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【ネタバレなし】芦沢央「悪いものが来ませんように」の感想|後味悪いって本当?評価を解説

芦沢央さんの小説『悪いものが来ませんように』は、ただ「後味が悪い」と評価される作品ではありません。

読者の心を深くえぐる心理描写と巧みな物語の構成こそが、多くの人を惹きつけてやまない理由なのです。

この記事では、ネタバレを一切せずに『悪いものが来ませんように』のあらすじや登場人物を解説し、実際に読んだ人たちのリアルな感想や評価を紹介します。

読後に気分が落ち込みすぎないか心配です…

管理人

爽快感よりも、心を揺さぶられるような強烈な読書体験を求める方におすすめの一冊です

この記事を読むとわかること

目次

後味悪い?賛否両論を呼ぶ傑作心理サスペンス

この物語が多くの読者の心に強烈な印象を残すのは、単に「後味が悪い」からではありません。

人間の心理を巧みに利用した構成と、そこに描かれるリアルな狂気こそが、本作をただのミステリーではない傑作へと昇華させているのです。

読了後にすっきりとした気持ちよさを求めるのではなく、心を揺さぶられるような体験をしたい方にとっては、忘れられない一冊になります。

この作品は読む人を選びますが、その理由を知ることで、あなたに合う一冊かどうかを判断できるはずです。

読書体験の鍵となる心構え

本作を最大限に楽しむための鍵は、「騙されること」を前提として受け入れる心構えです。

「後味が悪い」という前評判に引きずられず、まっさらな気持ちで物語の世界に入り込むことが重要になります。

作者が仕掛けた罠に、あえてはまってみるくらいの気持ちで読み進めてみてください。

読んだ後に気分が落ち込みすぎないか心配です…

管理人

爽快感よりも、心を揺さぶられるような体験を求める方におすすめですよ

この物語は、読者の倫理観や固定観念を静かに、しかし確実に揺さぶってきます。

その揺らぎこそが、本作の本当の面白さにつながるのです。

ホラーとは異なる人間の心の怖さ

本作の恐怖は、お化けや超常現象といったホラー要素から来るものではありません。

その正体は、人間の内側に潜む執着や依存心といった、生々しい感情の暴走です。

助産師の紗英と幼馴染の奈津子、二人の女性が互いを心の拠り所とする関係性は、次第に異常な様相を呈していきます。

ごく普通の日常が、嫉妬や独占欲によって静かに侵食されていく過程は、どんな怪談よりも背筋が凍る感覚を覚えるかもしれません。

読者は物語を通じて、人間の心の奥底に潜む闇を覗き込むような体験をします。

思い込みを利用した巧みな物語の構成

この作品が「騙された」という感想を多く集める理由は、その巧みな物語の構成にあります。

物語は主に、紗英の視点、奈津子の視点、そして事件関係者へのインタビューという3つの形式で語られていきます。

読者は断片的な情報を頼りに真相を推理しますが、そこには作者による巧妙な罠が仕掛けられています。

伏線やトリックで騙されるのって、面白いんでしょうか?

管理人

真相を知ったとき、きっと最初から読み返したくなりますよ

読者が無意識に抱いている先入観や常識を逆手に取る手法は、見事というほかありません。

この仕掛けに気づいたとき、あなたは驚きとともに、物語の奥深さに改めて感心するはずです。

読後感が評価を分ける衝撃的な結末

本作の評価を大きく左右するのが、読後にずっしりと心に残る、何とも言えない後味の悪さです。

すべての謎が解け、全ての伏線が回収されたときに現れる救いのない真実が、読者の心をかき乱します。

この結末を「見事などんでん返し」と捉えるか、「ただの胸糞話」と感じるかで、作品への評価は180度変わります。

爽快な解決を期待する読者にとっては、受け入れがたい結末かもしれません。

しかし、このやるせない読後感こそが『悪いものが来ませんように』という作品の最大の魅力であり、多くの読者が議論を交わしたくなる理由なのです。

ネタバレなしで読む『悪いものが来ませんように』のあらすじ

物語は、二人の女性の歪んだ関係性を軸に進みます。

誰を信じ、何を疑うべきか、読者であるあなた自身が試されるこの物語の登場人物たちの視点の移り変わりこそが、最大の読みどころです。

一見、穏やかに見える日常に潜む狂気が、ひとつの事件をきっかけに少しずつ暴かれていきます。

物語の中心となる二人の幼馴染

この物語の主役は、紗英(さえ)と奈津子(なつこ)という二人の女性です。

ただの友人という言葉では説明できない、互いを心の拠り所とする「幼馴染」としての異常なまでの密接な関係が、物語のすべての根幹を成しています。

二人の間だけで通じる空気感や会話が、不穏な雰囲気を醸し出します。

ただの仲良しじゃないってこと?

管理人

ええ、その「普通じゃない」関係性が物語の鍵を握っています。

彼女たちの絆が、やがて予測不能な悲劇へとつながっていくのです。

助産師・紗英が抱える悩み

物語の語り手の一人である紗英は、「助産師」という新しい命の誕生に立ち会う仕事をしています。

多くの赤ちゃんの誕生を祝福する一方で、彼女自身は不妊と夫の浮気という深刻な悩みを抱え、心身ともに疲弊しています。

その満たされない思いが、幼馴染である奈津子への強い執着心を生み出すのです。

仕事とプライベートの大きなギャップが、彼女の精神を少しずつ追い詰めていきます。

育児に追われる奈津子(なっちゃん)

もう一人の中心人物が、紗英から「なっちゃん」と呼ばれる奈津子です。

彼女は育児に追われる中で社会から孤立し、言いようのない孤独感を抱えています。

そんな奈津子にとって、自分のすべてを理解してくれる紗英は唯一の心の支えでした。

紗英だけが、自分の大変さをわかってくれる存在なのです。

二人はお互いに依存し合っている感じなのかな?

管理人

その通りです。その共依存関係が、物語に不穏な影を落としていきます。

奈津子の視点から語られる閉塞感に満ちた日常は、読者の心を強く揺さぶります。

日常を壊す紗英の夫の殺害事件

穏やかだった二人の関係は、ある日突然終わりを迎えます。

紗英の夫が何者かによって殺害されるという衝撃的な事件が発生するからです。

この事件をきっかけに、それまで水面下で保たれていた二人の関係のバランスは、急速に崩れ始めます。

一体誰が、何のために紗英の夫を殺したのでしょうか。

ここから物語はミステリーの色を濃くし、読者を一気に引き込みます。

3つの視点で明らかになる真相

この物語は、紗英の視点、奈津子の視点、そして事件関係者へのインタビューという3つの形式で構成されています。

それぞれの立場から語られる出来事には微妙な食い違いがあり、読者は「誰の話が本当なのか?」と疑念を抱きながら読み進めることになります。

断片的な情報をつなぎ合わせていくことで、事件の真相と二人の関係に隠された秘密が見えてくるのです。

この巧みな構成によって、あなたはきっと物語の罠に嵌ってしまうでしょう。

読者の感想と評価でわかる本当の面白さ

この小説の評価が大きく分かれる点こそが、多くの読者の心を掴んで離さない理由です。

読者が実際にどのような感想を抱いたのかを知ることが、作品の本当の面白さを理解する近道になります。

絶賛の声と厳しい意見、その両方を知ることで、あなたがこの物語に何を求めるのかがはっきり見えてきます。

「いい具合に騙された」肯定的な感想・レビュー

本作を高く評価する読者の多くが口にするのが、物語の構成の巧みさに対する驚きです。

読者の思い込みを逆手に取った仕掛けが随所に施されており、最後の1ページで全ての景色が反転するような感覚を味わえます。

以前から気になるタイトルと装丁でやっと読了。 紗英と『なっちゃん』の2人の女性の目線、事件関係者のインタビューで構成。 あまり語るとネタバレになってしまう。2人共、既婚。子持ち女性と夫の浮気になかなか子宝 以前から気になるタイトルと装丁でやっと読了。 紗英と『なっちゃん』の2人の女性の目線、事件関係者のインタビューで構成。 あまり語るとネタバレになってしまう。2人共、既婚。子持ち女性と夫の浮気になかなか子宝に恵まれないことに悩む女性。途中、2人の関係性に驚愕。 いい具合に騙された。

https://www.kadokawa.co.jp/product/321603000024/

どんでん返しは好きだけど、伏線が分かりにくいのは嫌だな…

管理人

大丈夫です、読み返すと「ここにヒントが!」と気づく楽しさがありますよ

巧みに張り巡らされた伏線に気づいた時の快感は、ミステリー好きにはたまらない体験となるでしょう。

「ただの胸糞小説」否定的な感想・レビュー

一方で、本作の読後感を「胸糞が悪い」と感じ、低い評価をつける読者も少なくありません。

その主な理由は、登場人物への共感の難しさにあります。

物語がトリックを成立させるために進んでいくと感じる人もおり、登場人物の行動にリアリティを感じられないという意見が見られます。

また、この類いの本にあたってしまった。多いなぁ。この類いの本では、この類いであるばっかりにどうにも奥歯に物が挟まった様な、肝心なところはぼやかした様な書き方がされるので読んでいて段々ストレスを感じてく また、この類いの本にあたってしまった。多いなぁ。この類いの本では、この類いであるばっかりにどうにも奥歯に物が挟まった様な、肝心なところはぼやかした様な書き方がされるので読んでいて段々ストレスを感じてくる。この類いの本は、ぼやかしてあいまいに書く事でごまかしていた核心部分をようやく終盤になって明かしてくれるわけだが何かもう、ちょっとこの類いの本は遠慮したい。二度読みを強いて来る姿勢からして好きでない。答え合わせの為の二度読みなんかしたくない。ストレスなく読めて一読ですっきり満足できるそんな本を読みたいのに。

https://www.kadokawa.co.jp/product/321603000024/

【KU】那覇よりの機中にて。人気作家さんながら初読み。子育てのストレスについての描写はよかった。グイグイ読ませはするが、これはナイわ。「なっちゃん」て。読者を騙すことのみに焦点当ててる手法にゲンナリ。ま 【KU】那覇よりの機中にて。人気作家さんながら初読み。子育てのストレスについての描写はよかった。グイグイ読ませはするが、これはナイわ。「なっちゃん」て。読者を騙すことのみに焦点当ててる手法にゲンナリ。まぁもう読まない…かな。

https://www.kadokawa.co.jp/product/321603000024/

物語に感情移入して楽しみたい方にとっては、後味の悪さが心に残ってしまう読書体験になることもあります。

読書メーターでの高い評価

個人の感想だけでなく、客観的なデータも見てみましょう。

大手読書管理サイト「読書メーター」では、多くの読書家から高い評価を受けています。

文庫版の登録数は9,700件を超え、感想・レビュー件数も約2,500件にのぼります。

評価74%って、具体的にどれくらいのレベルなの?

管理人

読書メーターではかなりの高評価で、多くの人が満足している証拠ですよ

この数字は、賛否両論ありながらも、作品自体が持つ魅力が多くの読者に届いていることを示しています。

小野不由美さんからの推薦文

『十二国記』シリーズなどで知られる人気作家の小野不由美さんも、本作に推薦文を寄せています。

同じく物語を創り出すプロの視点から寄せられた言葉は、作品の持つ緊張感を的確に表現しています。

緊迫感あふれる二人の関係から目を逸らせない。――作家 小野不由美

https://www.kadokawa.co.jp/product/321603000024/

短い一文の中に、紗英と奈津子の歪んだ関係性がもたらす心理的な恐怖が凝縮されています。

この小説がおすすめな人と作品の基本情報

この物語は、ただ怖いだけ、面白いだけでは終わりません。

読者の価値観を揺さぶるような、強烈な読書体験を求めるあなたにこそ読んでいただきたい一冊です。

ここでは、どのような方にこの作品が合っているのか、そして書籍の基本情報について紹介します。

『悪いものが来ませんように』は、読む人を選ぶ作品です。

だからこそ、自分に合うかどうかを確かめてから手に取ることで、最高の読書体験につながります。

どんでん返しが好きなあなた

物語の結末で「まさか!」と驚きたいあなたにとって、この小説は最高の選択肢になります。

巧みに張り巡らされた伏線が、ラストで一気につながる快感は、ミステリー好きにはたまりません。

多くの読者が「いい具合に騙された」と評価するほど、物語の構成は緻密に計算されています。

何気ない会話や描写の一つひとつが、実は真相に繋がる重要なヒントです。

読んでいる最中は、ぜひ登場人物の言葉の裏を読み解いてみてください。

伏線が難しすぎると楽しめないかも…

管理人

大丈夫です。読み終えた後、もう一度読み返したくなる巧妙さに驚くはずですよ。

一度読んだだけでは気づかなかった仕掛けを発見する喜びも、この作品の醍醐味の一つです。

叙述トリックを用いたミステリー小説が好きな方なら、夢中になること間違いありません。

心の闇を描く物語を求めるあなた

この作品の怖さは、お化けや幽霊といった超常的なものではありません。

描かれているのは、私たちの日常に潜む人間の心の内に秘められた狂気です。

助産師の紗英と幼馴染の奈津子、二人の女性の間に存在する異常なまでの依存と執着が、物語に言いようのない緊張感を与えています。

作家の小野不由美さんも「緊迫感あふれる二人の関係から目を逸らせない」と推薦文を寄せており、その心理描写の巧みさはお墨付きです。

登場人物の考え方が理解できるか不安です。

管理人

共感できなくても問題ありません。むしろ、理解できないからこそ感じる怖さを楽しむ作品です。

人間の嫉妬や独占欲といった、普段は目を背けたくなるような感情を深く掘り下げた物語を読みたいあなたに、ぴったりの一冊といえます。

ハッピーエンドを期待する人には不向きな可能性

読んだ後にすっきりとした気持ちになりたい、あるいは心温まる感動を味わいたいと考えているなら、この小説は避けた方が良い選択です。

いわゆる「イヤミス(読後に嫌な気持ちになるミステリー)」に分類される作品だからです。

その衝撃的な結末は、一部の読者から「胸糞悪い」と評されることもあります。

物語に救いや希望を求めるあなたにとっては、読後に重たい気持ちが残るかもしれません。

物語の登場人物に感情移入して読むタイプの方も、辛い気持ちになる可能性があります。

しかし、その強烈な読後感こそが本作の最大の魅力であり、多くの読者の心に深く刻まれる理由でもあります。

忘れられないほどの刺激を読書に求めるのであれば、挑戦してみる価値は十分にあります。

角川文庫版の書籍情報

『悪いものが来ませんように』は、手に取りやすい角川文庫から出版されています。

持ち運びにも便利なので、通勤時間や休憩中の読書にも最適です。

全国の書店のほか、各種オンラインストアや電子書籍でも購入できますので、あなたの読みやすい方法で手に取ってみてください。

著者・芦沢央さんの他の代表作

本作で芦沢央さんの作風に惹かれたあなたへ、他の代表作も紹介します。

人間の心理を巧みに描くミステリーから、心温まる物語まで、その作風は多岐にわたります。

『悪いものが来ませんように』とは異なる魅力を持つ作品も多く、芦沢央さんの世界をさらに深く楽しむきっかけになります。

どの作品から読んでも、著者の卓越した筆力を感じ取ることができます。

気になる作品があれば、ぜひ手に取ってみてください。

まとめ

芦沢央さんの『悪いものが来ませんように』は、ただ後味が悪いだけでなく、読者の思い込みを利用した巧みな物語構成が魅力の心理サスペンスです。

物語に隠された仕掛けを知ることで、この作品があなたに合う一冊かどうかがわかります。

この記事で「後味が悪い」という評価の本当の意味を理解できたなら、ぜひ実際に物語を読んで、その衝撃的な結末をあなたの目で確かめてみてください。

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