するなど、数々の文学賞に輝く作家です。

その作風は、人間の心の闇を描く「黒辻村」と、温かい感動を与える「白辻村」に分けられることがあります。

『ツナグ』は、どす黒い感情さえも優しく包み込み、光の差すような読後感に包まれる「白辻村」の代表作といえます。

『ツナグ』で辻村作品のファンになった方に向けて、他にも魅力的な作品がたくさんあります。

『ツナグ』以外にも面白そうな作品がたくさんあるんだな。次はどれを読もうか迷うな

作風もさまざまなので、あらすじを見比べて気になる一冊から手に取ってみるのがおすすめですよ

どの作品も人間の心理を深く鋭く描いており、『ツナグ』とはまた違った感動や発見を与えてくれます。

よくある質問(FAQ)

『ツナグ』に続編はありますか?

9年ぶりの続編として『ツナグ 想い人の心得』が刊行されています。

前作から7年後を舞台に、使者の役目を引き継いだ歩美の成長と、新たな依頼人たちの物語が描かれます。

映画で主演を務めた松坂桃李さんとの会話がヒントになったエピソードも含まれており、作品の世界をさらに深く楽しめます。

映画版の主要なキャストを教えてください。

主人公の使者見習い・歩美役は、俳優の松坂桃李さんが務めました。

そして、彼を温かく見守る祖母であり、先代の使者でもあるアイ子役を、名優・樹木希林さんが演じています。

二人の自然な演技が、小説とは異なる温かい感動を生み出しました。

「白辻村」とは何ですか?『ツナグ』もそうなのでしょうか。

「白辻村」とは、辻村深月さんの作品の中で、読後に希望や温かさが残る作風のものを指す愛称です。

ツナグ』は、まさに「白辻村」の代表作として知られています。

ただし、親友への嫉妬といった人間の暗い部分も描くことで、物語にリアリティと深みを与え、多くの読者から高い評価を得ているのです。

読書感想文の題材にしたいのですが、良いテーマはありますか?

「もし自分が一度だけ死者会うなら誰に会い、何を伝えたいか」という問いは、ご自身の経験と結びつけやすく、書きやすいテーマです。

また、「登場人物たちの心残りから学んだこと」や「人との繋がりの大切さ」について考察するのも、オリジナリティのある読書感想文を書くための良い切り口になります。

ネタバレなしで『ツナグ』が泣ける理由を教えてください。

この小説が多くの人の涙を誘う一番の理由は、物語を通じて「自分ならどうするだろう」と深く考えさせられるからです。

登場人物が抱える後悔や愛情に触れるうち、自然と自分自身の大切な人や過去の出来事に想いを馳せてしまいます。

ただ読むだけでなく、自分の心と対話するような体験ができることが、本作最大の魅力です。

使者(ツナグ)のルールについて詳しく知りたいです。

使者に仲介を依頼して死者と会えるのは、生きている人も亡くなった人も、生涯でたった一度だけです。

再会できるのは、依頼した日の夜、月が出てから次に月が昇るまで。

この厳しいルールがあるからこそ、一夜限りの再会がかけがえのないものになり、物語に深い感動をもたらします。

まとめ

辻村深月さんの小説『ツナグ』は、死者と一度だけ会える仲介人「使者」を巡る、心温まる物語です。

この作品がこれほど多くの人の涙を誘うのは、単なる感動秘話ではなく、残された人々が過去の後悔と向き合い、未来へ踏み出す姿を通じて「自分なら誰に会いたいか」と深く問いかけてくるからです。

もしあなたが人との繋がりの大切さを再確認したいと考えているなら、まずはこの物語を手に取ってみてください。

きっと、読み終えた後には自分の大切な誰かに連絡したくなります。

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